焔と渦巻く忍法帖 第二十話
「それではまたお聞きします。大詠師から、貴方方はキムラスカとマルクトの和平の橋渡しをバチカルで行っていると聞きましたか?」
「えっ・・・?少なくとも私はそのような事は聞いてはおりませんが・・・」
「私も・・・」
ルークの続いての質問に詠師達に動揺が広がる。だがそれも当然の事だ。
惑星屑ははなから和平を成功する気はなかった、そんな惑星屑が今和平を成功させるためにバチカルにいるなどとわざわざ嘘の報告をダアトにする意味があるはずがない。とは言っても惑星屑はある報告をダアト、いやなにがなんでも惑星屑が関係する一部の預言保守派にする必要がある。
それは戦争が始まるその準備をダアトで秘密裏に行わせる、ダアトを戦争の被害から守る為の準備をさせるための報告だ。
自分が所属する国が戦火に巻き込まれて全然構わない、所属している人間が無意味に命を失ってもいいなどと思える為政者は為政者などとは言わない。それが預言だったなら惑星屑は躊躇なく見捨てる事を選ぶのだろうが、戦火の備えをしておらずダアトが大きな被害を被ってしまえば元も子もない。
それらを踏まえればダアトを守る為に詠師クラスに預言の事実を知る人間が一人くらい紛れていてもおかしくはないとルークとナルトは思っていたのだが、偽りの和平の橋渡しの事実すら口にする者がいないとなるなら誰一人詠師には惑星屑と近しい者がいないという証になる。
唐突な意味不明な質問はルーク達のふるい、それを知らずに詠師達は正直な反応を返してくれた。和平に協力する事は別に恥じ入る行為ではない、それに預言の事を匂わせていない。もし惑星屑からの報告を受けていたなら動揺はせずともそれくらいの事は知っていると、何らかの反応を示していておかしくない。
些細な反応を伺ってそういった何も知らない人間の反応を目の当たりにして、ルークは当初の予定をそのままに首を納得したように縦に振って話を続ける。
「ありがとうございます。それらを踏まえてなのですが、この度キムラスカとマルクトにて和平が結ばれる事になりました」
「おお・・・そうなのですか」
「ですが和平を結ぶ為に私達が親善大使としていた時、ある人物のある問題行動に私は対しました」
「ある人物・・・?」
「失礼かとは思いましたが導師より許可をいただいておりますので、その人物をあの担ぎ上げられた袋で束縛しています。・・・ちょっと袋を下ろして中身を出してくれ」
詠師達との会話もそこそこにルークはずだ袋を持つ影分身兵士に振り返り、中を開けてくれと命じる。影分身兵士は命を受け袋をイオンの前の机の上に下ろし、袋の縛り口を解く。そこから現れたものは・・・老け髭の顔。
「なっ!?ヴァン謡将!?どっ、どういうことなのですか・・・!?」
何も言わず横たわる老け髭を見てトリトハイムが盛大にオロオロしながら何があったのかを問いてくる。イオンの方を探るようにやたらチラチラ見る様子から察して、ルークに強く出れない歯がゆさを感じているのだろう。まあ身内に甘くなるのはダアトの強い特徴と言える為、今更ルークは気にしない。
「とりあえず私がヴァン謡将を捕らえた理由と経緯をお話させていただきます、落ち着いてください」
「は、はい・・・」
冷静に事を運ぶルークに勢いを削がれトリトハイムを始めとした詠師達は反論する事なくルークに注目する。
そんな中でルークはまず親善大使任命の下りと老け髭がキムラスカ兵士達を襲った時の事を話し出す・・・
「・・・という訳です」
「そんな・・・ヴァン謡将がそのような事を・・・」
経緯を聞いた詠師達の顔には同様の暗さが宿っている。まあ戦争に繋がってもおかしくない行為をして、なおかつ捕縛されたのだ。懸念材料には事を欠いていない。
だがこれから詠師達が苦心するのは老け髭の事ではない、預言を信じられなくなった事で自らの考えで動かざるを得なくなる事だ。
そんな事を考えながらルークは弱っていく詠師達を更に追い詰めていく。
.
