焔と渦巻く忍法帖 第二十二話

「あ、でもちょっと待てよサフィール。煙デコは同調フォンスロットを開こうとしてたんだろ?あれ、意識繋げる事が出来るのって完全同位体だけなのか?」
「ええ、そうですね。音素振動数が同じでなければ、その名の通り同調出来ません。それが何か?」
「大爆発が完全同位体じゃなけりゃ起きない現象だって聞いて思い出したんだけど、ちょっと気になる事があってな。その同調フォンスロットから意識繋げたらどういう現象が起こるか、分かるか?」
「え?あー、そうですねー・・・基本的に同調フォンスロットで意識を繋げるには相手に向けて同調の音素をぶつける必要がありますからね、その分の音素による頭の痛みがあるとは想像がつきますが・・・それがどうしたのですか?」
大爆発から同調フォンスロットの話に変わったことでサフィールは若干戸惑いながらも予測で答えるが、ルークはそれを聞き珍しく考えるように手を顎に当てて目をつぶる。
「んー、じゃあやっぱあれも同調フォンスロットの一種なんかな・・・」
「どうしたんですか?」
「いや、俺がこの世界にいる時度々意味のわかんねぇとぎれとぎれの声と頭痛が響いたんだけどさ、それが同調フォンスロットを開けられたものなんじゃないかって思ったんだけど・・・」
「なんですって?それは不可能ですよ、同調フォンスロットを開くにはフォミクリーの譜業が必要です。ですが貴方は産まれた時から今に至るまでフォミクリーで体を弄られてはいないでしょう。それで譜業を使わず同調フォンスロットを開いて意識を繋げるなど、人間に出来る事ではありません」
悩むルークにきっぱりサフィールは同調フォンスロットではないと言う。だがルークはサフィールの言葉のある部分にピクッと反応し、目を開ける。
「じゃあそれが・・・人じゃなかった場合は?」
「人じゃない・・・ルーク、貴方まさか・・・」
ルークの声にサフィールは信じられないと言った様子で、ルークを見てくる。
「多分、じゃあるけど」



「俺に意識繋げてきたのはローレライ、じゃねぇのかな?」



ローレライ、第七音素の集合体と言われる幻の存在。そんな伝説とも呼べる存在の名を口にするルークの声も、疑わしいといった響きを多大に匂わせ予測を口にする。
「ローレライ、ですか・・・確かにローレライならそのようなことが出来てもおかしくはなさそうですが・・・」
「確かに疑いたい気持ちは分かる、サフィール。けどなぁ、俺の意識に乱入してきた奴は同位体以外ありえないだろ?けど人間じゃ無理なんだろ?フォミクリー使わず同調フォンスロット開くなんてさ」
「・・・まぁ確かに」
だがサフィールは尚信じたくなさそうにしていたが、ルークから自身の考えをそのまま返され現実に帰ってくる。
「それに、とぎれとぎれって感じの声しかなかったのとある時にだけはっきり声が聞こえたのがちょっと気になんだよな」
「ある時?」
「修頭胸の栄養が全部胸に行ってるってわかった初対面の時だよ。あん時は声がはっきり聞こえたのもあるんだけど、擬似超振動を俺でも修頭胸でもなくその声が起こした意志が感じられたんだよな」
「・・・確かにそこまで聞けば何者かの意志が貴方に働きかけていると見れますね」
「でも同調フォンスロットを開いて意識繋げる際にさ、声ってとぎれとぎれにしか聞こえない感じにしか聞こえない物なのか?それにいきなりなんかきっかけ次第でクリアに声が届いたりするものなのか?」
「声がはっきり聞こえない・・・普通は有り得ないと思います。同調フォンスロットの声は意識の間の壁を取っ払って、空間を超えてダイレクトに相手の意識に投げかけるものです。とぎれとぎれという事は声を出した側が何か音素の流れを遮断されるような状況に陥っている可能性がありますね。ですがそのように音素を遮断する程音素が渦巻くような場所など、地上に存在するとは思えません」
「地上に?ならどっか他の所にはあんのか?」
「・・・私だけでなく、全世界の人間が知っている場所です。そこは」



「ラジエイトゲートとアブソーブゲートにより発生しているプラネットストームの中です」











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