焔と渦巻く忍法帖 第二十四話
‘第七譜石!?’
「そう、これが第七譜石です」
ローレライと同じく人々が求めてやまなかった第七譜石がルークの手に握られていることに、民衆の驚きは一斉に広がる。
「この第七譜石の内容は私がローレライから聞いた物より、直に導師から詠んでいただければ皆様もこの譜石の中身がいかに重要かを理解していただけると思います・・・導師、この第七譜石を詠んでいただけますか?」
「あっ・・・はい、わかりました」
そこでルークは話しながら第七譜石をイオンに差し出し、その譜石を反射的に受け取りイオンは意識を集中しだす・・・
「・・・ND2018・・・」
そしてイオンは譜石から詠みはじめる、滅び以外詠まれていない預言保守派にとって二重の意味で苦しみを生む預言を・・・
「・・・これこそがオールドラントの最後なり・・・うっ・・・」
‘‘‘‘・・・っ・・・!’’’’
「導師!・・・大丈夫ですか?」
・・・緊迫した雰囲気の中で詠み出された第七譜石の中身を読み終えたイオン。そこから何もなかったなら民衆達はまた信じられないとざわつきが起こっただろう。だが読み終えた瞬間イオンはいきなり苦しそうになって膝をつき、ルークも予想外な出来事にイオンに慌てたように駆け寄り背中に手を回す。
「すみません・・・普通に預言を詠んでいた時にはこのようなことはなかったのですが、この譜石を詠み終えた時急に・・・」
「これ以上喋らないで下さい導師、体に障ります」
ルークの顔を見ながら話すイオンの顔は酷く青白く、ルークは気遣うようその言葉を止めてから詠師達の方を向く。
「導師は体調を崩されました。ただこの話を中途半端な形で止めてはいけません。この場は導師には退出して休んでいただき我々だけで続けようと思いますが、いかがですか?」
「えっ、えぇ・・・確かにこれ以上導師に無理をさせるわけにはいきませんし、引き延ばす訳にはいきませんし・・・やむを得ません、アニス・タトリン。大事に至らぬよう、私室に導師をお連れしなさい」
「は、はい・・・行きましょう、イオン様・・・」
「すみません・・・」
詠師達にイオンを退出させるように言いつつ場を続ける発言をしたルークに、トリトハイムが少し考え込んだ後コウモリ娘にイオンを連れていくように言い、戸惑いつつもイオンの体を支え謝るイオンを連れていく・・・
(第七譜石を詠んで体調を崩した、か。多分被験者が健在で健康だったなら普通に詠めたんじゃねぇかな、第七譜石)
その様子を民衆達が心配そうに見つめる中、ルークはイオンが崩れ落ちた理由を体力の劣化からだと推測する。
(・・・まぁ結果オーライかな。これでこの譜石が特別な物だって認識してくれるだろうし)
ただ正確な理由は分からないが、ルークからしてこの状況は歓迎出来る物だった。何しろ滅びが詠まれた預言を詠んで、教団のトップである導師が倒れたのだ。イオンがレプリカという事を知らない民衆からしてみれば、見解の違いはあれど不吉な物だとの見方がついていてもおかしくない。そしてそんな譜石だからこそ、これから話す中身が更に活きて来るともルークは思っている。
(ただなんだろうな、導師が倒れたってのになんでコウモリは立ち尽くしてたんだ?俺より先に動いて導師を支えるべきだろ、別に俺素早く動いて支えた訳じゃねーのに)
しかしそうルークが考えている内にイオンが倒れた時にまたもやコウモリ娘はミスというか、ある意味らしさを発揮して初動もへったくれもなく突っ立っていた事を思い返す。
(この様子じゃ導師守護役からは除籍されなくても、常に隣にいる導師守護役からは外されるだろうな。導師守護役って他にも二・三十人はいるって言ってたし、導師守護役を誰にするかの権限はトリトハイムのオッサンか他の詠師に譲られるだろうし。イオンはコウモリ娘が導師守護役自体を外されたら悲しんで引き止めようとするだろうから、それが精一杯の処置って所だろうし・・・ま、そこんとこはダアト側の問題だし俺には関係ねぇか)
今は色々ゴタゴタの最中だからコウモリ娘をそのままの位置で使っているが、事が落ち着けば交替されかねない。そんなことをルークは思っていた。
・・・そしてイオンが教会の中に入って姿を消すと、ルークは声を民衆に向ける。
「・・・導師の体調が些か心配な所ですが、お話を続けたいと思います」
仕切り直しを告げるその声に、民衆達の視線は扉から再びルークに向く。
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「そう、これが第七譜石です」
ローレライと同じく人々が求めてやまなかった第七譜石がルークの手に握られていることに、民衆の驚きは一斉に広がる。
「この第七譜石の内容は私がローレライから聞いた物より、直に導師から詠んでいただければ皆様もこの譜石の中身がいかに重要かを理解していただけると思います・・・導師、この第七譜石を詠んでいただけますか?」
「あっ・・・はい、わかりました」
そこでルークは話しながら第七譜石をイオンに差し出し、その譜石を反射的に受け取りイオンは意識を集中しだす・・・
「・・・ND2018・・・」
そしてイオンは譜石から詠みはじめる、滅び以外詠まれていない預言保守派にとって二重の意味で苦しみを生む預言を・・・
「・・・これこそがオールドラントの最後なり・・・うっ・・・」
‘‘‘‘・・・っ・・・!’’’’
