焔と渦巻く忍法帖 第二十四話

「よっし、んじゃ適当に誰もいない場所に移るか」
「ああ・・・シンクにアリエッタはもう準備はいいってば?」
「うん、僕は全然構わないよ」
「・・・アリエッタも大丈夫、です。ママ達にはもう挨拶、してきました・・・」
ノエルを見送りルークとナルトが二人に振り返りながら問うと、シンクは軽く肩を竦めながら答えてアリエッタは重く確かに頷いて答える。
「んじゃサフィール、ちょっと移動するけどついて来るか?」
「ええ、行きます。恐らくこれで最後でしょうし、見送りくらいはさせてください」
「よしわかった。んじゃ時間かけるのもなんだし、早速人のいない場所に行こうか」
そしてサフィールにも振り返りながら問うと行くと頷いて返され、ルークは素早く印を組み影分身を三体出し、シンク達を影分身達に抱えさせると返事を聞くまでもなくその場からナルトとともに港から消える・・・









・・・そしてルーク達がやってきたのは、すぐ近くにあるメジオラ高原の中。
周りはただ荒れた荒野と丘陵くらいしかなく、人の姿などは見られない。
「さて・・・何か言っておく事はあるか、サフィール?」
目の前にシンク・ナルト・アリエッタの順に並んだ三人がいて、隣にサフィール。そんな状況でルークはサフィールの方を向きながら問い掛ける。
「いえ、まぁ・・・二人とこんなふうな間柄になれるとは思っていませんでしたので、コーラル城からはともかくそれ以前は正直あまり思い入れがなかったもので・・・月並みな言葉ですが、元気でやってくださいとしか言いようがありませんね・・・」
「・・・ま、下手に飾られた言葉よりは全然その方がいいよ」
「それでいい、です」
そこからサフィールは途端に言葉を淀ませながらも、自身の本音を交えつつその通りの月並みな言葉を出す。その言葉にシンクもわからないでもないとフォローしながら答え、アリエッタもその声に同意する。



・・・さて、ここでなんで別れの挨拶をしているのかと言えばそれは正しく別れるからだ。一足先にナルトがシンクとアリエッタを連れて向こうの世界に行くために。

これはもう仕上げに取り掛かっている時期なだけに、もうサフィールを除いてナルト達がやるようなことも特にない。ならいっそ先に二人とナルトが戻れば自来也も交えつつ、忍術の修業が出来るだろう。

そう考えたが故にもうナルト達は先に行ってもいいだろうということで、ルークは見送る事にしたのだ。三人を・・・



「言葉そのままで返すのもなんだけどさ、サフィールも元気でいろってばよ。しばらくは面倒だろうけどさ、こっちは色々と」
「ありがとうございます。ただ私も色々やってきましたからね。そう易々とくじける気もありませんし、もしものことがあったならそれが私という物語の終焉の時です。預言とは関係ない、私の物語のね」
ナルトもそれに倣い笑顔で声をかけ、サフィールは自身の不幸な事態を口にしながらも晴れやかな声で答える。
・・・この世界は人の統治する、預言を排した流れが出来るのだ。そのような状態でこれよりどんな事件がどの場所で起こるか、ルーク達でも予測出来る物ではない。波乱を起こす存在がここにはいない、などと確定できる要素などどこにもないのだから。
それを理解しているからサフィールは覚悟も出来ていて、明るくいれるのだ。
「そっか。ならもう俺達は行くってばよ。シンクにアリエッタからは何か言っておく事はないか?」
「ん・・・まぁ特にはないけど、精々長く生きなよ。こんなこと言わなくてもあんた生命力あるから大丈夫だとは思うけどね」
「サフィール、元気でいてください、です」
「・・・ありがとうございます」
ナルトから声をかけるよう言われ、二人かららしいと言える別れの言葉にサフィールは頭を下げる。
「んじゃ、俺達は行くから・・・ルーク、終わったらさっさと来るってばよ」
「わかってるよ、んじゃまたな」
それを見届けるとナルトはさっと印を組みながらルークを見つつ、しばしの別れを告げる。そしてナルトを中心に光に包まれていく様子を見ながらも、ルークは律儀にその声に答える。
・・・そして三人の姿が光に包まれ、その光が途端に消えるともうそこには三人の姿はなかった・・・








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