焔と渦巻く忍法帖 第二十四話

地核に突入し、ローレライを地核から解放したルーク達・・・そのルーク達はシェリダンに帰るまでにいくつか寄って欲しいところがあるからしばらく付き合ってくれるかとノエルに頼み、その頼みを快諾してくれたノエルの動かすアルビオールにて再び一路グランコクマに向かった・・・









・・・そしてグランコクマに着いたルーク達はすぐさま宮殿に向かい、謁見の間へと通された。



「おお、朱炎殿。どうだったかな、首尾は?」
「ええ、成功です。恐らく人為的にタルタロスをどうにかしない限りは障気は出て来ないでしょう」
適度な位置に来たルーク達にピオニーは早速経過の報告を口にし、ルークも簡潔に質問に答える。だがここでピオニーの目が一瞬鋭く暗い色で光ったのをルークは見逃さない。
「・・・時にだが、障気中和の際に特に問題は起こらなかったかな?」
「・・・いえ、特に妨害もなく問題と言える問題も起こりませんでしたのですごく静かな物でした」
「・・・そうか」
そこから盛大な含みを入れた口調でルークに探りを入れるが、その意図を察しながらもルークは何もなかったと返す。その返答にピオニーの顔はどことなく残念そうだという雰囲気を漂わせる、まるで眼鏡狸が問題を起こしてくれていた方がよかったと言わんばかりに。そして周りを見れば隠してはいるが、眼鏡狸への妙な視線を向けている臣下の姿がチラホラある・・・
「ただ・・・障気中和とは別に、二つ程大きな収穫がありました」
「ん・・・?なんだ、それは?」
だがそんな針の筵状態の眼鏡狸を見に来た訳ではないルークは別の話題を出し、ピオニー達の視線をこちらに引き戻す。
「まずは一つ目ですが、我々は地核に封じられていたローレライと接触し・・・彼の存在を解放致しました」
「何!?」
注目を浴びながら一つ目をアッサリ上げたルークの言葉に、ピオニーの驚く声を筆頭に周りも抑えた声で驚きの声を上げる。流石にこのような場所での大きな声は無作法だと知っているのだろう、この場の一人を除いたマルクト臣下は。
「嘘ではありません。証拠として、この場に出ていただきましょう・・・出て来てくれ、ローレライ」
『承知した』
「「「「!?」」」」
その声をはっきりとした声で制しながらもルークは鍵を取り出し、鍵に語りかける。そこから聞こえてきたのは紛れも無いローレライの声だが、その声にピオニー以下マルクト勢が鍵を信じられないものを見る視線で見出す。



・・・ローレライはフーブラス川付近で会話を終えた後、鍵と同化してルーク達に付いていくと言い出した。元々はユリアと契約していた時にも鍵に憑いていたというし、ローレライがフヨフヨ浮いている姿をいらんところで見せたなら余計な騒ぎになるだろうという事で、鍵に憑いて付いていく事になった。

ローレライはルーク達が自らに求める役割の時が来るまではそうすると言っていたが、同時に必要に応じて呼び出してくれて構わないと言ってきた。

故にルークは呼び出したのだ、ローレライの存在をマルクトの人間に認識してもらうために。それと最後の仕上げの段階を踏む為に・・・



だがそんなルークの思惑など露知らず、鍵からいきなり発光しだしてルークの頭の上に来た光の塊のローレライにマルクト勢の人間全てが呆気に取られる。
「・・・お前が、ローレライなのか・・・?」
『いかにも、我がローレライだ』
「「「「・・・っ!!」」」」
そんな一同を代表してピオニーが恐る恐る確認を取るが、ローレライはそうだと簡潔に返す。それを改めて聞くと、たまらず近くにいた誰かを見つけて見合わせるようにマルクト勢の人間は信じられないといった表情をする。
「陛下以下、他の方々は何故ローレライが地核にいたのか。それはご存知ないでしょう。ですので、今からローレライが地核にいた訳をお話します・・・」
ローレライだと返されアワアワと心が落ち着かない一同に、ルークは静かに語っていく。ローレライの過去と、そのあとに繋がる前置きを・・・






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