焔と渦巻く忍法帖 第二十四話

「・・・という訳だとのことです」
「・・・そんな理由が・・・」
・・・そして一通り話をし終えた所で、ピオニー以下マルクト陣の反応は驚きと感動に満ちたどよめき。その反応はどちらかと言えば感動のほうが強いが、やはり世界が求めてきた史実の真実を知れた事があるのだろう。
「ユリアもローレライも予期しなかった事、そして二人ともに地核からその身を出すことは叶わなかった・・・それは致し方なかったでしょう。ただ一つ言わせていただくなら、ユリアもローレライも預言の意味を誤解してほしくなかったとのことです」
「・・・滅びを回避するために預言を残した、か・・・皮肉なもんだな、こんな形で誰もが求めてきた史実をこんな複雑な気持ちで聞くことになるなんてな・・・」
「「「「・・・」」」」
そんな一同をこちらに引き戻そうとルークは真面目にユリア達の想いを引き合いに出し、ピオニーは手で顔を覆いながら天を仰ぎまいった様子になる。臣下達も話と主の様子に何とも言えずに口をつぐむ。
「お気持ちは察します。私も事実を聞いた時に驚きを隠せませんでしたので・・・」
そこでルークはマルクト陣に同調するよう顔を暗くして声を抑えて出すが、一転真剣な眼差しを向ける。
「ただ・・・これよりは今まで以上により一層、預言を国や人の指針として詠む訳にはいかないことも話からおわかりいただけたでしょう」
「ああ・・・」
「ですので、私もこれよりどのようにすべきか・・・ローレライと話しながら考えてまいりました。愚策やもしれませんが、ローレライのこれからやろうとしていることを聞くついででよろしいので聞いてはいただけないでしょうか?」
「・・・わかった、聞かせてもらおう。貴殿には色々迷惑をかけたし、同時に世話にもなっているしな」
そこから前置きを置いてルークはピオニーに対しての何度目かになる策の提示に入る。その提案にローレライの名も出された事もあり、ピオニーは顔を下ろして貸しもあり断れないと聞く体制に入る。
「ありがとうございます。まずはローレライがこれからやりたいと思っている事ですが、音譜帯に昇りたいとのことです」
「音譜帯・・・?」
「はい、音譜帯です」
そしてまずはローレライの目的についてルークは話し出す。



・・・音譜帯に昇る。それがアルビオール内でルーク達に語ってきたローレライの最後の目的だ。
元々はユリアと契約を交わしていたのだがそれが終わったなら譜石帯に昇って音譜帯の七番目の層になる予定だったらしく、それが事故で叶わなくなったからルークのやろうとしていることが終わったならそうしたいとのことだった。

そしてそう聞いたからこそ、ルークはその気持ちを踏まえて提案をした。俺に考えた展開の一部に出る気はないか、それで預言はもう詠まれなくなると・・・そしてその提案の結果が、協力という訳だ。



「音譜帯に昇りたいと思っているローレライですが、滅びを避けたかったという言葉の通り今の現状に歎いてもいます。故にローレライは我々に協力と、第七譜石を渡してくれました」
そこで改めてルークは手に持っている第七譜石を前に出す。



「だから私は考えたのです・・・この機会をどのように活かして預言保守派の反発を抑えられるかを・・・」
そしてルークは口元に微笑を浮かべ、不敵に語り出す。預言保守派、そしてある人物達に対しての最高で最低の思想の封殺劇のシナリオを・・・







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