焔と渦巻く忍法帖 第二十四話

「今言った通り、すぐにはタルタロスは壊れはしないでしょう。ですがタルタロスはどう持っても千年行かずに壊れるでしょう。比較するのはいかがなものかとは思いますが、創世歴の技術と今現在の技術・・・今尚技術力が創世歴に追いついていない現状で、外殻大地以上にタルタロスが形を保ちつづける事は考えにくい」
「確かに・・・」
臣下達が驚きに満ちる中でルークは技術力の差を告げ、ピオニーを説得する。
「ならばどうするか・・・ここで考えられる選択肢は二つあります」
そこでルークは左手を出し、ピースの形で指を二本立てる。
「まず一つ目はタルタロスが壊れた時、その時を生きているだろう人々の為に障気中和装置の作り方を伝承などの形にして残しておく、です。ただ、これはいつ壊れるかわからないという点で二つ目の対応を取ることを決断できなかった場合にのみこうするべきです。主な理由としてはその伝承などが何らかの理由で廃れて後世に伝わらないことが考えられますし、後世の人々の対応が遅ければ復活した障気により世界滅亡という可能性も否定出来ません。それに障気中和装置に使われた部品は今はもう使われていない部品が多々あると技術者達が言っていたとのことです。うまくそのことを踏まえた対応を取らなければ障気中和装置すら作れない、なんて状況も十分に有り得ます」
「・・・あまり勧められた物ではない、ということか・・・」
一つ目の具体性をルークは上げ、それを聞きピオニーは難しい表情になる。
「・・・なら二つ目の方法は一つ目よりはいい選択肢なのか?」
だがまだ選択肢があることで、ピオニーは今までの事もありルークにどこか期待するよう真面目に質問する。
「・・・いえ、それはピオニー陛下達次第です」
「・・・何?どういうことだ?」
だがそこでルークは突き放すよう、首を横に振る。予想外の返答に、ピオニーも臣下も勢いを削がれて声を落とす。
「それは、二つ目の対応にするならピオニー陛下にインゴベルト陛下に導師が協力しあい取り掛からなくてはならないんです。ただ二つ目を選んだなら多大な苦労が伴われる上に、そうすることを民衆に遠くない内に示さなければなりません・・・それらを踏まえた上で一つ目にするか二つ目にするか、精々三年といった所がどちらかの決断に到る為のタイムリミットという所です」
「・・・成程、それだけ話し合わなければならないほど困難な道のりということか」
「無論、一つ目も後世の事を考え対策を練る以上苦労は確実に伴われます。ですが二つ目を取るなら今を生きる陛下達が一つ目以上に苦労することになります。ですがこれが上手くいったなら、二度と障気に怯える事もなく後世の人々も生きられるでしょう」
「何!?障気が出なくなるだと・・・!?」
二つ目の選択肢がいかに困難さを語るルーク。だがそれ以上に気になる障気の事を言われ、ピオニーは大いに驚き声を上げる。
「ですが、もちろんそのための代償という物も存在します。そしてその代償は二つ目の対応を取りさえすれば、すぐさまにでも取り立てられます。世界から」
「・・・世界から?・・・一体どんなことをするんだ、二つ目の選択肢は・・・?」
あまりにもスケールの大きな話に、ピオニーの顔は今度はまいったように変わる。その様子にルークはハッキリと告げる。



・・・預言信者達への毒の花を咲かす、種を植え付ける言葉を。
「お答えします。二つ目選択肢とはプラネットストームを止めて、第七音素を世界から消すことです」








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