焔と渦巻く忍法帖 第十九話
「別に。言わなかったのはそん時取るに足らない程度にしか感じてなかっただけだよ。それ以外なんもねぇから」
何かを、そう何かを期待するような視線に切り替わっていたフェミ男スパッツにいたって興味をなくしたようにシラッとした顔になるルーク。
「でもこれからは晴れて俺はいなくなんだからな。俺は知ってたっていうのは言っておこうと思っただけだよ」
「待てよルーク・・・」
「俺はテメェの仕えるルーク様じゃねぇ。気安くルークって名前言うんじゃねぇっつっただろうが」
何か諦めの悪い様子で尚ルークと朱炎と呼ばずに前に歩み出た事で、ルークは威嚇程度に怒りを見せ殺気をぶつける。
「お、お待ちくださいルーク様・・・いきなりの事でルーク様が自分の事をルークと呼ぶなと言われても、申し訳ありませんが私には話が理解出来ません・・・」
「ん・・・?あぁ、そうか。ワリィワリィ」
そんないきなりルークが不機嫌になって途端にフェミ男スパッツが下がる様子に、ペールがどう入っていいものかとオロオロした様子で質問を口にする。そんなご老体の様子にあっけらかんとした様子でルークは視線を向け、軽い口調で怒りを消して返す。
「明日になりゃ屋敷には情報としてペールにも伝わるだろうけど、あんたは特別だ。この際全部明かすからちゃんと事実だって受け止めてくれよ?代わりに色々聞きたい事聞くけど、いいよな?」
「は、はい・・・」
そして続けて出て来た明かす宣言に、ペールは不穏な気配でも感じたのか動揺しながら肯定で返す。
そんなご老体の説明の為に、ルークは一つ一つアクゼリュス行きの経緯とつい先程終えたばかりのバチカルでの出来事を話し出す。
「・・・ってな訳でな。俺はヴァン謡将殿に作られたレプリカで、本物のルーク様はつい先程こちらの自室に戻られた。本物と偽物・・・普通に考えて屋敷に戻るべきは本物だろ?」
「ま、まさかヴァン謡将がそのような事を・・・」
「言質はガイも聞いてるし、なにより俺を作った実際の実行者も事実を認めてる・・・それでだ、お前らに聞きたい事がある」
説明を終え信じられないと表情を歪めペールに、ルークは証拠を明かした後途端に声を落とし二人を不安に陥れる。
「お前らこの家に居続ける気はあるか?」
「・・・は?」
「だーかーらー、使用人として二人共この家で働き続ける気はあるのかって聞いてんだよ」
しかし普通の音声に戻ったルークから出た言葉は使用人生活に甘んじるかというもの、心底理解が出来ないフェミ男スパッツはキョトンとしてしまう。
「ルーク様・・・といってもいいのでしょうか。それは本気で言っておられるのですか?」
そんなルークの質問にフェミ男スパッツよりは質問の自体に込められた危険性にペールは気付いたのだろう、呼び名を戸惑いながらも呼ぶ様子には怪訝さが多大に込められている。
このご老体の方が危機管理に関しても殺気を隠す擬態に関してもフェミ男スパッツより上、実際に今ペールが発言したことに関してもまだその危険性に気付いていない。
ならば気付かせてくれよう、ルークはそう思い暗い闇を瞳に浮かべる。
「ガイ。お前ってさぁ、どういう理由・・・いや、今はそれは関係ねぇや。それよっか今は一つ問題があるからそっちを先に聞かせてもらう・・・主を殺そうとする使用人って、正しい在り方だと思うか?」
「え、いや、それ・・・は・・・っ!?」
ようやく危険性に気付いたのか、常識を言おうとした声が一気に青ざめて止まる。
「そうだよな。お前かつての主の俺を殺そうとしてたもんなぁ。それで一つ考えてみろ。一応俺はファブレ公爵の子息じゃないって言っても元はルークとして生活してたんだ。俺が一言言えばお前もう終わりだぜ?公爵は俺の言葉を拒否しねぇんだからな」
「・・・っ!」
もはや一言ルークが発するだけで自分達の命は終わる、懇切丁寧に説明されたそれにどこか諦めを滲ませフェミ男スパッツは視線を一気に反らす。だがまだ光が失われていない、ルークはそう視線を反らしたその瞳に直感した。
・・・寧ろ望む所、ここであっさり殺させると言って絶望しないことはまだ先に繋がる。更なる地獄の扉を開く事になるのだから。
