焔と渦巻く忍法帖 第二十四話
「プラネットストームを止める、だと・・・！？それで第七音素がなくなったらどうなるのか「わかって言っています」」
・・・この星の人間にとって、最大の決断。それをあっさり告げられピオニーは信じられないと声を上げるが、ルークはその声を通る声でハッキリと遮る。
「プラネットストームを止めたなら今普通に使える音素を元にした譜業も使えなくなり、第七音素術士による譜術も使えなくなります。ですが・・・その代償にタルタロスが壊れたとしても、二度と障気は生まれて来る事はありません」
「っ！・・・なら答えてくれ、プラネットストームを止めたなら何故障気が生まれなくなるのかを」
確固とした意志を込めたルークの声と障気が生まれない利点にピオニーは息を呑み、覚悟を決めた表情をしてからルークにその理論を問う。
「これはローレライから聞いたのですが、その理論は到って簡単な事です。障気という物はプラネットストームにより地核に生まれたひずみによって第七音素が汚されて地上に現れた物で、今なお障気が溢れ出ているのはそのひずみが未だ動き続けるプラネットストームによってこじ開け続けられているからです。そのひずみがあるから第七音素が障気に変わる訳なのですが、プラネットストームを止めて第七音素を発生させることを止めたら・・・」
「障気の原因がないからもう心配の種がなくなる、というわけか・・・」
「そういうことです。故にプラネットストームを止めればひずみを刺激することもなく、そのひずみに第七音素が汚されて障気と化して地上に出る事もなくなるのです」
「・・・」
そこまでルークから聞き、ピオニーは考え込むよう手を額に当てる。それに倣い、臣下達も考え込むよう唸り声を上げる。
・・・それもそうだろう、この世界の人間にとって音素の恩恵は誰にも分け隔てなくもたらされてきた物だ。いくら星全体の生命の危機に瀕しているとは言え、一朝一夕にはどうするべきか結論を下せないはず。
だがルークは今すぐの結論など求めていないし、そう決断させるための論理はまだ持ち合わせている。今は悩んでくれて構わないのだ、毒の花を艶やかに咲かせる為に・・・
「・・・・・・確かにプラネットストームを止めれば障気の危機はなくなるかもしれない。だがそれをやってしまえば先程も言っていたが、第七音素術士の譜術が使えなくなる点と譜業がまともに動けなくなる点が問題になる。その点についてはどう考えている？」
一分もしないくらいだろう。ピオニーは黙考から一転、ルークに問題点について真剣に質問を繰り出す。
「・・・その点につきましては陛下達が上手く民を説得していただかなくてはいけません。第七音素術士と今の形態の譜業、特に譜業をこのまま放っておけばまた問題が起きかねませんので」
「・・・今の形態の譜業？」
「はい。今の譜業は音素を元にした物がほとんどと言っていいでしょう。そして産業を発展させる時に付き纏う問題がまた一つあります。それが、エネルギーです」
「エネルギー・・・」
「今譜業に使われるエネルギーというのは今言ったように音素です。ただそのエネルギーを生み出す機関というのはプラネットストームです。そしてプラネットストームを使って創世歴の技術は類を見ない程発展しましたが、結果としてプラネットストームはひずみを生みました。更にそのひずみが大きくなり障気が多大に排出されるきっかけというのが、音素の消費量の多さだとのことです。音素が使われるほど、プラネットストームもより活発になるらしく・・・もちろんタルタロスも多少音素の消費量が増えたくらいではすぐには壊れないでしょう。ただ年月が経てば、次第にその差は現れていくはず・・・」
「・・・だから音素に変わるエネルギーでも見つけないと、迂闊に産業も興せないという訳か・・・」
「音素にこのまま頼り続ければまたいずれは障気が復活なんて状態はすぐに訪れるでしょう。だからこそ、私はプラネットストームを止めるべきだと考えています」
「「「「・・・」」」」
その質問にルークは持ち合わせた論理で壮大に返し、何度目かになるピオニーとその臣下達を一気に黙らせる。
