焔と渦巻く忍法帖 第十九話
・・・とどめを刺したとはいえ、ルークが付けた傷はけして癒える事のない致命傷。これは時が経ってこそ絶大な効果を発揮する。
後は放っておけば自ら苦しんでいく、ルークはもうこれ以上自ら傷をえぐる気はないため掴んでいた手を離す。
「ならいいよ。あー、夜遅く来て悪かったな。言いたい事は言い終わったから俺はもう行く。じゃあな」
凹んだ姿は見ていて気持ちが晴れるとはいえ、やはり嫌いな物は嫌いに変わりない。力を無くした表情のフェミ男スパッツと顔を青くしてお迎え一歩手前にしているペールに、ルークはさっさとドアに振り返って二人の部屋を退出していった。
・・・同時刻、ファブレ邸にある応接室。ナルトは傍らにファブレ公爵を場に添え、ある人物と対面していた。その人物とは・・・
「呼び出される理由は理解してますかってば?ダアトの一兵士さん?」
「・・・なんなの、一体・・・?」
満面の笑みで話しかけるナルトに一歩置き出来る限り身を離そうとしている、修頭胸。畏怖を持ったその態度、謁見の間で偽九尾を出したナルトを不気味に思っているのだろう。もっともそれはファブレ公爵も同様で、ナルトの動向に怯えながら臆病さを隠しつつ視線を向けている。
「まぁそれは色々話をするってば・・・さて、まず俺が聞きたい事を聞かせてもらうってばよ?なんでお前はこの家に入ってあの髭兄を襲ったんだ?」
最初は大前提で最大極まりない過ちの元から、ナルトは手始めにそこから行っておく。
「兄さんがこの家にいると聞いたからよ」
「へぇ、それで?この家にいる時に襲おうと思った理由は?」
「それは・・・貴方ももう知っているでしょう、兄さんは良からぬ事を企んでいたから一刻も早く止めたかったからよ」
・・・流石にたいした視点の狭さだ。この場に相席している人間の前で、そのような事をのうのうと言えるとは。
「じゃあ言い方を変えるってば。この家じゃなけりゃいけなかった理由ってあったか?」
「それは今言ったでしょう。兄さんがいたから一刻も早く止めたかっただけだわ」
わざわざ言い方を変えた理由を全く気を使わず即答、しかも答えはそれしかないと特に中身のない返答。
・・・浅い。そう思ったのだろう、傍らに控えていた公爵は一歩前に進み出る。
「それではヴァンがいた場所がここでなかったならここで本来ここで襲撃が起こる事はなかった、という事だな?」
「はい、そうです。兄が別の場所にいたなら、そこで兄を襲いました」
自らの立場を持ってナルトの質問を厳しい言葉にするファブレ公爵に、修頭胸は迷いなく自身に満ちた瞳で答える。
そのあまりにも馬鹿らしい答えに、信じられないといった愕然の表情に変わる公爵。それを見たナルトは公爵に近付きポンと肩を叩く。
「っ・・・!」
「そーんな警戒しなくてもいいってばよ。今俺はアンタの敵じゃない、寧ろ俺は味方だ」
明らかに体をビクッとさせる公爵になだめるようナルトは声をかける。
・・・この件に関してだけは完璧に公爵側は被害者だ。いかに預言の狗とはいえ、この無能自己完結女に家を荒らされたと思えば少しは同情の余地はある。
ナルトは本当にこの場だけは公爵に味方すべく、修頭胸へ視線を向ける。
「なぁ、確か夫人には謝罪したって聞いたけど公爵や家の人には謝罪した?姉ちゃん」
「・・・公爵には屋敷に来た時一言言ったけど、家の人にまでは言ってないわ」
一言、それは確かに一言だ。ただしそれは予定外のルークを巻き込んだ事に対しての謝罪でしかない。それは夫人への謝罪で侵入したことについて謝っていないことを明言している。
「じゃあ家にその時いた人に、会えたら謝りたいと思ってる?」
「謝れたら謝るわ」
ナルトの問い掛け、その答えに当然だろうと全然悪びれもせず即答で修頭胸は謝ると言った。
・・・何も分かっていない、だから謝罪するという言葉すらが謝罪の意味を帯びていない。
全部明かしてやろう、そう思っているナルトの手は自然と自らの荷物に手が伸びていた。
