焔と渦巻く忍法帖 第二十四話
「まず外殻大地降下を成してからその後、我々はダアトに向かいます」
「ダアトに?」
「そしてダアトに行ったなら導師に協力していただくのです」
「ローレライという存在を音譜帯に昇る光景と第七譜石を承る光景を見せ、より一層のこと預言を詠まないようにするための舞台への協力を」
「・・・具体的にその舞台にはどのような筋書きがあり、どのような効果がもたらされるんだ?」
舞台と聞きピオニーはまた探るように問い掛けて来る。
「まずですが、民衆の方々にローレライの存在を明かすことで存在を認識していただきます。そして第七譜石を導師に渡して詠んでいただく事とホドに第七譜石があったと明かすことで、ヴァン謡将がホドで第七譜石を見たことで預言に絶望したのだと認識していただけることになります」
「・・・ヴァンを再び利用するのか?」
「はい。ケセドニアにて謡将を処刑した際にはホドに第七譜石があって謡将がそれを詠んだとまでは明かしてはいませんでしたが、その時にそのことまでも言ってしまっていたならただでさえ混乱していた民衆に更に混乱をもたらしていたでしょう。故にその場では言いはしなかったのですが、こうやって第七譜石がある以上それを利用しない手はありません。その時に第七譜石の内容と共に、ヴァン謡将がその中身を知っていたことを明かします」
「成程、それなら預言を憎む動機がより強まるな。事実と証拠が揃っているだけに・・・」
その問い掛けにルークは再び老け髭を引き合いに出し、ピオニーの納得を得ていく。
「ただそのことをケセドニアの時に何故言わなかったと言われるでしょうが、その件につきましてはディスト殿が答えると言ってくれました。第七譜石の中身までも知っていたというのが半ば虚言ではないかと疑っていた、という風に。ただこの時にはもう第七譜石も世に出てローレライも場にいるので、疑う声も出ても極少数でしょう」
「・・・だろうな」
「そしてそれら全てを説明し終わった後、預言を詠まない事を願うローレライの声の後・・・ローレライが音譜帯に昇る事で、預言保守派の大儀を消すことが成立するわけです。と同時に、ユリアシティの住人の動きを封じることも」
「・・・そうか!世界の滅びと、ローレライとユリアの願い・・・その二つを預言を詠む事との天秤にかけることで預言保守派の意義を世界から打ち消すのか!それを大衆に印象づかせることが出来れば、預言を詠む事を止めようという流れが出来る!」
「はい。外殻大地降下後にローレライ解放、その噂は当然世界中に広がるでしょう。そしてそれは当然ユリアシティにも。その時ユリアシティは苦しい流れを強いられるでしょうが、うまく世界の流れに乗ることが出来れば彼の地も預言を詠む事を絶対とはしなくなります。ですがあくまでも世界の流れに反発するというのであれば、外殻大地が降りきった後でもユリアシティは孤立するでしょう。魔界の地にただひとつしかない、今の街の現状のように」
「成程・・・」
一挙両得、預言保守派の意義と心を封殺するその案にピオニーもハッとした顔をルークに向ける。臣下達からも、小声で感嘆の声が上がっている。
「ただもしもの場合ですが、そこまでしてユリアシティがまた預言を無理に実行しようとしたなら戦争へと取り掛からなくてはいけなくなるやも知れません。その時は決断をしなければいけないということも、覚悟されてください」
「・・・それは貴殿が脅しを相当かけたことでユリアシティ側も十分自重するだろう。ここまでやればユリアシティも余程の事はやりはしないだろうな。ただ周りから助けをもらえないから、しばらくユリアシティは苦労するだろうがな・・・」
そこでルークはそれでも預言をユリアシティが重視した場合の対応を告げ、ピオニーはわかっていると言いながらもその時の困難さを思って声を上げる。
・・・そう、ピオニーの予想は間違っていない。ただそれはユリアシティだけでの問題ではなく、ダアトの問題でもあった。
