焔と渦巻く忍法帖 第十九話
「普通履歴書ってのはその人物の経歴を書く場所だってばよね?年や名前に出身地に労働経験の有無・・・大体雇われる為に必要な物はそんなとこ。はいここで問題。解雇された人達は新たな職に就かないと、生活の為のお金をもらえません。そんな時にやるべき事とは何でしょうか?」
「何って・・・職を探す以外ないじゃない。それくらい誰でもわかる事だわ」
「じゃあ次の質問。解雇した側であるこの屋敷になんで解雇された人達の履歴書が残っているんでしょーか?」
「えっ・・・?」
二つ目の質問に当然だろうと踏ん反り返りかけていた態度が一転、勢いがなくなる。
「普通問題起こして辞めさせた人物をもう一回雇い入れる事なんてない。ならどうして履歴書を辞めさせた後も取ってると思う?」
「・・・わからないわ」
再度問われた質問に全く理解出来ず、修頭胸はすぐさま降参する。そんな様子にナルト、そしてナルトより小さく公爵が嘆息する。
「ふぅ・・・馬鹿だ馬鹿だとはいつも思ってたけど、これだけ馬鹿とはホンット救いようがないってば」
「なんですって!?」
もろにストレートな罵倒に修頭胸は立場の違いと場の違いを頭に置き去りにし、無駄に高いだけのプライドでナルトへと怒りをあらわにする。だがそんな怒りを耳に入れていないように全くナルトは動じない。
「貴族の子供として過ごしてた時のルークを散々馬鹿にしたくせに、お前は貴族の誇りの先にあるものを全く知らない。そんな奴になんで馬鹿じゃないなんて言える訳ないってばよ」
「・・・どういうことよっ!?」
更になじっていくナルトに煽られ、修頭胸はヒステリックに叫び出す。・・・こんな生の激情を丸出しにしている時点で気付けない、それだけでももう兵士として、人としての底が浅いと言える。
「それじゃあ答えを教えてやるってばよ。それは」
「キムラスカ内にある職場全てにこいつらを働かせるなっていう、お達しを渡す為だってばよ」
「・・・えっ?」
出された答えにまたキョトンと、激情がすぐ消え去る。揺れる安定感の無さにナルトは今更だと気にせず話を続ける。
「貴族、そして王族の屋敷に働けるってのは国の中でも責任重大な位置にいる労働者だってば。なにしろ失礼をして王族の不興を買ったってなったら、一族郎党晒し首ってなっても全くおかしくないんだから。それは雇っている側の公爵も、雇われている側の兵士達も承知の上での事。その分国の王族を守っているって栄誉があるからプラスマイナスゼロで割合が取れる・・・だからこそその均衡を崩されたらその兵士達が悲惨な目に合うってば」
「・・・それが全員解雇、っていうの・・・」
「そ。まぁ晒し首っていうか殺さなかった理由は民に温情をかける優しい方だと思わせる為と大勢の人間の首を一斉にはねるだけの余裕がなかったからだってば。なにしろ屋敷からはルークが消えたばかりで全員国で処断する時間も取れない、なら国で裁くよりもいっそ連帯責任で屋敷から放り出せば手続きとしては楽だし民には一応示しがつく、それがまだ波風の少ない処置だったから殺されなかっただけのことだってば・・・もっともルークが屋敷に帰って来れない事態になっていたなら改めて兵士を勤めてた人達が集められて、首をはねられてただろうけど」
「そ、そんな・・・」
もしもが実現していたなら・・・そしてそんな背景があったこと。ナルトの整然と話されたそれに修頭胸は顔を青くするが、同時に公爵も複雑そうな顔でいる。察するに事実を突かれているのと貴族としての背景を見抜かれ、どう言った気持ちでこのやり取りを見ていいのかわからないのだろう。ここまでナルトは貴族を知っていて例えようもないほど危険な存在であるが、反面それ以上に無知を極めた態度を取る修頭胸を責めている。
とはいえ結局ナルトに何も言わないのはその状態を望んでいるというのもあるんだろう、その顔をチラッと一瞬だけ見てナルトは更に話を続ける。
