焔と渦巻く忍法帖 第二十三話

「まずは質問からだけど、ホドにあった第七譜石の中身の世界の滅亡って老け髭言ってたけどホントなのか?第七音素術士でもあったあれを吐かせはしたから嘘じゃないのはわかるが、念のためにな」
『それは間違いない、本物だ・・・本来預言とは繁栄の為ではなく、滅びを伝える為の物として譜石に残したというのに・・・人々はその意味を見失ってしまった・・・嘆かわしい・・・』
「そんなこと聞いてんじゃねぇ、時間がねぇって自分で言ってんだから今は早く俺の質問に答えろ」
『・・・あぁ』
ルークの質問から途端にローレライは嘆くように声を落とすが、ルークは時間がないと言いローレライを話に戻す。
「次の質問に行くけど、その第七譜石って新たに作れたりするか?それかホド崩落で地核に落ちた第七譜石を引っ張り上げる事は出来るか?」
『・・・何?』
「・・・?」
だが続いた質問にさしものローレライも訝しそうに疑問の声を上げる。眼鏡狸も声は出してはいないが、同じような視線だ。
「どっちかだけでも出来ないのか?」
『・・・どちらも出来ない事はない、要はそなたの手に第七譜石が手に入ればいいのか?』
「そうそう、そういうこと。だから頼みってのはその第七譜石を作るなり引っ張り上げるなりして、俺に渡してくれないかってことだよ」
ようやく本題に入れた為か、ルークは機嫌良さそうに手を広げてみせる。
「・・・すみません、その第七譜石はどのように使われるのでしょうか?」
そんなルークの様子に不穏だとでも感じたのか、後ろから眼鏡狸が丁寧に探るように問いかけて来る。その声にルークは機嫌をそのままに振り向く。
「これから先預言を詠む事を願う輩が出ない可能性なんてないだろ?だからな、全世界にハッキリと公表する必要があるだろ。預言を詠み続けた果てに見える結末って奴をな」
「・・・貴方は、そのために第七譜石が必要だと・・・」
「そうだよ・・・二千年もの間人々が求めつづけて来た第七譜石、その第七譜石に詠まれた結末が最終的に永遠なる人々の繁栄が詠まれているかもしれない。だからその第七譜石を見つけてしまえば世界は再び預言を遵守する流れになる・・・なんて希望を持たれて反乱とか起こされても、キムラスカにマルクトにダアトも頭抱えるだけだろ。ならいっそその無関係な人を不幸にするだけの無駄な希望は早めに消すべき、そうじゃないか?」
「・・・確かに、そうですね」
完膚なきまでに預言保守派の目論見を潰す為の策、機嫌良く口にされたそれに礼儀以外はそれなりに優れている眼鏡狸は首を縦に振るしか出来ない。
「だからさ、第七譜石くれよ♪それさえ確約してくれたら、地核から飛び立って上に戻った後にお前を解放してやっからさ♪」
そこで再びルークはローレライに手を差し出し、いかにも楽しそうに声を上げる。
『・・・うむ、わかった。我がこの娘についていられる時間もそろそろ終わる。まだ話したい事はあるが、それは我がそなたによって解放されてからにしよう。では、また・・・』
そのおねだりに近い声にローレライは了承を返しながらも、時間切れだと別れの声を最後に修頭胸を包んでいた光が霧散していく。そして修頭胸の体が甲板に引かれゆっくりと落ちると、ルークは笑顔のまま辺りを見渡す。
「さっ、ローレライとの会話も終わったんだ。さっさと行こうぜ。早くしないと地核に残るハメになっちまうぞ、っと」
「さっさとアルビオールに乗るってばよ」
やることを終えた為にルークは修頭胸を担ぎ上げアルビオールへと歩きだし、ナルトもその声に周りを促しながら早足になる。周りもその空気に急ぎ足になりつつ、アルビオールへと乗り込んでいく・・・



・・・そして、数分後。タルタロスを地核に残し、アルビオールはその身を大空へと羽ばたかせていった・・・








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