焔と渦巻く忍法帖 第二十四話

「・・・行きましたね」
「だな・・・さ、今度はサフィール。お前をケテルブルクに送るぞ。今の内に早く行っとかないとダアトに戻る前にキムラスカにマルクトからの手紙が来ちまう」
「そうですね。ではお願いします」
その光景を見届けサフィールはポツリと声を漏らし、ルークは印を組み影分身を出しながらケテルブルクに行くと言い出す。サフィールも同意を返しながら椅子を持つ影分身に自分を運ぶ事を頼む。そして影分身が椅子を掴んだ瞬間、二人は一瞬にしてその場から姿を消した・・・



・・・この場で別れたのは役割が残っていなかった三人。だが残ったサフィールももうやれる役割はない。だから見送りが終わった後、サフィールを生まれ故郷のケテルブルクに送ることにしたのだ。

ただこの場でも、ケテルブルクに着いても今生の別れをする気はルークにもサフィールにもない。まだ最後となる会合の機会は残っているのだから、その時に最後の挨拶を交わす為に・・・












・・・そして数日後のダアト。ダアトの街の中の宿にてケテルブルクにサフィールを送った後、ここでベッドに寝転がり休息を取っていたルーク。
‘コンコン’
「失礼します」
そんな室内にノックが響き、丁寧な声と共に教団員のローブを来た人物が入室してくる。
「キムラスカとマルクトからの手紙が届きました。準備は万全との事で、導師も外殻大地降下を無事に成し遂げていただきたいとの言葉を送られました」
「そうか。俺は今からラジエイトゲートに向かうからもう下がっていいよ」
「はい、失礼します」
そこから早速と真面目に報告をしたローブの人物にルークは立ち上がって手をヒラヒラ振り退出を言い渡し、ローブの人物は素直に退出する。
「さってと、行くか・・・ローレライ、またここに戻ったら手筈通りやるぞ」
『承知している。だがあのような手を打つ事を決めるとは、そなたはそれほどルークが嫌いなのか・・・?』
ドアが閉まるのを見届けるとルークは腰元の鍵を見据え話し掛け、ローレライもその声に答えるが途端に煙デコのことについて更に策があることについての疑問の声を上げる。
が、その疑問にルークは鍵に向かってそれはそれはいい笑みを浮かべる。
「ルーク様だけじゃねぇ、お飾り軍人達と反骨使用人と自分本位偽姫と浅薄善人導師も嫌いだよ。それに・・・その他諸々の馬鹿を作る根源になった、預言もな」
『・・・そうか。済まなかった、時間を取らせて。では行こう、ラジエイトゲートに』
「ああ、行こうか」
これ以上ない本音がこもった物が笑顔にそぐわない暗い声色で放たれ、ローレライは空気を察して何も言わずに出発を口にする。その言葉に同意しながら宿という場所の為、律儀にルークは入口からチェックアウトして出ようと部屋の扉を開けて出ていく・・・









・・・そしてダアトを出て、ルークは一路ラジエイトゲートに向かった。

そして何日もしない内にルークはラジエイトゲートにたどり着いて、今現在ルークはセフィロトの制御盤の前に立っていた。



「・・・ここで操作をすれば他の外殻大地も一緒に降下するよう、設定してと・・・」
パンパン軽く制御盤を独り言を言いながら叩いていくルーク。その様子には躊躇いや気負いなど一切なく、寧ろ軽さすら伺える。
「よし、これで降下をさせられる。ポチッ、と・・・」
必要な操作を一通り終えて、制御盤を最後に指でポンと押す。
「・・・ん、これが地面が下に降りてるって感覚か・・・新鮮だな、なんか・・・」
そして少しするとルークはなんとも形容しがたい感覚が足元から直に伝わってきたことで、下を見ながら興味を示した顔を見せる。だがその表情をすぐさま顔を上げながら消し、冷静に入口の方の通路に視線を向ける。
「時間をかけてる暇もないし、ダアトに行くか。どうせもうここには用もないしな・・・」
この独特の感覚を味わい続ける意味もない、そう判断しルークはさっさとダアトに行こうとその場から姿を消す。最後の仕上げをしに行く為に・・・






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