焔と渦巻く忍法帖 第二十一話
・・・それが老け髭達と自らを殺させる、大義名分になるとは知らず。
「・・・皆さん、ヴァン謡将達には情けをかける程の理由があるのは理解出来ると思います。ですがその身の上を盾に人を殺し、世界を壊さんとするその姿勢は見逃せる物ではありません・・・故に、謡将達を処刑する事と致しました」
意を決したようにルークは顔から手をどかし、改めて老け髭達の処刑の宣告をする。
「ですが、今ここでただヴァン謡将達を斬っただけでは事態の解決には繋がりません。彼らは言わば、預言保守派の被害者と言えます。いえ、厳密に言えばホドや過去の戦争に巻き込まれ死ぬべきではなかった人達も等しく被害者です。故にそのことを踏まえてキムラスカ・マルクト・ダアトの三国協議の元で、ある結論を出しました。それは」
「これより預言を詠むことを止める、という結論です」
‘‘‘‘!!’’’’
「「!?」」
そして処刑の宣告に続き、全部の国を挙げての預言廃止をルークははっきりと宣言した。群衆達はやはり驚く以外に選択肢がないよう最大限に驚いているが、それ以上に老け髭達は宣言をしたルークを見たり各国の代表者達を見たりと信じられないといった様子を隠せていない。
だがもうどう周りが反応しようと預言廃止の流れは作られつつある上に、それは止められない。ルークは全ての流れを総集した上で、また口を開く。
「本来であればダアト全体で預言の内容を吟味した上で、その預言を実行するか否か・・・それを決めるのが本来の正しい預言の在り方、と思われます。ですがいつの日からか預言は実行するものだと預言を独占する輩により犠牲になる人の事を考えず、ただ預言は秘密裏に実行されてきました・・・」
‘‘‘‘・・・’’’’
過去、そして今の命。犠牲を重くはっきりと悼んでいる痛い程の感情に、群衆は沈黙の中で固唾を飲んでルークの話を聞いていく。
「大詠師はその思想の最もたる物であり、インゴベルト陛下を害そうとしてまで預言を実行しようとしました。その光景を実際に目の当たりにしたインゴベルト陛下に導師は預言という物を考える事になり、ピオニー陛下にも話を通して色々考えていきました。果たしてこのまま預言通りに行動する事が正しいのか、そしてそれで預言から外れた行動を取るなら中途半端に都合のいい預言だけを受け取って悪い物に目をつむるのかと・・・そして様々な議論がなされた後、導師達が出した結論が預言を詠む事を止めるという物です」
‘‘‘‘・・・’’’’
結論が出るまでにどれだけ思い悩んだのか、滲み出る時間の濃密さを思わせる語りに群衆は沈黙から抜け出せない。
「もちろん今まで普通に預言を詠んでいて、いきなり預言を詠みませんなどと言ってすんなり受け入れられるとは思っていません。ですが第二の大詠師、第二のヴァン謡将達をこれ以上出現させるような事態になれば更に多くの命が無為に失われる事になります。そのようなことを起こさない為にも、ダアトは預言を争いの元としないために預言を詠まない事を決断しました。キムラスカとマルクトもそのダアトの意向に賛同する形を取り、預言を詠まないようにしながらもこれ以降無用な血を流さない為に和平に踏み切りました」
‘‘‘‘・・・’’’’
更には平和という大義名分を前面に押し出し老け髭達という実例を出す事で、群衆達に反論の一切を許さず黙らせたままでいさせている。
(これでてめぇらのふざけた計画も終わりだ、そして命もな)
・・・老け髭に惑星屑、二人の事実と虚構を併せて作り上げた舞台。配下であるラルゴの思考回路すら利用したルークは、自らが演出する喜劇を終幕へと導く始まりを告げる。今までよりはっきりと通る、凛とした声で。
「そして預言をどうするかを決めた後、ヴァン謡将達をどうするか・・・それで出した結論が謡将達の処刑、です」
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「・・・皆さん、ヴァン謡将達には情けをかける程の理由があるのは理解出来ると思います。ですがその身の上を盾に人を殺し、世界を壊さんとするその姿勢は見逃せる物ではありません・・・故に、謡将達を処刑する事と致しました」
意を決したようにルークは顔から手をどかし、改めて老け髭達の処刑の宣告をする。
「ですが、今ここでただヴァン謡将達を斬っただけでは事態の解決には繋がりません。彼らは言わば、預言保守派の被害者と言えます。いえ、厳密に言えばホドや過去の戦争に巻き込まれ死ぬべきではなかった人達も等しく被害者です。故にそのことを踏まえてキムラスカ・マルクト・ダアトの三国協議の元で、ある結論を出しました。それは」
「これより預言を詠むことを止める、という結論です」
‘‘‘‘!!’’’’
