焔と渦巻く忍法帖 第二十三話

・・・そしてシェリダンの港にたどり着くと、ルーク達は早速タルタロスへ乗り込もうとする。
「装置を起動させたらもうそれが始まりじゃ。さっき言った通りあまり時間はないからの、注意していくんじゃぞ」
「はい、じゃあ行ってきます」
い組・め組全員を代表するイエモンの言葉に、ルークはしっかり答えると全員の先頭を切りタルタロスの中へと入る。



・・・そしてい組・め組全員タルタロスに入り入口のハッチを閉めると、タルタロスは出航した。地核に行くため、アクゼリュスの跡地を目指し・・・









・・・本来なら星の命運がかかる重要極まりない役目、眼鏡狸達だけで行かせたならその使命に重く重圧がのしかかる事だろう。だがタルタロスの中にいるルーク達にはそんなものは、一切関係なかった。



「んー、あと五日か。なんもやることねーな、敵襲もあるわけねーし」
ブリッジに一人タルタロスを動かす為の影分身とともにいる立っているルーク。頭の後ろで手を組むその表情は退屈と語っており、緊迫感など全く見えてこない。
「あ~、菓子でも作っかな。ノエルには世話になんだし、暇潰しにもなるし。うん、そうと決めたらナルト達の分も作って差し入れすっか」
そう独り言を言うとルークは頭をかきながら、その場から姿を消す。



・・・ルークとナルトにとって障気中和を任務とするなら、やりやすい部類の任務と言える。たくさんの時間を使い様々な研究を行った上で初めての試みとは言え任務を達成するのに技術的にも不安が見つからず、邪魔が入る余地もない・・・この逆のシチュエーションの任務など、ルークとナルトはそれこそ腐る程やって来た。失敗すれば里と里の争いに発展し、世界的な大戦になるだろうというリスクも伴いつつ。

確かに失敗すれば世界が危ないだろうが、これだけの状況をお膳立てされて失敗するようなことがあるとは二人は思ってはいなかった。失敗するとすれば技術的に障気中和のシステムに欠陥があったか、自分達すら予想出来ない誰かが妨害に入るか。障気中和が失敗することはまずない、様々な危機を乗り切ってきた二人からすれば正味楽な物と言えただけに余裕があった。









・・・そんな風に一部を除き、ルーク達はリラックスした状況で五日間を過ごしていた。

そして五日経ち、タルタロスはアクゼリュスの跡地へとたどり着いた。



「よーし、んじゃ突っ込むか」
修頭胸に眼鏡狸までもブリッジに集まり、全員が跡地に目を向ける中ルークが早速と突入を口にする。
その言葉通り、タルタロスはアクゼリュスの跡地の穴へと近付きその穴に吸い込まれるように地核へと姿を消していく・・・






目の前には紫色の毒々しい景色しか見えず、どことなく浮遊感が襲い来る。
そんななかで皆はタルタロスに乗っていたが、途端にその浮遊感は消える。
「ん・・・地核に着いたようだな」
その感覚に、ルークは後ろを見て皆に話し掛ける。
「甲板に行くぞ。譜陣を発動させるのもだけど、拓けた場所でやった方がいいだろうからな」
「そうですね」
「「?」」
障気中和の仕上げをを口にしながらも拓けた場所と言った事で、修頭胸と眼鏡狸はなんなのかとルークを疑問視する。だがサフィールが同意し、ルーク達がさっさとブリッジを出だした事で二人は何も聞けずに慌てて後を付いていく。



そして甲板、譜陣は甲板の中心に描かれておりアルビオールもすぐ近くに飛び立てるようにスタンバイしている。
「さて・・・これから譜陣を起動させて障気を中和すんだけど、時間がないからさっさとするぞ・・・おい」
「・・・え?」
譜陣を前にする中ルークはいきなり修頭胸の方を向く。



「お前の譜歌はユリアの譜歌なんだろ?ちょっと歌ってみろ」






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