焔と渦巻く忍法帖 第二十一話

「アクゼリュスが崩壊しました、か・・・」
「うん、物の見事にガラガラとアクゼリュス周辺の外殻大地が崩れ落ちて行ったってば。恐ろしいってばね、浮いていた地上がボロボロ紫色の世界に消えていく映像って」
恐怖を感じたと仄めかしつつも、ナルトの顔はやれやれといった様子で肩を竦めるだけで一切怖がってはいない。
「でもだからこそ、アクゼリュスが崩れ落ちたことは無駄じゃない。これで人が預言を疑うきっかけを作れるってばよ」
「・・・ナルト達の事だから、もうそうなるように動いているんだろ?」
そんなナルトにシンクは覗き込むように視線を合わせる。
「まぁな。適当にアクゼリュス周辺からジワジワ情報を広げれるように影分身を各地に散らばらせてるってばよ、今」
「アクゼリュスの崩落の情報をまず人々の間に広げさせることからですか」
「そ。その次はキムラスカとマルクトの二国でオッサンを処刑することを影分身を使って世界に向けて宣伝な。特にあるところに向けて大々的に」
「・・・あるところ?」
ナルトから抽象的に表現された言葉に、アリエッタは首を傾げる。ナルトはその声にアリエッタを真摯な瞳で見上げた。
「この話はアリエッタにも話すべきだってばね・・・聞くってば?」
「・・・はい」
場の空気を乾いた物に変える程の質問に、アリエッタはゆっくりと首を縦に振る。
「じゃあ話すってばよ、俺とルークが予定している流れを・・・」
確認が取れた事で、ナルトはゆっくり段取りを話していく・・・












・・・それから数日後、タルタロスのブリッジにいたルークの置いて行った影分身も加わったナルト達の元に一人の影分身兵士が書状を持ってやって来た。それをナルトが影分身兵士から受け取ると同時に、影分身兵士は姿を消す。
「・・・ピオニーのオッサンは了承してくれたようだってばね。んじゃ今度はインゴベルトのオッサンに話をしに行くか」
自らの影分身から情報を得たナルトはそう言うと、ルークの姿へと印を組んで変化する。
「留守番よろしく~」
それだけ言って手を振ると、ナルトはシンク達の前から一瞬で姿を消した。



「・・・ただいま~」
それから数10分も経ったくらいで、ナルトは変化の術を解いた状態でシンク達の前に唐突に姿を現す。
「お帰り、どうだったの?」
そんなナルトにも慣れたシンクは到って普通に出迎える。
「うん、結果は上々。後はイオンを適当にルークにケセドニアに連れて来てもらって両陛下の頼みをそこの代表に聞いてもらうだけだってばよ・・・ってわけだから、ルーク。セフィロト巡りは後にしてケセドニアに行くよう、頼むってばよ」
「はいよ」
影分身ルークはナルトに返事を返すと、音を立てて場から消え去る。









「・・・ん?」
そんなルークはパッセージリングのある場所の前に立っていると、ピクッと反応する。
「イオン、次はケセドニアに行くぞ。この親父の処分にキムラスカとマルクトが賛成した」
「・・・そうですか」
影分身からの情報を受け取りルークはケセドニアに行く事を告げる。そして処刑の事を道中で聞かされたイオンはいい顔をしなかったが結局まともな提案が出なかった為に、ルークの案に従う事しか出来ずにただそう受け取るばかり。
「それにもうセフィロト巡りもする必要はないしな。ちょうどいいぜっ・・・っとぉ~」
そう言うとルークは爽快そうに伸びをする。
・・・そう、ルーク達はナルト達と別れてから各地に点在するセフィロト全てを回りきっていた。今現在ルーク達がいるのは数あるセフィロトの中の一つで預言を詠む元である記憶粒子を地核から引き上げているという重要地、世界の最南端にあるラジエイトゲートである。そして言葉通り、先程ユリア式封呪を解呪した今、もう老け髭にセフィロト巡りにてやれることは存在しない・・・
「んじゃ行くぜ、ケセドニアに」
だからこそ遠慮はもういらない。ルークは老け髭の中の障気を抜き取ることもなく、ニヤッとした笑みをイオンに見せると有無を言わさず二人を担ぎパッセージリングの前から姿を消した。








14/29ページ
スキ