「「!?」」
そして処刑の宣告に続き、全部の国を挙げての預言廃止をルークははっきりと宣言した。群衆達はやはり驚く以外に選択肢がないよう最大限に驚いているが、それ以上に老け髭達は宣言をしたルークを見たり各国の代表者達を見たりと信じられないといった様子を隠せていない。
だがもうどう周りが反応しようと預言廃止の流れは作られつつある上に、それは止められない。ルークは全ての流れを総集した上で、また口を開く。
「本来であればダアト全体で預言の内容を吟味した上で、その預言を実行するか否か・・・それを決めるのが本来の正しい預言の在り方、と思われます。ですがいつの日からか預言は実行するものだと預言を独占する輩により犠牲になる人の事を考えず、ただ預言は秘密裏に実行されてきました・・・」
‘‘‘‘・・・’’’’
過去、そして今の命。犠牲を重くはっきりと悼んでいる痛い程の感情に、群衆は沈黙の中で固唾を飲んでルークの話を聞いていく。
「大詠師はその思想の最もたる物であり、インゴベルト陛下を害そうとしてまで預言を実行しようとしました。その光景を実際に目の当たりにしたインゴベルト陛下に導師は預言という物を考える事になり、ピオニー陛下にも話を通して色々考えていきました。果たしてこのまま預言通りに行動する事が正しいのか、そしてそれで預言から外れた行動を取るなら中途半端に都合のいい預言だけを受け取って悪い物に目をつむるのかと・・・そして様々な議論がなされた後、導師達が出した結論が預言を詠む事を止めるという物です」
‘‘‘‘・・・’’’’
結論が出るまでにどれだけ思い悩んだのか、滲み出る時間の濃密さを思わせる語りに群衆は沈黙から抜け出せない。
「もちろん今まで普通に預言を詠んでいて、いきなり預言を詠みませんなどと言ってすんなり受け入れられるとは思っていません。ですが第二の大詠師、第二のヴァン謡将達をこれ以上出現させるような事態になれば更に多くの命が無為に失われる事になります。そのようなことを起こさない為にも、ダアトは預言を争いの元としないために預言を詠まない事を決断しました。キムラスカとマルクトもそのダアトの意向に賛同する形を取り、預言を詠まないようにしながらもこれ以降無用な血を流さない為に和平に踏み切りました」
‘‘‘‘・・・’’’’
更には平和という大義名分を前面に押し出し老け髭達という実例を出す事で、群衆達に反論の一切を許さず黙らせたままでいさせている。
(これでてめぇらのふざけた計画も終わりだ、そして命もな)
・・・老け髭に惑星屑、二人の事実と虚構を併せて作り上げた舞台。配下であるラルゴの思考回路すら利用したルークは、自らが演出する喜劇を終幕へと導く始まりを告げる。今までよりはっきりと通る、凛とした声で。
「そして預言をどうするかを決めた後、ヴァン謡将達をどうするか・・・それで出した結論が謡将達の処刑、です」
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