「ふーん、これがねぇ・・・」
ローレライから渡された預言狂信者から見たらよだれが出る程価値のあるもの、第七譜石。ルークは手の平より多少大きいそれをぞんざいにポムポムと手で何度も宙に軽く上げている。
『・・・先程の話の続きをしたいのだが、いいか？朱炎』
「ん、あぁいいぜローレライ」
その様子を見ていたローレライは改めてルークに話しかけ、その様子にルークも第七譜石を宙に浮いた状態から手に取り話を聞く。
『我が先程地核で言っただろう、預言は本来滅びを伝える意味を持っていたと。そこで違う世界で育ったそなたに聞きたい・・・我とユリアが預言を残した事、どう思う・・・？』
「「「「！？」」」」
・・・ローレライは先程歎いていた時の口調そのままに、ルークにその答えだけを求めてきた。だが違う世界と聞いて眼鏡狸達だけでなく、サフィール達も驚いてローレライを見る。
・・・違う世界、つまりナルトの世界で育った事を知っているのは同調フォンスロットが時たまノイズ越しにすら繋がらずたまに繋がった時にルークからそのことを知り得たのだとルーク自身推測している。
だが今はそれを聞く気もないし、聞いても意味がない。ローレライの問い掛けに、ルークは質問の答えを口にする。



「別にどうとも思わねぇよ」



『・・・何？』
出された答えは非常にあっさりとした物だった。それはローレライの求めている物とは違っていたのだろう、拍子抜けした声が漏れる。
「ユリアにお前が滅びを止めたかったってのはホントなんだろうけど、それがどうした？それをハッキリ後世に伝えきれなかったのに、哀れだとでも言って慰めをかけてほしかったのか？お前か、ユリアに」
『そういうわけでは・・・』
「ならなんだ？預言は間違ってるなんて言ってでも欲しかったのか？俺は預言っていう存在は好きじゃねーけど、間違ってるとはおもってねー。ただ間違ってるとしたなら、預言を滅びを詠んだ物だと正しい形で残せなかったお前らだ」
『！！』
そんな様子のローレライに、ルークはあっさりとした先程の返答とは逆に辛辣な言葉で畳みかけていく。
「これは例えだけどな、包丁は普通料理を作る時に使うもんだろ。けど包丁は一度使うヤツが使ったら、途端に人を殺せる道具にもなる。わかるか？道具ってのは使いようによるもんなんだ・・・確かに預言ってのは滅びを回避するためのものなんだろうけどな、それをちゃんと使えずあまつさえ惑星屑のような奴らの手でその預言を元にした人殺しが行われてきた・・・預言を元に改変を目指そうとした志は分かるけど、そのやり方が結果お粗末な物だった。だから＋－差し引いてどうとも思わないって答えたんだよ」
『・・・っ！』
お粗末、かつてのユリアとの行動をそう表現されてローレライから息を呑むような音が聞こえてきた。
・・・勘違いをしてはいけないが、ルークは悪意を持ってこのようなことを言ってはいない。ただ善意で言ってもいない、ただ自分の本音を話しているだけのことだ。
『・・・それが、違う世界で育ったそなたの意見なのだな・・・？』
「ああ、そうだ。気分でも悪くなったか？」
動揺したような様子になりかけていたローレライからの言葉に、ルークは挑発するような言葉を投げかける。
『・・・いや、確かにそなたの言う通りだ。道具は使い方次第で変わる、事実そなたも譜石とともにモースにヴァンを道具に見立てて民衆に預言への不信を植え付けた。ユリアもそれだけのことを覚悟して預言を用いていたなら、今頃は歴史も変わっていたのやもな・・・』
その言葉に怒りはしなかったが、どこか寂しげな声色を覗かせるローレライ。
「一人ノスタルジックな気持ちに浸ってんじゃねぇ、話はもう終わりか？ローレライ？」
『む・・・すまない、話を続けよう』
その声色をあえて掻き消すルークの質問に、ローレライも気を取り直したような声を出す。







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