焔と渦巻く忍法帖 第二十一話

「それでは我々はこれで退出したいと思います、今話した事をバチカルに行ってインゴベルト陛下に伝えに参ろうと思いますので」
「・・・そうか。済まないな、色々と」
「いえ、それでは失礼します」
やることはやった。
ルークはさっさとグランコクマからバチカルに向かう為ピオニーに頭を下げ、申し訳なさそうなピオニーの声を受けるとすぐさま頭を上げて出口へと向き直り、ナルト達と共に謁見の間を退出していった・・・












そしてグランコクマから出て外に置いていたタルタロスに乗り込んで行くルーク達。
だがイオンがタルタロスに乗り込もうとした時、
「おっと、イオンはちょっと待ってくれ」
「え?」
ルークがイオンを呼び止める。
「これからイオンは俺と少しばかり別行動だ、バチカルにはいかねーぞ」
「え・・・どういう事ですか?」
いきなりの同伴を告げられ、少し動揺の見えるイオン。そんなイオンにルークが首を傾げる。
「あー、さっきの話聞いてただろ?もうパッセージリングの限界はちけーんだ。そんなパッセージリングを操作するにはどこに行く必要がある?」
「・・・っ!それは、セフィロト・・・」
ルークの行き先に話の中身から検討がついたイオンはその行き先の名を口にする。
「そうだ。これからお前にはセフィロトを俺と・・・あの髭オッサンと一緒に回ってもらうぞ」
そんなイオンにルークはいきなりルークの横にずだ袋に入れられた老け髭を担いだ影分身兵士に視線を向け、三人で行くと告げる。
「あの・・・ヴァンはなんで?」
だが老け髭の存在に疑問があるイオンは、連れていく意味を問う。
「確かセフィロトにはダアト式封呪以外にも封呪があるんだろ?サフィール」
「えぇ、封呪の一つでもあるアルバート式封呪はもう効果を為していないので別に構いませんがパッセージリングを操作するには後一つ、ユリア式封呪が存在します。そのユリア式封呪を解除するにはユリアの血族の者の存在を認識させることが重要だと、ヴァン自身が言いましてね。ヴァンを連れていくのはそのためですよ」
「そういうことですか・・・」
説明役をサフィールに譲り経緯を話すと、イオンは納得している。
「そ。んな訳だから早く行くぞ、アクゼリュスのパッセージリングは崩壊を一々待っちゃくれねーんだからな」
「そう、ですね・・・」
納得の様子を見せてくれたことでルークは喋りながらも印を組み、何故かナルトの姿をした影分身を出す。だがアクゼリュスの崩壊と聞き、イオンは暗い顔をする。
「行ってらっしゃ~い、バチカルは俺に任せればいいってばよ」
だが未だ甘いイオンを無視するかのように、ナルトは明るく見送るような声を出すと素早く印を組む。だが現れたのは影分身ではなく、ナルトが唐突な煙に包まれたもの。そして煙が晴れた時に現れたのは・・・
「え・・・朱炎・・・?」
ルークに変化したナルトの姿だった。
変化の術を目の当たりにしてレプリカ技術とは違う、あまりにもルークそっくりな人間が現れた事に目を丸くするイオンと修頭胸一同。
「今更驚く事でもねーだろ、あの兵士達も元々は俺達の姿をした影分身に変化の術を使わせたもんなんだし。バチカルに行く時はナルトが俺の姿して謁見の間に行く事になっから、後はよろしくな。ナルト」
「任せとけってばよ」
「・・・頼む、俺の姿と声でだってばよ口調はやめてくれ。気持ち悪ぃ」
「了~解」
極めて真っ当に声を出すルークに、ナルトそのものとしか言えない態度で明るく振る舞い親指を立てるルークの姿をしたナルト・・・二人のやり取りを続ける中で置いていかれるイオン達。
そんな様子を見てルークが表情を改めると同時に、近くにもう一人影分身兵士が現れ、すぐさまイオンの体を担ぐ。
「・・・つー訳なんでな。ナルトの姿した影分身置いてくからな、俺は行くから」
そこまで言い切ると、ルーク達は瞬時に姿を消しその場からいなくなる。
「よーし、んじゃ行くぞバチカルに。さ、乗った乗った」
それを見送った後でルークに変化したナルトがルークの雰囲気を一瞬にして纏い、けだるげにタルタロスへ入るように言う。
あっという間の空気に少しぼうっとしていた一同。だが入るように言われ、そのままナルトがさっさと先を行く姿を見て各々タルタロスの中へ入って行った・・・






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