焔と渦巻く忍法帖 第二十話

「その預言が事実だと知った時に私は導師を疑いました、ですが何も知らないと真に語る導師に私はダアトの預言保守派を信じられなくなりました。預言を知っているなら何故その命を失われる預言を達成するような行動を取るのかと。そしてその命が失われて得られる結果に価値はあるのかと。市長、そのことについてどう思われているのですか?」
「・・・っ」
倫理感を持った話し口になったルークに、すぐさま反撃出来ず唸る市長。
とはいえこの攻め方は惑星屑にて実践済み、逆切れに入る前にルークはまた入り口を変える。
「市長、その答え次第ではマルクトも黙っていませんよ?今この場にマルクト軍人である、ジェイド・カーティス大佐がその意味を知らずただ無為にここにいる訳ではないという事・・・わからないとは言わせません」
「・・・っ!」
ここで突然ルークに視線が振られた眼鏡狸がわずかに動揺を現す中、市長は途端にまずさに気付き息を詰まらせる。
「私はアクゼリュスでヴァン謡将が兵士の人達を襲った後、アクゼリュスの住民の方々を障気渦巻く街から救い出しました。その際にマルクトのピオニー陛下にアクゼリュスの住民の救出をしたことをお話しました。そしてヴァン謡将がそのような行動に及んだ事も、預言の事も・・・」
「「「「っ!?」」」」
今度は市長ばかりか詠師達までもが国をバックに出された遠回しな脅迫に、一気に表情を青ざめさせる。
「その事実を踏まえ、貴方自身の言葉が聞きたいんです、市長。どうなんですか?預言が実行されようとした事について、どう思っているんですか?」
「・・・・・・っ!」
その表情に改めて質問をするルークの言葉に目にはっきり映る冷や汗を浮かばせながら、視線が明らかにさ迷い続かせる市長。
・・・明らかにされた預言、しかも滅びる命運を背負わされた国がそのことを知った。その怒りは容易に激しい物だと想像出来る、なにしろ滅びのシナリオを故意に明かさなかったのだから。形勢が明らかに不利だと感じている事だろう、市長は。



・・・と、ここで市長ははっと何かに気付いたようにルークを見る、既視感を感じさせるように。
「そ、その前に朱炎殿。キムラスカとマルクトの間で和平が結ばれるというのであれば大詠師は、どうされたのですか?確か大詠師はバチカルに行っていたはずですが・・・」
場の雰囲気を変えるためか突破口を惑星屑に託すためか、市長は急いで惑星屑の事を口にする。
感じた既視感は惑星屑がバチカルで言った事と同じような発言、やはり似た者同士の発想・・・ルークはそう思いながら、ナルトに振り向く。その呼びかけにナルトはルークの隣に移動すると、持っていた木箱を机に置く。



・・・答えがルークから出て来ない代わりに意味深に置かれた木箱、その木箱に注目が集まる中でルークは質問を繰り出す。
「ならば逆に質問します。大詠師は和平が結ばれると聞いて、どのような行動を取ったと思いますか?和平に素直に応じたと思いますか?市長」
「・・・それは・・・」
雰囲気を変えたがった市長だったが、ルークからの質問返しに答えにくそうに言葉を濁す。一応は詠まれた預言の事を惑星屑が知っていたとは知られていないのだ、詠師達には。和平に尽力していたのではと言ってごまかす事も出来ない訳ではない。
とはいえ一概に平和を目指して活動してますと明言しないのは、惑星屑自身がそんな柔和な性格ではなかったからだと市長が考えたからだろう。



「答えにくいのも当然ですよね?そうですよね?」
・・・そんな市長の内心を攻めつつ、ルークは木箱の横に手を置き覗き込むように市長を見る。



「だって市長も大詠師も謡将と同じように預言の事知っていたんだから、和平に尽力するはずないってご存知でしたもんね」
「「「「!?」」」」









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