焔と渦巻く忍法帖 第十九話
喜びは一瞬にして暗雲立ち込めた物へと変わる、共に国を導くと誓い合った二人はインゴベルトの言葉に何も反応出来ずにいた。そんな呆然としている二人に優しくするでもなく、インゴベルトは話を続ける。
「ナタリア、そなたは確かに福祉などの政策に関して多々功績を残しては来た。だがそなたの立場はこのバチカルでは危うい物と化している、先の親善大使に勝手に付いていった件を受けてな」
「そ、それはどういうことなのですか!?」
「あーれぇ?もう忘れちゃったってば?」
ただ淡々と言葉を紡いでいくインゴベルトに猪思考姫は慌てて声を出し訳を問うが、その声に反応したのは愉快そうなナルトだ。
「お姫様は預言に詠まれた地に無断で行ったのに、誰も止めて来てくれる人がいなかったって話があったのを覚えてる?それを命じた大元って誰だっけ?」
「!・・・それ・・・は、お父様・・・」
「そう。王様の命令は絶対、お姫様が消えた事でもちろん城は大騒ぎ。そんな時って尻拭いっていうか後始末をするのは父親の役目だってばよね?あれだけ殿下は反対されたのに親善大使一行を追い掛けいなくなりました、どうなされますかって臣下からは確実に王様以外には口に出来ない罰と対応を求める声が抑えた表現で出て来る。王様を玉座から引きずり落とせるのは大多数の民からの要望以外にないけど、貴族や王族はより上の地位にいる人間からの声で罰が与えられる・・・だから陛下はこうでも言ったんだろうなぁ、『帰って来た時にしかるべき処置を取らせるからあえてナタリアを止めるな』って。これは本来死ぬ予定だったから罰はそれで終わりの予定だった・・・けどそれは俺達が無事にここに来た事で話が変わった、実際にお姫様に罰を与えなきゃ臣下に示しがつかなくなった。そんな下からの切なる要望があったから断固とした態度を取らなくちゃいけなくなったんだってばよ。分かる?陛下の苦悩ってやつが」
「そこまでの処分を受ける程の事では・・・もう終わった事ですわ・・・」
「貴族ってさぁ、一般人や兵士よりは偉くても陛下に比べたら身分は下だってば。そんな人物が命に反した行為を取ったならよくて称号剥奪、最悪死刑物の大罪物だってば、それが例え王女だったとしても最高権力者に逆らった当然の報い・・・けどルークのおかげでおいそれとお姫様には手を出せない、けど罰は与えないと下に示しがつかない・・・偽者のお姫様とばらされずかつ今の位置にいさせることの出来るギリギリのラインがこれだってば。なのに、これ以上求めるんなら遠慮なく九尾を放つってばよ?今すぐに」
「そ!それは・・・!」
ナルトの声に顔を青くして身を乗り出そうとしたのは猪思考姫ではなく、インゴベルト。
「悪いけど本気だってばよ、だってこの姉ちゃん立場全く分かってねぇもん。それにこれは陛下が巻き起こした事でもあるんだってばよ?一応育ての親は陛下、なのに自分の過失を国の王から告げられてるのに軽い物としか思ってない態度。どんだけ陛下がお姫様をお姫様以上に扱ってきたのか、目に見えてくるようだってば」
「うっ・・・」
だが鋭く刺すよう責める視線からの言葉に、インゴベルトは反論が出来ずに唸り声を出してしまう。
事実王としての自覚は備わってはいるのだが、親としては甘やかしてばかりの厳しさがない。たまに叱ったかと思えば王族として育った境遇もあいまって逆に一点の迷いもなく反論する我の強さを見せられ、その言葉は娘に畏怖を感じさせて黙らせる事の出来る威厳がない。現に処分を告げたのにナルトに押されながらも不満を持っているのがその証拠だ。
正直に言えばルークとナルトの二人はインゴベルトになんの期待もしていない、ただ責任の一端は自らにもあるという事。そしてこれからの猪思考姫の行動に歯止めをかける存在が自分なんだと理解させるためにこの場を選んだのだ。
