焔と渦巻く忍法帖 第二十話

「余計な事?違うんじゃねーの?じっちゃん。だってじっちゃん、んなこと言っといて自分から行動してねーじゃん。この生首と髭オッサンが覚悟してたかどうかはしんないけど、こんな風にしくじったらなるかもしれないなんて考えがあったからほとんどの人に内密で行動してた訳じゃん。それをしくった瞬間ケチをつける理由なんてあんの?ただこの生首に預言達成の任を放任するだけしといて結局ほとんどの手助けもしなかった、じっちゃんが」
「・・・くっ・・・」
そんな市長の様子を見て惑星屑と老け髭を擁護するでもなく、上に立つべき人間が何もしていないという責任の無さに関してお前にも原因があるとナルトは呆れ返りながら告げる。あまりにも正論過ぎるその言葉に市長ははっとして事実に気付くが、それを否定したいのかごまかしたいのか市長はナルトへと恨みがましそうな視線を送ってくる。



(あーあ、ばっかだねぇ。安々と挑発に乗っちゃって。今は預言が詠めないだけでって言ったけどさ・・・あんたらが苦しくなるのは、むしろその宣言のすぐ後なんだぜ・・・?)
そんなやり取りを見つつルークはこれからの計画を思い返し、口元が愉快に上がりそうになるのをグッとこらえる。









・・・ルークとナルトの抱く計画、それはキムラスカとマルクトにて情報公開を終えた後でこの外殻大地の降下を行う事だ。

この外殻大地の降下、というのはサフィール達から聞いた事だが外殻大地を浮かせているセフィロトにあるパッセージリングが耐久年数の限界に近く、このままなんら対策を取らなければ外殻大地の崩壊を遠くない内に招いてしまうとのことだった。

そのような事に対しこの世界に生きる罪なき生命が何も知らない内に失われるのはあまりにも哀れであるという気持ちと、せっかく意趣返しを終えたのにそんなことで勝手に死なれても面白くないという考えがルークとナルトの二人にあったので、ならばと外殻大地降下を決意したのだ。

・・・だが二人がそんな何か利用できるという状況で何もしないことなど有り得ない。故にこの外殻大地降下にはダアトとユリアシティにとって、致命的な策略が組み込まれていた。









(今はそうやってただ悔しそうに歯を噛んでりゃいいさ。外殻大地降下が終わってしばらくしたら、あんたの歯が残ってるかどうかわかんねーんだから好きなだけ歯の感触を確かめとけよ)
その策略に余程の衝撃を確信しているルークは、もはやそんな表情すらも滑稽に他ならない。
「ま、そんな訳なんでね。これからはあんた自身でちゃんと身の振り方を考えな、預言に尻尾振る以外の身の振り方をな」
「・・・っ!!」
とは言えここでの用はもう終えた。これ以上この場にいる理由のないルークは市長にとっては明らかな挑発以外の何物でもない、ルークにとって助言も含んだ言葉を放つ。その瞬間市長の顔が今にもルークを殺しにかかりそうな激昂の表情になるが、それを見ながらルークは意に介しない様子で後ろを向く。
「そんじゃ、俺達はこれからマルクトに向かうんで帰ります。そこの大詠師様の生首と髭謡将は回収してくけど・・・詠師の皆さんは俺らと一緒にここ、出ます?」
背中越しにルークはもう行くと言うと、ついでに詠師達へと同行するか問う。
「・・・はい。我らも行きましょう」
「・・・!」
その問いにトリトハイムが迷う様子も見せず、市長をチラリと見て行くと告げる。しかしもう心が離れている事実は明らかであるのに、また市長は驚いたように目を見開く。
・・・そんな会話の最中にナルトと影分身兵士は惑星屑の生首を、老け髭の姿を来た時と同じ状態へと包み上げる。
「用意終わったってばよ」
「そっか。んじゃ行くか、邪魔したなじいさん」
ナルトの声でルークは頭の上でヒラヒラと手を振り、さっさと入口の方へ歩きだす。続いてナルトが後ろを歩き、シンク達が続くと後は眼鏡狸達に詠師達と続く・・・
そしてその場には誰もいなくなったことでやり場のない感情をただ燻らせる事しか出来ず、ただプルプルと体を震わせるしか出来ない市長だけが残っていた。












もはや神の言葉は詠めなくなる



狂信者のはびこる地にて厄災は落とされた



死神達の人の意識を利用した圧迫という厄災が









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