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「何って・・・職を探す以外ないじゃない。それくらい誰でもわかる事だわ」
「じゃあ次の質問。解雇した側であるこの屋敷になんで解雇された人達の履歴書が残っているんでしょーか?」
「えっ・・・?」
二つ目の質問に当然だろうと踏ん反り返りかけていた態度が一転、勢いがなくなる。
「普通問題起こして辞めさせた人物をもう一回雇い入れる事なんてない。ならどうして履歴書を辞めさせた後も取ってると思う?」
「・・・わからないわ」
再度問われた質問に全く理解出来ず、修頭胸はすぐさま降参する。そんな様子にナルト、そしてナルトより小さく公爵が嘆息する。
「ふぅ・・・馬鹿だ馬鹿だとはいつも思ってたけど、これだけ馬鹿とはホンット救いようがないってば」
「なんですって!?」
もろにストレートな罵倒に修頭胸は立場の違いと場の違いを頭に置き去りにし、無駄に高いだけのプライドでナルトへと怒りをあらわにする。だがそんな怒りを耳に入れていないように全くナルトは動じない。
「貴族の子供として過ごしてた時のルークを散々馬鹿にしたくせに、お前は貴族の誇りの先にあるものを全く知らない。そんな奴になんで馬鹿じゃないなんて言える訳ないってばよ」
「・・・どういうことよっ!?」
更になじっていくナルトに煽られ、修頭胸はヒステリックに叫び出す。・・・こんな生の激情を丸出しにしている時点で気付けない、それだけでももう兵士として、人としての底が浅いと言える。
「それじゃあ答えを教えてやるってばよ。それは」
「キムラスカ内にある職場全てにこいつらを働かせるなっていう、お達しを渡す為だってばよ」
「・・・えっ?」
出された答えにまたキョトンと、激情がすぐ消え去る。揺れる安定感の無さにナルトは今更だと気にせず話を続ける。
「貴族、そして王族の屋敷に働けるってのは国の中でも責任重大な位置にいる労働者だってば。なにしろ失礼をして王族の不興を買ったってなったら、一族郎党晒し首ってなっても全くおかしくないんだから。それは雇っている側の公爵も、雇われている側の兵士達も承知の上での事。その分国の王族を守っているって栄誉があるからプラスマイナスゼロで割合が取れる・・・だからこそその均衡を崩されたらその兵士達が悲惨な目に合うってば」
「・・・それが全員解雇、っていうの・・・」
「そ。まぁ晒し首っていうか殺さなかった理由は民に温情をかける優しい方だと思わせる為と大勢の人間の首を一斉にはねるだけの余裕がなかったからだってば。なにしろ屋敷からはルークが消えたばかりで全員国で処断する時間も取れない、なら国で裁くよりもいっそ連帯責任で屋敷から放り出せば手続きとしては楽だし民には一応示しがつく、それがまだ波風の少ない処置だったから殺されなかっただけのことだってば・・・もっともルークが屋敷に帰って来れない事態になっていたなら改めて兵士を勤めてた人達が集められて、首をはねられてただろうけど」
「そ、そんな・・・」
もしもが実現していたなら・・・そしてそんな背景があったこと。ナルトの整然と話されたそれに修頭胸は顔を青くするが、同時に公爵も複雑そうな顔でいる。察するに事実を突かれているのと貴族としての背景を見抜かれ、どう言った気持ちでこのやり取りを見ていいのかわからないのだろう。ここまでナルトは貴族を知っていて例えようもないほど危険な存在であるが、反面それ以上に無知を極めた態度を取る修頭胸を責めている。
とはいえ結局ナルトに何も言わないのはその状態を望んでいるというのもあるんだろう、その顔をチラッと一瞬だけ見てナルトは更に話を続ける。
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