辻馬車がエンゲーブに到着し、御者に別れを告げた後ルークは一人で村の中を散策していた。
（何で常に二人で行動しなきゃいけねぇんだよ。宿が落ち着くまで村を見て回るって言っただけで、『勝手に行動しないで！！』ってどういう意味だよ。世間知らずのお坊っちゃんだから自分の監視下に置かなければ心配だってか？）
ルーク達はエンゲーブに到着した時まずは宿をとろうと宿に向かったのだが、何やら騒ぎがおこっていて宿に入る事が出来なかった。そこで騒ぎが収まるまで時間がかかりそうだとみて、ルークは一人で村を見たいとティアに言ったのだが「勝手に行動しないで！！」の一言が帰ってきたのである。
（つーか随分と早く引き下がったな。あんな一言でキレるってどれだけ感情優先な軍人なんだよ）
ティアの一言に少しイラッときたルークはワザと怒らせて自分と離れさせようと、
「そんなに俺から離れたくねぇの？もしかして俺に惚れてんのか？」
と明らかに馬鹿にした口調でティアに返事を返した。案の定ティアは顔を真っ赤にして、
「なっ・・・そっそんなわけないでしょう！！もう知らないわ！！勝手にして！！」
と言い、足早にルークの元から離れていったのだ。
（未熟だな。そこは笑って『そうかもしれないわ』って何でもないように返せばいいのに）
まあそんなことはどうでもいいかとルークは一人の時間を満喫していた。






（ちょっと待て・・・）
いきなりルークは足を止め、遠くを見て険しい顔になっていた。
（何で・・・明らかに一直線にこっちに来てんじゃん・・・）
ルークの視線の先には何も映ってはいない。しかし、ルークは確かに視線の先にある存在を感じとっていた。
（何かあったのか？・・・ナルト）
ルークが感じとっていた気配、それは紛れもなくナルト。七年間行動を共にしてきた気配を間違える筈がない。そのナルトが一体どうしてこっちに来たんだという気持ちでルークはいっぱいになっていた。
（向こうで何かあったのか？それを知らせる為にこっちに・・・？分かんねぇ。こっちから行くか）
善は急げとばかりにルークは影分身を残し、ナルトの元へと向かっていった。



（ここら辺か・・・）
ルークは進路上かち合うであろうポイントでナルトを待つことにした。
（・・・どういった用なんだ？）
いくら考えてもまったく検討がつかない。
「やっほ～、ルーク」
そうこう考えているとナルトが到着し、まったく何の問題もない何時もの笑顔で挨拶をしてきた。
「どうしたんだ、一体」
検討がつかないなら直接聞けばいい、そう思いルークは質問を投げ掛けた。
「実は・・・」
先程までと違い、笑顔を消し表情を暗くしたナルトにただならない気配を感じ、ルークも自然と体をこわばらせてナルトの返事を待った。
「ルークに付き合うために来たってばよ」
「・・・は？」
先程の暗い表情から一転、また笑顔になり楽しげにナルトは言葉を放った。当のルークは言われた言葉が理解出来ずに戸惑うばかりであったが。
「・・・任務はどうした？今日は自来也のおっさんと里を出る日だろ？」
「ああ、それ？それなら・・・」



「自来也、しばらく一人で里の外を調査してくれ」
「は？何言っとるんじゃ、綱手？」
「ルークが向こうに行ってるのは知っているか？」
「ああ、それがどうした？」
「向こうで事件が起こってルークがしばらく帰ってこないそうだ。それでナルトが手伝いたいということでナルトは向こうに行く」
「って訳でエロ仙人！！後はよろしくってばよ！」
「おい！！」



「・・・って訳だってばよ」
「お前最初からこの事を計画してたな」
ナルトに報告に行った時にナルトが浮かべた笑み、その意味がわかったルークは呆れかえってしまった。
「よく五代目が許可を出したな」
「逆に報告したとき今すぐ行ってこいって言われたってばよ」
（綱手・・・あんた・・・・・・おっさん、帰ってきたら精一杯腕振るって料理作らせてもらうぜ）
心配されているのは嬉しいが、一方的に一人で行動しろと言われた自来也はたまったものではないだろう。詫びの意味でルークは料理を作ろうと誓った。




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