焔と渦巻く忍法帖 第二十三話

「ノエル、上に上がったらすぐに・・・そうだな、フーブラス川辺りの陸地がいいかな。あそこらへんならそんなに人もいないし、そこら辺に着陸してくれ。そこですぐにローレライを解放する」
「はい、わかりました・・・行きます!」
上昇するアルビオールの中、ルークは操縦桿を握るノエルに近付き並ぶとさっと指示を出す。ノエルもその指示にすぐ返事を返すと、すぐに気合いを入れてアルビオールを上に向ける。









・・・そして数分もすると、アルビオールはアクゼリュスのあった跡地の穴から外殻大地の上に飛び出した。そこから止まることなく、アルビオールはフーブラス川方面へと飛んでいく。



・・・そして数十分後、アルビオールはフーブラス川に程近い平野辺りに着陸する。

動きを止めたアルビオールの中から各々出て来るルーク達だが、最後尾にはようやく目覚めた修頭胸もついて来ている。事情はアルビオールの中で眼鏡狸から聞いているので、ローレライ解放の為だとは知っている。とは言え昔の修頭胸だったなら「なんで黙っていたの?」などと言っていただろうが、今更ルーク達に対しての怒りもわかないほどたたきのめされた為にルーク達への無意味な反抗心はなりを潜め、ローレライが自分に宿っていたことを驚くのが精一杯だった。現に今もルーク達への怒りより、ローレライが降臨するかもしれないことに期待と好奇心の視線が行ってしまっている。



・・・まぁそれは紛れなく逃避なのだが、うるさくないだけマシと思っているルークはアルビオールから少し離れた地点で立ち止まる。
「さってここらへんでいいかな、っと」
適当な地点を見つけたとばかりに、ルークは手元にローレライの鍵を持ち眼前に掲げる。
「ちょっと離れて見ててくれ、超振動使うから・・・イメージは地核にまで貫き通すような感じ・・・だな、っとお!」
後ろにいるナルト達に声をかけながらも見てる方にまで伝わる程ルークは一気に集中をして、独り言を言いながらも地核に向けて超振動を使うイメージを高め、一気にローレライの鍵を掛け声と共に地面へと突き刺す。
「あそこ・・・穴が、空いてる・・・!」
「超振動を使ってるんだ、当然だろ。あれがあるからあんまり人がいないところを選んだんだろうね」
するとローレライの鍵を刺した地点が少し大きく風穴のように空いている事に気付きアリエッタが声を上げるが、シンクがその声をたしなめながらもだからここなのかと考えていた。地核にまで超振動を通すにはイメージとしては外殻大地を貫いて地核まで貫くように、ルークはそのイメージで地核まで通すためにこの人のいない土地を削ってやっているのだろうと。



・・・そのイメージで使った超振動は、間違いではなかった。
「・・・おっ?来たな・・・」
「これは、第七音素の光・・・」
超振動をルークが集中して使っていると、途端に地面の下からポツポツと第七音素の光が溢れ出てくる。その様子にルークも超振動を使うのを止め、ローレライの鍵を腰元に戻す。すると途端にその超振動によって開けられた穴から、一際大きい第七音素の塊・・・のようなものが飛び出てきた。
『朱炎よ、よくぞ我を解放してくれた・・・』
「「!?」」
「・・・ああ、それがお前の本体なのか。ローレライ」
唐突に現れたその第七音素の塊にしか見えないそれから声が聞こえてきた事に眼鏡狸と修頭胸が驚愕するが、その声からルークは冷静にローレライなのだと確信する。
『いかにも・・・話をする前にまずこれを渡しておこう、我を解放してくれたからにはこれくらいはな』
「ん・・・あぁ、これが・・・」
ルークの声を肯定しながらもローレライは第七音素のその身からあるものを取り出し、ルークにふよふよと浮かせてそれを渡す。



『そう、それが第七譜石だ』









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