焔と渦巻く忍法帖 第二十一話

「・・・色々ありましたが、それらの事実全てを吟味し三国の上層部が出した結論。それが大詠師の行動をダアトも知らなかった為に単独犯だと認識すると共に、ヴァン謡将の処刑をするという事に到りました・・・それと、キムラスカとマルクトで真の和平を結ぶ事も」
‘和平!?・・・でも確かに今の話を聞くと、そうしないとニ国で戦争が起きるんだよな・・・’
‘でもそれ以前に和平の条件は満たされてるんだ。それにアクゼリュスももう魔界に落ちてるんだし、断る理由もないんだぞ。キムラスカは・・・’
宣言された処刑と和平に主立った反論は聞こえて来ない。老け髭達の処刑に関しては議論の声すらなく、もはやそれが当然と声なき声が言っているように思えてしまう。
(さってっと~。そろそろクライマックスに入ろうとするかな)
群衆達の反応がもう弁に完全に取り込まれているのを見て、ルークは仕上げに取り掛かる・・・いや、正確にはルーク‘達’は。



「すみません、道を空けてください!」
‘‘‘‘?・・・!?’’’’
「「「「!?」」」」
すると唐突にマルクト側の国境の方から大声が響いて辺りに届く。群衆達は声の方角の方に振り向くと一同似たような反応でギョッと驚きを見せ、何か道を作るように間を身を寄せるように自然と空けていく。その方角の方を老け髭達も修頭胸達もイオン達も全員注目したが、群衆一同と同じように目を大きく丸くする。そこに現れた物とは・・・



「う、うぅ・・・」
その大きな巨体を明らかにボロボロにされて、数人のマルクト兵士を引き連れたナルトに片側の肩に引っ掛けるような形で荷物を担がれるように運ばれうめき声をあげるラルゴだった。



「よっと」
ナルトは平然とした顔で処刑台の前へとたどり着くと、同時にラルゴを処刑台の前に置く。
「これは、黒獅子ラルゴ・・・一体どうしたんだ、ナルト?」
その様子を見てルークが驚きを隠せないと言ったよう、ナルトに丁寧な言葉で話すのも無しに問う。
「三国共同の元でこのオッサンの処刑をするっていう触れ込みだろ?で、そんな場を壊されないように一応周りにも兵士の人達は置いてるってばよね?それで俺も場を守る為にマルクト側の出口の方にいたんだけど、そうしてたらこのデカブツのオッサンが神託の盾を引き連れてケセドニアに入ろうとしてきたんだよ。それで俺がこのオッサンを倒して、ここに連れて来たって訳」
‘‘‘‘!?’’’’
「!?」
一通りの流れの説明をいつも通りの口調でナルトが終えると、群衆達も老け髭もナルトを信じられない物を見るような目で見る。
「神託の盾が襲ってきた・・・その後の対応は?」
「えっ、あっ・・・黒獅子ラルゴをこの少年が撃退した後、神託の盾兵士は統率を失いまとまりをなくした所を我が軍の兵士が捕縛しました。大半の兵は捕縛致しましたが小数の兵には逃げられ、それでこの少年に事態を説明するべきだと我々は連れて来られまして・・・」
「わかりました、ありがとうございます」
ナルトに注目が集まった所に今度はルークが冷静を取り戻した様子でついて来たマルクト兵士へと視線を向け、事後対応の説明を求める。突然説明を求められその兵士は戸惑ったようになりながらもその後の説明をして、ルークは適当な所で説明を打ち切る。
「皆様、すみません。お騒がせしました」
そこでルークは謝罪を入れて頭を下げると、説明を求める群衆達の視線に頭を上げる。
「もしこの場を壊そうとするものがいてはいけないと思い、警備を強化していたのですが・・・まさか黒獅子ラルゴがこのように直接的な形で謡将を奪い返しに来るとは我々も思ってはいませんでしたが・・・」
ルークはそこまで来るとは思っていなかったと、失念をなげくように話す。



・・・そう、あくまでも『ように』話していく。










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