焔と渦巻く忍法帖 第五話

「「ん~、よく寝た(ってばよ)」」
朝という時間帯には少し早い時にルークとナルトは目覚めていた。気持いい晴れ模様だということで、二人は登り始めた太陽の光を全身に浴びている。
「よーしじゃあそろそろあの修頭胸を起こすか」
ルーク達が早く起きているのには理由がある。昨日マルクト軍の眼鏡狸に目をつけられた事から、ルーク達は面倒になる前にさっさとエンゲーブから離れようという事を決定していた。ただ、朝早くから離れるというだけでいつ起きるというのは決定していなかったので、修頭胸は今も夢の中にいるが。



「でも俺が同行するっていうのにはやっぱり反論すると思ってたってばよ」
少し眠そうに言うナルト。昨夜兼ねてからの打ち合わせ通りルークはナルトの同行を切り出した。案の定その時修頭胸の反応は、
「本気なの?」
歓迎の色は見えず、寧ろ拒絶の色が見える口調だった。その時ナルトは、
「俺・・・親を探してるんだってばよ」
泣き落としという古典的な方法で揺さぶりにかけてきた。しかし、ナルトの演技力は半端ではない。
「マルクトに親はいなかったってば。今度はキムラスカに行かなきゃいけないんだってばよ・・・」
声を落とし、顔を下に向け、手が白くなる程拳を強く握っている、特に下を向いた顔から僅かに見えた涙、それは修頭胸を慌てさせるには充分すぎる威力があった。
「あ、あの・・・」
涙が出たことでどう慰めようかとあわあわしだした修頭胸。その動揺につけこむべくルークが後押しをする。
「連れてきゃいいじゃねーか、そのガキほっといて一人で行かせてのたれ死んでも後味悪いだけだろ」
うっ、とつまる。やはり断る事がどういうことになるのか深く考えずに発言していたようだ。
「・・・わかったわ」
かなり渋々といった表情で了承の意が取れた。その時うつ向いていたナルトの口許に笑みが溢れていた。



「ちょろかったってばよ♪」
「お前の演技を見破れるヤツなんて数える程しかいねーよ」
「数える中の一人が何を言ってるんだってばよ」
涙を出すことなどナルトからすれば動作もない。今まで何人の人間が騙されたことだろう、どうでもいいことだと思いながらもルークは考えていた。
「あ、あれは昨日の・・・」
宿に戻ろうとしていると宿でイオンを探していた少女を見つけた。
「あれは・・・鳩」
遠目から見ているとその少女が鳩を飛ばしていた。
「・・・」
直感でルーク達はあの少女に何かあると確信した。しかし、ルーク達は人のやることやることイチイチ関わるようなお人好しではない。二人は自分達に関わらないならどうでもいいかと顔を見合わせ宿に戻っていった。





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