焔と渦巻く忍法帖 第二十三話

『・・・朱炎。そなたは我の見た未来をことごとく外してきた。そのことは驚嘆に値する』
「そいつはどーも。話はそれで終わりか?」
礼を言い出すローレライにルークはやる気なく、つまらなそうに適当に返す。意味のない会話をこれ以上する気のないルークは、年寄りの話に似た様子のその話をもう終わらせようとしている。
『・・・だからこそ頼む、その第七譜石を用いてもう預言通りに行かないように対策を取ってくれ。無論そなたがそうしようとしているのは知ってはいるが、是非頼む・・・』
二度頼む、と強調されたローレライの声には切実な願いがこもっているのが場にいる全員にハッキリと伝わった。ユリアの無念と自らの無念、その二つの想いがこもっていると錯覚するほどに強い物・・・
「・・・言われなくてもやってやるよ、まだやり残してる事があるしな。それが終わりゃ、もう預言通りに行く流れにはならないだろうぜ。ただユリアの思っていた預言の流れからの脱却の理想とは、大分掛け離れてるだろうけどな」
『いや、それでいい・・・誰も成し得ず、成そうともしなかった事をやってくれているのだ。確かにユリアの理想とは違うだろうが、そなたの起こした行動は確かに預言を変えてくれた。今更そのことに不満など、我にはない・・・』
その強い想いにルークも仕方ないと言わんばかりの態度で応じるが、その言葉にはローレライとユリアへの気遣いが込められている。流石に真摯に頼み込まれているだけにルークも邪険に扱う事もないが、ローレライはそのことに気を遣わないでくれと声を落とす。
するとルークは何かに気付いたよう眉を上げ、話を切り出す。
「じゃあローレライ、そんな風に言うなら俺達と少しの間だけど一緒に行動するか?」
『・・・何?』
その切り出しにローレライは疑問の声を出す。
「預言通りにならないようにしたいって思ってたんだろ?それでそろそろ最後の仕上げに入るんだけどさ、その仕上げにお前がいてくれたらその仕上げが更に盤石になんだよな」
『・・・成程、我を使おうと言うのか』
「言い方は悪いけどな」
仕上げ、その言葉から自分もルークの想う結末を作る為に協力してもらおうという意図を察したローレライ。
「もちろんやらないならやらないで構わねぇ、その場合は俺達だけで仕上げをやるさ。ただまぁ協力してくれるなら、預言通りにならなくなる流れはより一層強くはなるぜ?」
『・・・むぅ』
それを認めながらも、ルークは協力しないでいいと言いながらもローレライにとって魅力的な言い方でその心を揺さ振る。
『・・・いいだろう、我も預言を残した責任の一端を担わねばならぬ。少しの間、我もそなたらに同行しよう』
しかしやはりローレライもその言葉の魅力に勝てなかったようで、ルークに協力を申し出る。
‘パン!’
「・・・よっしゃ、決まり!んじゃグランコクマに早速行こうぜ!一応障気も中和成功したしな、仕上げに入るのは報告を済ませてからだ!その間には仕上げの事については説明するからさ!」
『ああ、わかった』
返答を聞きルークはパンと一回手を大きく叩き、嬉しそうに次の目的地のグランコクマに向かう事を明言する。











伝説の存在も、死神達の元に身を寄せた



そのことにより死神達の最後の舞台は整えられた



より盤石な形で星の未来を覆せるように・・・






next story






17/18ページ
スキ