焔と渦巻く忍法帖 第十九話
「嫌ぁっ!!嫌です!!そんなの!!私はルークとともに国を変えたいのに、そのようなこと!!なのにルークが結果を残せねばそんな事を想われるだけの存在となるなどと!!ルークと子供を作らなかったら私以外と子を作らねばならなくなるなどと!!・・・嫌ぁぁぁぁぁぁっ!!」
・・・狂った。はっきりわかりやすく猪思考姫以外がその姿を見た者達が共通して感じた第一印象が、その一言だった。
自らの体を抱き再び涙を溢れ返させ声には威厳も何もなく、顔の穴という穴全てを全開にしながら叫び続けるその姿・・・もう矜持もない。ただ自らの理想とあまりにも掛け離れた現実をただ否定しようと、煙デコの憐憫の目すら視界に入らず声を上げ続けるだけ。
・・・これまで我を通す事を正義、いや自分こそが正しいと微塵も疑いもせず生きて来た。これはその代償、因果応報だ。ただ今までそれに気付く知識がなかった、だからルーク達が丁寧に教えてやってるまでだ。いつまでもその無知に苛まれるよう、そして限りなく救いようがない地に居続けなければいけないという事を。
「フフッ、何を悲観なさっているのですか?ナタリア様。あくまでもそれはルーク様が実績を残さなかったら、の話ですよ?」
「・・・え?」
だがまだ猪思考姫には上げて叩き落とす余地という物が残っている、希望と呼べぬ希望を抱かせそして一気に絶望へ落ちる余地が。そしてその絶望を与える最後の人物は・・・外ならない想い人、煙デコ。
ルークは猪思考姫より遥かに小さい声であるのに遥かに存在感のある笑顔と優しい声で、猪思考姫の止められると思えなかった奇行を止めてしまう。
そう、まだ終わってはいない。煙デコへの罰は済んではいない。猪思考姫すらもを煙デコの枷、そして責め苦とするためルークは猪思考姫から視線を変え笑顔をより強め口を開く。
「今私が話したのはあくまでもルーク様が駄目だったらです。ルーク様が実績を残されれば何の問題もないこと、違いますか?」
「なっ・・・!?それは時間が・・・」
「そっ・・・そうですわっ!!!」
ルークが優しくそうではないのかと言い煙デコは時間が足りないと慌てて言い訳をしようとするが、その後に続く声を誰よりも大きい声で救いを見つけたと言わんばかりの猪思考姫の声が遮る。そして言葉を潰された煙デコに猪思考姫は力が入らないのか立ち上がることが出来ないのか、膝立ちのまま煙デコに近寄ると腰辺りの服を掴み下から鬼の形相で見上げるように言葉を放つ。
「ルーク!あなただけが頼りなのです!時間がどうのとは言っていられないのは分かるでしょう!?そんな事を言ってもし駄目だったなら私達は飾りとなってしまうのですわよ!」
「た、確かにそうだが俺は・・・」
「言い訳をしないでください!あなたは私と共にキムラスカを変えると誓ったのですわよ!あなたは飾りでいいのですか!?私は嫌ですわ!そのためにはあなたが頑張るしかないのです!それをわかっていますの!?」
「うっ・・・」
猪思考姫は下にいながらも煙デコの体をガクンガクンと大きく揺さぶり、いかに自分の意見が正しいかを上から目線でそうだろうと力説する。そのあまりの剣幕に煙デコは反論も出来ず、圧されるばかりだ。
・・・もっともその言葉には煙デコへの気遣いなど一切ない、自分本位以外の何者でもない。あなたが頑張るしかない、それははっきり言えば責任を煙デコだけに放り投げている事と同義だ。確かに今後は煙デコだけしか政治に関われる機会を与えられる事はないが、それで失敗した時にはお前だけのせいだと言い兼ねない勢いがある。元々政治に関われなくなったのは猪思考姫自身の責任であるというのに。
・・・だが惚れた弱みなのか、ただ言葉の勢いに圧され理解出来なかったのか。弱々しく猪思考姫を見て何も返せない煙デコ。
・・・それを見てルーク達は最後の追い込みをかける、虚飾の王と女王にするべく最後の追い込みを・・・