「導師!・・・大丈夫ですか?」
・・・緊迫した雰囲気の中で詠み出された第七譜石の中身を読み終えたイオン。そこから何もなかったなら民衆達はまた信じられないとざわつきが起こっただろう。だが読み終えた瞬間イオンはいきなり苦しそうになって膝をつき、ルークも予想外な出来事にイオンに慌てたように駆け寄り背中に手を回す。
「すみません・・・普通に預言を詠んでいた時にはこのようなことはなかったのですが、この譜石を詠み終えた時急に・・・」
「これ以上喋らないで下さい導師、体に障ります」
ルークの顔を見ながら話すイオンの顔は酷く青白く、ルークは気遣うようその言葉を止めてから詠師達の方を向く。
「導師は体調を崩されました。ただこの話を中途半端な形で止めてはいけません。この場は導師には退出して休んでいただき我々だけで続けようと思いますが、いかがですか?」
「えっ、えぇ・・・確かにこれ以上導師に無理をさせるわけにはいきませんし、引き延ばす訳にはいきませんし・・・やむを得ません、アニス・タトリン。大事に至らぬよう、私室に導師をお連れしなさい」
「は、はい・・・行きましょう、イオン様・・・」
「すみません・・・」
詠師達にイオンを退出させるように言いつつ場を続ける発言をしたルークに、トリトハイムが少し考え込んだ後コウモリ娘にイオンを連れていくように言い、戸惑いつつもイオンの体を支え謝るイオンを連れていく・・・
(第七譜石を詠んで体調を崩した、か。多分被験者が健在で健康だったなら普通に詠めたんじゃねぇかな、第七譜石)
その様子を民衆達が心配そうに見つめる中、ルークはイオンが崩れ落ちた理由を体力の劣化からだと推測する。
(・・・まぁ結果オーライかな。これでこの譜石が特別な物だって認識してくれるだろうし)
ただ正確な理由は分からないが、ルークからしてこの状況は歓迎出来る物だった。何しろ滅びが詠まれた預言を詠んで、教団のトップである導師が倒れたのだ。イオンがレプリカという事を知らない民衆からしてみれば、見解の違いはあれど不吉な物だとの見方がついていてもおかしくない。そしてそんな譜石だからこそ、これから話す中身が更に活きて来るともルークは思っている。
(ただなんだろうな、導師が倒れたってのになんでコウモリは立ち尽くしてたんだ?俺より先に動いて導師を支えるべきだろ、別に俺素早く動いて支えた訳じゃねーのに)
しかしそうルークが考えている内にイオンが倒れた時にまたもやコウモリ娘はミスというか、ある意味らしさを発揮して初動もへったくれもなく突っ立っていた事を思い返す。
(この様子じゃ導師守護役からは除籍されなくても、常に隣にいる導師守護役からは外されるだろうな。導師守護役って他にも二・三十人はいるって言ってたし、導師守護役を誰にするかの権限はトリトハイムのオッサンか他の詠師に譲られるだろうし。イオンはコウモリ娘が導師守護役自体を外されたら悲しんで引き止めようとするだろうから、それが精一杯の処置って所だろうし・・・ま、そこんとこはダアト側の問題だし俺には関係ねぇか)
今は色々ゴタゴタの最中だからコウモリ娘をそのままの位置で使っているが、事が落ち着けば交替されかねない。そんなことをルークは思っていた。
・・・そしてイオンが教会の中に入って姿を消すと、ルークは声を民衆に向ける。
「・・・導師の体調が些か心配な所ですが、お話を続けたいと思います」
仕切り直しを告げるその声に、民衆達の視線は扉から再びルークに向く。
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