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「ダアトに?」
「そしてダアトに行ったなら導師に協力していただくのです」
「ローレライという存在を音譜帯に昇る光景と第七譜石を承る光景を見せ、より一層のこと預言を詠まないようにするための舞台への協力を」
「・・・具体的にその舞台にはどのような筋書きがあり、どのような効果がもたらされるんだ?」
舞台と聞きピオニーはまた探るように問い掛けて来る。
「まずですが、民衆の方々にローレライの存在を明かすことで存在を認識していただきます。そして第七譜石を導師に渡して詠んでいただく事とホドに第七譜石があったと明かすことで、ヴァン謡将がホドで第七譜石を見たことで預言に絶望したのだと認識していただけることになります」
「・・・ヴァンを再び利用するのか?」
「はい。ケセドニアにて謡将を処刑した際にはホドに第七譜石があって謡将がそれを詠んだとまでは明かしてはいませんでしたが、その時にそのことまでも言ってしまっていたならただでさえ混乱していた民衆に更に混乱をもたらしていたでしょう。故にその場では言いはしなかったのですが、こうやって第七譜石がある以上それを利用しない手はありません。その時に第七譜石の内容と共に、ヴァン謡将がその中身を知っていたことを明かします」
「成程、それなら預言を憎む動機がより強まるな。事実と証拠が揃っているだけに・・・」
その問い掛けにルークは再び老け髭を引き合いに出し、ピオニーの納得を得ていく。
「ただそのことをケセドニアの時に何故言わなかったと言われるでしょうが、その件につきましてはディスト殿が答えると言ってくれました。第七譜石の中身までも知っていたというのが半ば虚言ではないかと疑っていた、という風に。ただこの時にはもう第七譜石も世に出てローレライも場にいるので、疑う声も出ても極少数でしょう」
「・・・だろうな」
「そしてそれら全てを説明し終わった後、預言を詠まない事を願うローレライの声の後・・・ローレライが音譜帯に昇る事で、預言保守派の大儀を消すことが成立するわけです。と同時に、ユリアシティの住人の動きを封じることも」
「・・・そうか!世界の滅びと、ローレライとユリアの願い・・・その二つを預言を詠む事との天秤にかけることで預言保守派の意義を世界から打ち消すのか!それを大衆に印象づかせることが出来れば、預言を詠む事を止めようという流れが出来る!」
「はい。外殻大地降下後にローレライ解放、その噂は当然世界中に広がるでしょう。そしてそれは当然ユリアシティにも。その時ユリアシティは苦しい流れを強いられるでしょうが、うまく世界の流れに乗ることが出来れば彼の地も預言を詠む事を絶対とはしなくなります。ですがあくまでも世界の流れに反発するというのであれば、外殻大地が降りきった後でもユリアシティは孤立するでしょう。魔界の地にただひとつしかない、今の街の現状のように」
「成程・・・」
一挙両得、預言保守派の意義と心を封殺するその案にピオニーもハッとした顔をルークに向ける。臣下達からも、小声で感嘆の声が上がっている。
「ただもしもの場合ですが、そこまでしてユリアシティがまた預言を無理に実行しようとしたなら戦争へと取り掛からなくてはいけなくなるやも知れません。その時は決断をしなければいけないということも、覚悟されてください」
「・・・それは貴殿が脅しを相当かけたことでユリアシティ側も十分自重するだろう。ここまでやればユリアシティも余程の事はやりはしないだろうな。ただ周りから助けをもらえないから、しばらくユリアシティは苦労するだろうがな・・・」
そこでルークはそれでも預言をユリアシティが重視した場合の対応を告げ、ピオニーはわかっていると言いながらもその時の困難さを思って声を上げる。
・・・そう、ピオニーの予想は間違っていない。ただそれはユリアシティだけでの問題ではなく、ダアトの問題でもあった。
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