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・・・狂った。はっきりわかりやすく猪思考姫以外がその姿を見た者達が共通して感じた第一印象が、その一言だった。
自らの体を抱き再び涙を溢れ返させ声には威厳も何もなく、顔の穴という穴全てを全開にしながら叫び続けるその姿・・・もう矜持もない。ただ自らの理想とあまりにも掛け離れた現実をただ否定しようと、煙デコの憐憫の目すら視界に入らず声を上げ続けるだけ。
・・・これまで我を通す事を正義、いや自分こそが正しいと微塵も疑いもせず生きて来た。これはその代償、因果応報だ。ただ今までそれに気付く知識がなかった、だからルーク達が丁寧に教えてやってるまでだ。いつまでもその無知に苛まれるよう、そして限りなく救いようがない地に居続けなければいけないという事を。
「フフッ、何を悲観なさっているのですか?ナタリア様。あくまでもそれはルーク様が実績を残さなかったら、の話ですよ?」
「・・・え?」
だがまだ猪思考姫には上げて叩き落とす余地という物が残っている、希望と呼べぬ希望を抱かせそして一気に絶望へ落ちる余地が。そしてその絶望を与える最後の人物は・・・外ならない想い人、煙デコ。
ルークは猪思考姫より遥かに小さい声であるのに遥かに存在感のある笑顔と優しい声で、猪思考姫の止められると思えなかった奇行を止めてしまう。
そう、まだ終わってはいない。煙デコへの罰は済んではいない。猪思考姫すらもを煙デコの枷、そして責め苦とするためルークは猪思考姫から視線を変え笑顔をより強め口を開く。
「今私が話したのはあくまでもルーク様が駄目だったらです。ルーク様が実績を残されれば何の問題もないこと、違いますか?」
「なっ・・・!?それは時間が・・・」
「そっ・・・そうですわっ!!!」
ルークが優しくそうではないのかと言い煙デコは時間が足りないと慌てて言い訳をしようとするが、その後に続く声を誰よりも大きい声で救いを見つけたと言わんばかりの猪思考姫の声が遮る。そして言葉を潰された煙デコに猪思考姫は力が入らないのか立ち上がることが出来ないのか、膝立ちのまま煙デコに近寄ると腰辺りの服を掴み下から鬼の形相で見上げるように言葉を放つ。
「ルーク!あなただけが頼りなのです!時間がどうのとは言っていられないのは分かるでしょう!?そんな事を言ってもし駄目だったなら私達は飾りとなってしまうのですわよ!」
「た、確かにそうだが俺は・・・」
「言い訳をしないでください!あなたは私と共にキムラスカを変えると誓ったのですわよ!あなたは飾りでいいのですか!?私は嫌ですわ!そのためにはあなたが頑張るしかないのです!それをわかっていますの!?」
「うっ・・・」
猪思考姫は下にいながらも煙デコの体をガクンガクンと大きく揺さぶり、いかに自分の意見が正しいかを上から目線でそうだろうと力説する。そのあまりの剣幕に煙デコは反論も出来ず、圧されるばかりだ。
・・・もっともその言葉には煙デコへの気遣いなど一切ない、自分本位以外の何者でもない。あなたが頑張るしかない、それははっきり言えば責任を煙デコだけに放り投げている事と同義だ。確かに今後は煙デコだけしか政治に関われる機会を与えられる事はないが、それで失敗した時にはお前だけのせいだと言い兼ねない勢いがある。元々政治に関われなくなったのは猪思考姫自身の責任であるというのに。
・・・だが惚れた弱みなのか、ただ言葉の勢いに圧され理解出来なかったのか。弱々しく猪思考姫を見て何も返せない煙デコ。
・・・それを見てルーク達は最後の追い込みをかける、虚飾の王と女王にするべく最後の追い込みを・・・
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