「えっ・・・?少なくとも私はそのような事は聞いてはおりませんが・・・」
「私も・・・」
ルークの続いての質問に詠師達に動揺が広がる。だがそれも当然の事だ。
惑星屑ははなから和平を成功する気はなかった、そんな惑星屑が今和平を成功させるためにバチカルにいるなどとわざわざ嘘の報告をダアトにする意味があるはずがない。とは言っても惑星屑はある報告をダアト、いやなにがなんでも惑星屑が関係する一部の預言保守派にする必要がある。
それは戦争が始まるその準備をダアトで秘密裏に行わせる、ダアトを戦争の被害から守る為の準備をさせるための報告だ。
自分が所属する国が戦火に巻き込まれて全然構わない、所属している人間が無意味に命を失ってもいいなどと思える為政者は為政者などとは言わない。それが預言だったなら惑星屑は躊躇なく見捨てる事を選ぶのだろうが、戦火の備えをしておらずダアトが大きな被害を被ってしまえば元も子もない。
それらを踏まえればダアトを守る為に詠師クラスに預言の事実を知る人間が一人くらい紛れていてもおかしくはないとルークとナルトは思っていたのだが、偽りの和平の橋渡しの事実すら口にする者がいないとなるなら誰一人詠師には惑星屑と近しい者がいないという証になる。
唐突な意味不明な質問はルーク達のふるい、それを知らずに詠師達は正直な反応を返してくれた。和平に協力する事は別に恥じ入る行為ではない、それに預言の事を匂わせていない。もし惑星屑からの報告を受けていたなら動揺はせずともそれくらいの事は知っていると、何らかの反応を示していておかしくない。
些細な反応を伺ってそういった何も知らない人間の反応を目の当たりにして、ルークは当初の予定をそのままに首を納得したように縦に振って話を続ける。
「ありがとうございます。それらを踏まえてなのですが、この度キムラスカとマルクトにて和平が結ばれる事になりました」
「おお・・・そうなのですか」
「ですが和平を結ぶ為に私達が親善大使としていた時、ある人物のある問題行動に私は対しました」
「ある人物・・・?」
「失礼かとは思いましたが導師より許可をいただいておりますので、その人物をあの担ぎ上げられた袋で束縛しています。・・・ちょっと袋を下ろして中身を出してくれ」
詠師達との会話もそこそこにルークはずだ袋を持つ影分身兵士に振り返り、中を開けてくれと命じる。影分身兵士は命を受け袋をイオンの前の机の上に下ろし、袋の縛り口を解く。そこから現れたものは・・・老け髭の顔。
「なっ!?ヴァン謡将!?どっ、どういうことなのですか・・・!?」
何も言わず横たわる老け髭を見てトリトハイムが盛大にオロオロしながら何があったのかを問いてくる。イオンの方を探るようにやたらチラチラ見る様子から察して、ルークに強く出れない歯がゆさを感じているのだろう。まあ身内に甘くなるのはダアトの強い特徴と言える為、今更ルークは気にしない。
「とりあえず私がヴァン謡将を捕らえた理由と経緯をお話させていただきます、落ち着いてください」
「は、はい・・・」
冷静に事を運ぶルークに勢いを削がれトリトハイムを始めとした詠師達は反論する事なくルークに注目する。
そんな中でルークはまず親善大使任命の下りと老け髭がキムラスカ兵士達を襲った時の事を話し出す・・・
「・・・という訳です」
「そんな・・・ヴァン謡将がそのような事を・・・」
経緯を聞いた詠師達の顔には同様の暗さが宿っている。まあ戦争に繋がってもおかしくない行為をして、なおかつ捕縛されたのだ。懸念材料には事を欠いていない。
だがこれから詠師達が苦心するのは老け髭の事ではない、預言を信じられなくなった事で自らの考えで動かざるを得なくなる事だ。
そんな事を考えながらルークは弱っていく詠師達を更に追い詰めていく。
.