焔と渦巻く忍法帖 第二十四話

・・・そして教会を出て、民衆を抑える神託の盾と詠師達の前に現れたルーク達。
‘おい、導師だ!’
‘隣にいるのは・・・レプリカのルーク様だ!’
ルーク達が現れた事で民衆達の視線は一斉にそちらに向き、つられて詠師達もそちらに向きイオンに近づいて来る。
「どうなされたのですか、導師・・・?まだ交代の時間ではありませんが・・・」
「朱炎が戻って来て今すぐ事実について公表するべきだと申しましたので、それを説明しようとここに来ました。後は僕達に任せて後ろに下がってください」
「はい、わかりました・・・」
詠師達の疑問の視線にイオンは事態の沈静の為だからか、珍しく凛とした様子で詠師達を自らの後ろに下がらせる。
「皆さん、落ち着いてください。今から外殻大地降下の件について、お話致します」
そして下がりつつあった詠師から拡声器を受け取ると、イオンは外殻大地降下をした理由を話して民衆達を落ち着かせにかかる・・・









「・・・という訳です。こちらにいる朱炎が外殻大地降下をし終えたから先日の地が浮遊した感覚があったというわけです」
‘・・・いつか外殻大地が崩れるかもしれなかったから、それで一刻も早く魔界に降ろした・・・’
‘・・・障気の中和も成し遂げたんだよな、あの人が・・・’
一通りイオンが話し終えると、民衆達はザワザワと顔を見合わせながら話をしだす。そしてその中にはルークを敬っているような視線と声が向けられてくる。まぁそれも当然だろう、外殻大地降下も障気中和もルーク発案の行動なわけで他の人間の入る余地などない。世界全体の危機に対して率先して策を練り、自ら動いてきたルークにそのような視線はないほうがおかしい・・・まぁそれも計算した上で、畏敬の念を集めるようにルークはしていたのだが。
「・・・それで彼は外殻大地降下をした時、彼も予想だにしていない事態が起こったそうなのです。その件については彼が皆さんにお話しするべきだと言っていますので、彼からお話ししていただきます。彼はつい先程戻って来たばかりで、私も詳しい内容は聞いていませんので・・・ではどうぞ」
そこからイオンは自分はこれ以上は知らないからと流れを作りながらルークに話を振り、拡声器を手渡す。その拡声器を見ながら緊迫した顔つきを見せると、ルークはゆっくりと声を出す。
・・・これからの演説が煙デコ達への最大にして、最後の攻撃になるとルークは内心で考えながら。



「・・・私は外殻大地降下をするため、セフィロトを回りました。そして私はそれらを経て、最後のセフィロトのラジエイトゲートに着き・・・最後の降下の作業をやり終えました」
‘‘‘‘おぉ~・・・’’’’
まずは小手始めにと外殻大地降下の瞬間を語り、民衆の静かに波打つような歓声をいただく。
「障気の中和も成し遂げ、アクゼリュスのように他の地を崩落させることもなく外殻大地を降下させることが出来た・・・そのことに私は不覚にも喜びで心がいっぱいになっていました、これで人々は滅びずに済むと思い・・・ですがそう思っていた時に、私の心に不意に何者かの声が届いてきました」
‘‘‘‘?’’’’
「皆様はなんのことかわからないでしょう。ですがその届いて来た声と会話をして実際にその存在と対面したことで、私はその存在が何者かということを知りました。その存在の名とは」



「ローレライです」








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