焔と渦巻く忍法帖 第二十二話

「話はそれだけか、サフィール?」
「いえ、各地に影分身を散らして民衆の反応を調べているでしょう。影分身達の報告はどんなものなのかが気になりまして」
アリエッタの事は終わったのかと聞くルークに、サフィールは話題転換としてルーク達が状況の把握の為に送っていた影分身の話を聞く。
「マルクト領の街は大体予想通り預言を詠むのを止める流れを取り入れて行ってるな。反対する人間もほとんどいないようだから、そう遠くない内にはそれなりに納まるだろうな。預言廃止は」
「キムラスカは?」
「ベルケンドやシェリダンなんかは案外素直にっつーか、どこ吹く風と言った感じで預言の事を流してたな。技術屋とかって一々預言気にしてる暇なんかねーって様子で研究に没頭してたぞ」
「あぁ、その気持ちは分かりますね。技術を研究するのにこんな技術は預言はどうなのかなどと、一々考えるのは非常に煩わしい事ですから」
「研究対象が何かある限りはベルケンドとシェリダンは特に問題はないと思うぜ。あ、それとついでにベルケンドにいるって言ってたスピノザに脅しをかけたぞ」
スピノザ、その名にサフィールは少し目を細める。
「それで、なんと?」
「老け髭に加わってた事をばらされたくなかったらって言ったらアッサリ禁書の研究に着手してくれた、なんかやたら仲良さそうな爺さんと婆さんに手伝ってくれって泣きついて。それで数日経って三人から詳しい話を聞いてみたら、セフィロトに行って地殻の振動周波数を調べる必要と障気を止める材料としてタルタロスが必要なんだと。ま、大方サフィールの予想通りだよ」
「そうですか」
どこか安心したように頷くサフィール。技術屋としてはスピノザ達の実力はサフィールも認める所、禁書を預けたスピノザが自分と同じ考えに行き着いた事に、ルークにスピノザを紹介した事は間違いではないと感じていた。
「振動周波数の計測に関しちゃ影分身を向かわせたから別に問題はねー、タルタロスの使用に関してもマルクトの陛下様に願い出てるからそのうち許可は下りるだろう。けど肝心の振動周波数測定機を欲しいって言った時に軽いトラブルあってな」
「トラブル?」
「スピノザが万全を期したいならシェリダンにいる同期の三人め組の協力もあった方がいいって一緒にいた二人に言い出してな。なんか後で聞いたら三人とそのめ組は仲悪いらしくてな、爺さんの方が目茶苦茶怒りだしたんだ。まぁそれは外殻大地降下の件を話して、シェリダンの三人にもそれを話したら振動周波数測定機を作る事を爺さん達は了承してくれたぜ」
「・・・一般人に外殻大地降下の事実を話してよかったのですか?」
「頑固な爺さん動かすにゃ力ずくより、使命感を燃やさせた方が自主的によりちゃんと動いてくれる。それに仲悪いっつっても、頭はそんじょそこらの技術屋なんかより頼りになんだろ?だったらちゃんとやってくれるなら事実を話しておく方がいいって思ったから話しただけさ」
「そういうことですか」
「そーそー。実際振動周波数もちゃんと測定出来たからそれでいいし、マルクトの返事が返ってき次第外殻大地降下に取り掛かる予定だしな。たいしたことねーよ」
「ならいいでしょう。それで話を戻しますが、バチカルはどうだったんですか?」
バチカル、その単語が出て来た時ルークとナルトの二人はニヤッと分かりやすい笑みを浮かべる。








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