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何かを、そう何かを期待するような視線に切り替わっていたフェミ男スパッツにいたって興味をなくしたようにシラッとした顔になるルーク。
「でもこれからは晴れて俺はいなくなんだからな。俺は知ってたっていうのは言っておこうと思っただけだよ」
「待てよルーク・・・」
「俺はテメェの仕えるルーク様じゃねぇ。気安くルークって名前言うんじゃねぇっつっただろうが」
何か諦めの悪い様子で尚ルークと朱炎と呼ばずに前に歩み出た事で、ルークは威嚇程度に怒りを見せ殺気をぶつける。
「お、お待ちくださいルーク様・・・いきなりの事でルーク様が自分の事をルークと呼ぶなと言われても、申し訳ありませんが私には話が理解出来ません・・・」
「ん・・・?あぁ、そうか。ワリィワリィ」
そんないきなりルークが不機嫌になって途端にフェミ男スパッツが下がる様子に、ペールがどう入っていいものかとオロオロした様子で質問を口にする。そんなご老体の様子にあっけらかんとした様子でルークは視線を向け、軽い口調で怒りを消して返す。
「明日になりゃ屋敷には情報としてペールにも伝わるだろうけど、あんたは特別だ。この際全部明かすからちゃんと事実だって受け止めてくれよ?代わりに色々聞きたい事聞くけど、いいよな?」
「は、はい・・・」
そして続けて出て来た明かす宣言に、ペールは不穏な気配でも感じたのか動揺しながら肯定で返す。
そんなご老体の説明の為に、ルークは一つ一つアクゼリュス行きの経緯とつい先程終えたばかりのバチカルでの出来事を話し出す。
「・・・ってな訳でな。俺はヴァン謡将殿に作られたレプリカで、本物のルーク様はつい先程こちらの自室に戻られた。本物と偽物・・・普通に考えて屋敷に戻るべきは本物だろ?」
「ま、まさかヴァン謡将がそのような事を・・・」
「言質はガイも聞いてるし、なにより俺を作った実際の実行者も事実を認めてる・・・それでだ、お前らに聞きたい事がある」
説明を終え信じられないと表情を歪めペールに、ルークは証拠を明かした後途端に声を落とし二人を不安に陥れる。
「お前らこの家に居続ける気はあるか?」
「・・・は?」
「だーかーらー、使用人として二人共この家で働き続ける気はあるのかって聞いてんだよ」
しかし普通の音声に戻ったルークから出た言葉は使用人生活に甘んじるかというもの、心底理解が出来ないフェミ男スパッツはキョトンとしてしまう。
「ルーク様・・・といってもいいのでしょうか。それは本気で言っておられるのですか?」
そんなルークの質問にフェミ男スパッツよりは質問の自体に込められた危険性にペールは気付いたのだろう、呼び名を戸惑いながらも呼ぶ様子には怪訝さが多大に込められている。
このご老体の方が危機管理に関しても殺気を隠す擬態に関してもフェミ男スパッツより上、実際に今ペールが発言したことに関してもまだその危険性に気付いていない。
ならば気付かせてくれよう、ルークはそう思い暗い闇を瞳に浮かべる。
「ガイ。お前ってさぁ、どういう理由・・・いや、今はそれは関係ねぇや。それよっか今は一つ問題があるからそっちを先に聞かせてもらう・・・主を殺そうとする使用人って、正しい在り方だと思うか?」
「え、いや、それ・・・は・・・っ!?」
ようやく危険性に気付いたのか、常識を言おうとした声が一気に青ざめて止まる。
「そうだよな。お前かつての主の俺を殺そうとしてたもんなぁ。それで一つ考えてみろ。一応俺はファブレ公爵の子息じゃないって言っても元はルークとして生活してたんだ。俺が一言言えばお前もう終わりだぜ?公爵は俺の言葉を拒否しねぇんだからな」
「・・・っ!」
もはや一言ルークが発するだけで自分達の命は終わる、懇切丁寧に説明されたそれにどこか諦めを滲ませフェミ男スパッツは視線を一気に反らす。だがまだ光が失われていない、ルークはそう視線を反らしたその瞳に直感した。
・・・寧ろ望む所、ここであっさり殺させると言って絶望しないことはまだ先に繋がる。更なる地獄の扉を開く事になるのだから。
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