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後は放っておけば自ら苦しんでいく、ルークはもうこれ以上自ら傷をえぐる気はないため掴んでいた手を離す。
「ならいいよ。あー、夜遅く来て悪かったな。言いたい事は言い終わったから俺はもう行く。じゃあな」
凹んだ姿は見ていて気持ちが晴れるとはいえ、やはり嫌いな物は嫌いに変わりない。力を無くした表情のフェミ男スパッツと顔を青くしてお迎え一歩手前にしているペールに、ルークはさっさとドアに振り返って二人の部屋を退出していった。
・・・同時刻、ファブレ邸にある応接室。ナルトは傍らにファブレ公爵を場に添え、ある人物と対面していた。その人物とは・・・
「呼び出される理由は理解してますかってば?ダアトの一兵士さん?」
「・・・なんなの、一体・・・?」
満面の笑みで話しかけるナルトに一歩置き出来る限り身を離そうとしている、修頭胸。畏怖を持ったその態度、謁見の間で偽九尾を出したナルトを不気味に思っているのだろう。もっともそれはファブレ公爵も同様で、ナルトの動向に怯えながら臆病さを隠しつつ視線を向けている。
「まぁそれは色々話をするってば・・・さて、まず俺が聞きたい事を聞かせてもらうってばよ?なんでお前はこの家に入ってあの髭兄を襲ったんだ?」
最初は大前提で最大極まりない過ちの元から、ナルトは手始めにそこから行っておく。
「兄さんがこの家にいると聞いたからよ」
「へぇ、それで?この家にいる時に襲おうと思った理由は?」
「それは・・・貴方ももう知っているでしょう、兄さんは良からぬ事を企んでいたから一刻も早く止めたかったからよ」
・・・流石にたいした視点の狭さだ。この場に相席している人間の前で、そのような事をのうのうと言えるとは。
「じゃあ言い方を変えるってば。この家じゃなけりゃいけなかった理由ってあったか?」
「それは今言ったでしょう。兄さんがいたから一刻も早く止めたかっただけだわ」
わざわざ言い方を変えた理由を全く気を使わず即答、しかも答えはそれしかないと特に中身のない返答。
・・・浅い。そう思ったのだろう、傍らに控えていた公爵は一歩前に進み出る。
「それではヴァンがいた場所がここでなかったならここで本来ここで襲撃が起こる事はなかった、という事だな?」
「はい、そうです。兄が別の場所にいたなら、そこで兄を襲いました」
自らの立場を持ってナルトの質問を厳しい言葉にするファブレ公爵に、修頭胸は迷いなく自身に満ちた瞳で答える。
そのあまりにも馬鹿らしい答えに、信じられないといった愕然の表情に変わる公爵。それを見たナルトは公爵に近付きポンと肩を叩く。
「っ・・・!」
「そーんな警戒しなくてもいいってばよ。今俺はアンタの敵じゃない、寧ろ俺は味方だ」
明らかに体をビクッとさせる公爵になだめるようナルトは声をかける。
・・・この件に関してだけは完璧に公爵側は被害者だ。いかに預言の狗とはいえ、この無能自己完結女に家を荒らされたと思えば少しは同情の余地はある。
ナルトは本当にこの場だけは公爵に味方すべく、修頭胸へ視線を向ける。
「なぁ、確か夫人には謝罪したって聞いたけど公爵や家の人には謝罪した?姉ちゃん」
「・・・公爵には屋敷に来た時一言言ったけど、家の人にまでは言ってないわ」
一言、それは確かに一言だ。ただしそれは予定外のルークを巻き込んだ事に対しての謝罪でしかない。それは夫人への謝罪で侵入したことについて謝っていないことを明言している。
「じゃあ家にその時いた人に、会えたら謝りたいと思ってる?」
「謝れたら謝るわ」
ナルトの問い掛け、その答えに当然だろうと全然悪びれもせず即答で修頭胸は謝ると言った。
・・・何も分かっていない、だから謝罪するという言葉すらが謝罪の意味を帯びていない。
全部明かしてやろう、そう思っているナルトの手は自然と自らの荷物に手が伸びていた。
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