焔と渦巻く忍法帖 第二十話

「・・・私が預言から外れる行動を取った理由、それはホドにて行われた戦争、更にその崩落が預言に詠まれていたものと知った為、そんな愚かな預言を自分が害がないために実行に移す世界を変えたいと思ったからです」
「「「「!!」」」」
「・・・!」
老け髭の早速の真相暴露に市長を除く一同が驚きに見舞われる中、市長はその発言を聞きプルプル体を振るえさせて油汗らしきものをかいている。このホドと預言という二つのキーワード、それを繋げる事がどれほどのものか市長は危機を感じているのだろう。
だがそれだけで話は終わらない、ルークは質問を追加する。
「貴方はホド出身なのですか?」
「はい・・・ホド戦争が終決するまで、私は崩落する寸前までホドにいました。崩落した後は命からがらマルクトからユリアシティへと行き、預言を覆す為にホド出身という事を隠しダアトの神託の盾へと入団しました」
「・・・ここまで聞いて私は貴方がそこまで思い詰めた行動に陥るに致るのには、まだ決定的な材料が不足しているように思えました。だからもう一度、皆さんにも真実を知ってもらう為に私はこの質問をします・・・貴方は預言により人生を狂わされたと知ったのはわかります、ですがそんな預言をいつ貴方は知ったのですか?」
あくまでもきっかけを聞く、そんな軽い質問のように出されたルークのそれに一同は固唾を飲む。






・・・だがこの星に住まう者として絶対に聞き逃せず、あまりにも衝撃的な事実が老け髭の口から出て来た。
「・・・ホドが崩落するまえに見つけた、第七譜石を詠んだからです」
「・・・・・・え?」
・・・あまりの内容に、誰かのほうけた声が室内に響き渡る。誰が言ったのかと面々を見てみれば、全員が全員声と同じようなほうけ顔。誰が声を出したのかなど、どうでもいいと言える。
「それで、その譜石にはなんと書かれていたのですか?キムラスカがマルクトを滅ぼしたという内容ですか?」
そんな中でルークは動揺に満ちた静寂をあえて無視し、その中身を問う。
「はい、ですが譜石にはその先があります。『ND2020.要塞の街はうずたかく死体が積まれ、死臭と疫病に包まれる。ここで発生する病は新たな毒を生み、人々はことごとく死に至るだろう。これこそがマルクトの最後なり。以後数十年に渡り、栄光に包まれるキムラスカであるが、マルクトの病は勢いを増しやがてひとりの男によって国内に持ち込まれるであろう。かくしてオールドラントは障気によって破滅され塵と化すであろう。これこそがオールドラントの最後である』・・・という物です。私は第七譜石を詠みしばらくした時にこのような話を出して、声高にそうなるから預言を詠むのを止めてくれと訴えても無駄だと身を持って知りました。故に私は預言を覆そうと決意しました」
「・・・という訳です。ヴァン謡将が行動を起こした訳・・・理解されましたか?」
その内容が指し示すものははっきりと誰にでもわかる、言葉に出ている通り星の最後だ。そんな第七譜石の内容を聞いた一同に代表で市長を見るよう、ルークは質問を投げかける。
「そ・・・んな・・・まさか・・・第七譜石がホドに・・・?いやそれより・・・第七譜石の内容が・・・滅び・・・?」
質問に市長は答えない、ただ老け髭から出て来た言葉に一気にその瞬間で何十歳も老け切ったように、意識があるかすら危ういくらいとぎれとぎれに一人言葉を絞り出している。詠師達も見てみると言葉は出ていないが市長と同じように魂が抜けかけたようにブツブツ言っており、イオンに修頭胸達もあまりの衝撃の事実に呆然とするしかなくなっている。



・・・実際預言にそのような最悪の結末が詠まれているとルーク達は初めて知った時、市長達とは違い態度は淡泊と言えど驚いたものだった。とはいえルークの術にかかれば嘘など出るはずもない、実際に老け髭が第七譜石を見て詠んだという過去はあったのだ。

だからこそ動機に理解出来ない事はないとルーク達は思えたが、それ以上に利用して使い捨てをしようとした老け髭に対しての嫌悪感は勝っている。

その動機を存分に利用してくれてやる。そんな事を思いながら預言とローレライ教団を潰す為に、追い込みにかけていく。







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