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「ナタリア、そなたは確かに福祉などの政策に関して多々功績を残しては来た。だがそなたの立場はこのバチカルでは危うい物と化している、先の親善大使に勝手に付いていった件を受けてな」
「そ、それはどういうことなのですか!?」
「あーれぇ?もう忘れちゃったってば?」
ただ淡々と言葉を紡いでいくインゴベルトに猪思考姫は慌てて声を出し訳を問うが、その声に反応したのは愉快そうなナルトだ。
「お姫様は預言に詠まれた地に無断で行ったのに、誰も止めて来てくれる人がいなかったって話があったのを覚えてる?それを命じた大元って誰だっけ?」
「!・・・それ・・・は、お父様・・・」
「そう。王様の命令は絶対、お姫様が消えた事でもちろん城は大騒ぎ。そんな時って尻拭いっていうか後始末をするのは父親の役目だってばよね?あれだけ殿下は反対されたのに親善大使一行を追い掛けいなくなりました、どうなされますかって臣下からは確実に王様以外には口に出来ない罰と対応を求める声が抑えた表現で出て来る。王様を玉座から引きずり落とせるのは大多数の民からの要望以外にないけど、貴族や王族はより上の地位にいる人間からの声で罰が与えられる・・・だから陛下はこうでも言ったんだろうなぁ、『帰って来た時にしかるべき処置を取らせるからあえてナタリアを止めるな』って。これは本来死ぬ予定だったから罰はそれで終わりの予定だった・・・けどそれは俺達が無事にここに来た事で話が変わった、実際にお姫様に罰を与えなきゃ臣下に示しがつかなくなった。そんな下からの切なる要望があったから断固とした態度を取らなくちゃいけなくなったんだってばよ。分かる?陛下の苦悩ってやつが」
「そこまでの処分を受ける程の事では・・・もう終わった事ですわ・・・」
「貴族ってさぁ、一般人や兵士よりは偉くても陛下に比べたら身分は下だってば。そんな人物が命に反した行為を取ったならよくて称号剥奪、最悪死刑物の大罪物だってば、それが例え王女だったとしても最高権力者に逆らった当然の報い・・・けどルークのおかげでおいそれとお姫様には手を出せない、けど罰は与えないと下に示しがつかない・・・偽者のお姫様とばらされずかつ今の位置にいさせることの出来るギリギリのラインがこれだってば。なのに、これ以上求めるんなら遠慮なく九尾を放つってばよ?今すぐに」
「そ!それは・・・!」
ナルトの声に顔を青くして身を乗り出そうとしたのは猪思考姫ではなく、インゴベルト。
「悪いけど本気だってばよ、だってこの姉ちゃん立場全く分かってねぇもん。それにこれは陛下が巻き起こした事でもあるんだってばよ?一応育ての親は陛下、なのに自分の過失を国の王から告げられてるのに軽い物としか思ってない態度。どんだけ陛下がお姫様をお姫様以上に扱ってきたのか、目に見えてくるようだってば」
「うっ・・・」
だが鋭く刺すよう責める視線からの言葉に、インゴベルトは反論が出来ずに唸り声を出してしまう。
事実王としての自覚は備わってはいるのだが、親としては甘やかしてばかりの厳しさがない。たまに叱ったかと思えば王族として育った境遇もあいまって逆に一点の迷いもなく反論する我の強さを見せられ、その言葉は娘に畏怖を感じさせて黙らせる事の出来る威厳がない。現に処分を告げたのにナルトに押されながらも不満を持っているのがその証拠だ。
正直に言えばルークとナルトの二人はインゴベルトになんの期待もしていない、ただ責任の一端は自らにもあるという事。そしてこれからの猪思考姫の行動に歯止めをかける存在が自分なんだと理解させるためにこの場を選んだのだ。
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