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・・・この星の人間にとって、最大の決断。それをあっさり告げられピオニーは信じられないと声を上げるが、ルークはその声を通る声でハッキリと遮る。
「プラネットストームを止めたなら今普通に使える音素を元にした譜業も使えなくなり、第七音素術士による譜術も使えなくなります。ですが・・・その代償にタルタロスが壊れたとしても、二度と障気は生まれて来る事はありません」
「っ！・・・なら答えてくれ、プラネットストームを止めたなら何故障気が生まれなくなるのかを」
確固とした意志を込めたルークの声と障気が生まれない利点にピオニーは息を呑み、覚悟を決めた表情をしてからルークにその理論を問う。
「これはローレライから聞いたのですが、その理論は到って簡単な事です。障気という物はプラネットストームにより地核に生まれたひずみによって第七音素が汚されて地上に現れた物で、今なお障気が溢れ出ているのはそのひずみが未だ動き続けるプラネットストームによってこじ開け続けられているからです。そのひずみがあるから第七音素が障気に変わる訳なのですが、プラネットストームを止めて第七音素を発生させることを止めたら・・・」
「障気の原因がないからもう心配の種がなくなる、というわけか・・・」
「そういうことです。故にプラネットストームを止めればひずみを刺激することもなく、そのひずみに第七音素が汚されて障気と化して地上に出る事もなくなるのです」
「・・・」
そこまでルークから聞き、ピオニーは考え込むよう手を額に当てる。それに倣い、臣下達も考え込むよう唸り声を上げる。
・・・それもそうだろう、この世界の人間にとって音素の恩恵は誰にも分け隔てなくもたらされてきた物だ。いくら星全体の生命の危機に瀕しているとは言え、一朝一夕にはどうするべきか結論を下せないはず。
だがルークは今すぐの結論など求めていないし、そう決断させるための論理はまだ持ち合わせている。今は悩んでくれて構わないのだ、毒の花を艶やかに咲かせる為に・・・
「・・・・・・確かにプラネットストームを止めれば障気の危機はなくなるかもしれない。だがそれをやってしまえば先程も言っていたが、第七音素術士の譜術が使えなくなる点と譜業がまともに動けなくなる点が問題になる。その点についてはどう考えている？」
一分もしないくらいだろう。ピオニーは黙考から一転、ルークに問題点について真剣に質問を繰り出す。
「・・・その点につきましては陛下達が上手く民を説得していただかなくてはいけません。第七音素術士と今の形態の譜業、特に譜業をこのまま放っておけばまた問題が起きかねませんので」
「・・・今の形態の譜業？」
「はい。今の譜業は音素を元にした物がほとんどと言っていいでしょう。そして産業を発展させる時に付き纏う問題がまた一つあります。それが、エネルギーです」
「エネルギー・・・」
「今譜業に使われるエネルギーというのは今言ったように音素です。ただそのエネルギーを生み出す機関というのはプラネットストームです。そしてプラネットストームを使って創世歴の技術は類を見ない程発展しましたが、結果としてプラネットストームはひずみを生みました。更にそのひずみが大きくなり障気が多大に排出されるきっかけというのが、音素の消費量の多さだとのことです。音素が使われるほど、プラネットストームもより活発になるらしく・・・もちろんタルタロスも多少音素の消費量が増えたくらいではすぐには壊れないでしょう。ただ年月が経てば、次第にその差は現れていくはず・・・」
「・・・だから音素に変わるエネルギーでも見つけないと、迂闊に産業も興せないという訳か・・・」
「音素にこのまま頼り続ければまたいずれは障気が復活なんて状態はすぐに訪れるでしょう。だからこそ、私はプラネットストームを止めるべきだと考えています」
「「「「・・・」」」」
その質問にルークは持ち合わせた論理で壮大に返し、何度目かになるピオニーとその臣下達を一気に黙らせる。
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