焔と渦巻く忍法帖 第二十四話

「ただいくら譜業の問題があるとはいえ、第七音譜術士の事も考えずにプラネットストーム停止を強行してしまえば反発が起こり得るのは当然の事です。だからこそキムラスカとダアトで協議の元、この問題に取り掛かるべきです」
「・・・貴殿は精々三年がどちらを選択するかの期限だと言ったな?確かにこの問題に関して三国で協議しなければいけないのはわかるが何故三年なんだ?」
事の重大さを認識させた後ルークは自分の意見を言い終え下がろうとするが、ピオニーは納得しながらも期限の事を口にする。
「それは言ってしまえばどちらの選択肢にするかを民に示す契機と言えるからです。そしてその契機とは」



「ルーク様の成人の儀です」



「・・・何?」
その質問にルークは預言と同時に煙デコ達にとどめを刺す、その期日をピオニーに告げる。
「もちろん結論が出たならすぐにでも発表してよろしいでしょうが、余程きっかけとして相応しい時を選ばなければ人々に受け入れられるには時間がかかるでしょう。その点でルーク様の成人の儀に乗じてどうするかの結論を誠実に丁寧にどのような対応をするかを明かしたなら、新たな王を迎え入れる流れの上で普通の時よりは確実に受け入れられると思います」
「・・・その間はじっくり考える時間もある上、機としてはこれ以上ない程の時という事か」
「ただ逆にそれ以上の時間をかければ余程の好機が訪れない限り、人々の反発を招くと思われます。その結論に到るのに何故そこまで時間がかかったのかと言われる事もですが、いずれ人々はこの星の危機の事に対しての危機感を忘れ過去の物とします。恐らくルーク様が成人される暁には人々も一連の出来事を思い出すでしょうが、そこがその危機感を忘れずにいられる限界でもあります」
「・・・それも頷けるな。三年も経てば余程大きな争いがなければ人々はその時の気持ちも薄れるだろうし、その平和で人々は順調な生活をわざわざぶち壊しにされる事を嫌うだろう・・・それ以上時間を空けるのは否応なしに一つ目の選択肢になるが、後世に任せるというのも無責任だしな・・・」
その期日であるべき理由とその日以降の不利を告げるルークに、ピオニーは手を顎に沿え独り言で考えをまとめようとする。



・・・だがピオニーは知らない、煙デコが飾りの王となるやも知れぬ期日でもあるということを。そしてルークはそのことを元にこの対策を投げかけている、ほぼ確実に煙デコがそれまでに対した成果も残せずにいることを確信しながら。

・・・もしルークの言ったように三国協力でその事態に取り掛かることを決定させたなら、煙デコにとっての実質的な次代のお飾り王のお披露目の場となるだろう。だがその決定項を覆す権利など煙デコに存在などしない。飾りに反発の意志など必要ない上、世界の行く末を左右する国家間の決定を個人が否定出来ようもない。

・・・三年後歯噛みどころか唇を噛み締め血を滲ませながらも、インゴベルトに逆らえず嫌々従う煙デコの姿が目に浮かぶ。そしてその決定の裏では、修頭胸達にも余波が来ることも想像出来る。故にルーク達は三年後が非常に楽しみであった、その状況がどれだけ酷くなるのかを考える程に・・・



「・・・わかった。とりあえず今までの事を臣下達も交えて色々話をしたい。まだ話があるなら聞かせてもらうが、そうでなければこれで話を終わりにしたいんだが・・・」
「ええ、それで構いません。一通り話は終わりましたし、キムラスカにも今の話をしに行こうと思っていますのでこの辺りで終わりにしましょう」
そしてピオニーの性格をある程度把握しているだけに、今の現状のまま後にほっぽりだして終わるなど考えられないとルーク達は思っている。
独り言から真剣に臣下達と話をしたいからとピオニーは切り上げを願い、ルークはそうするために話をしたいのだと思い実際に話も終えた為にその声に同意で返す。









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