焔と渦巻く忍法帖 第十八話
「もういいってばよ」
底知れぬ程暗い声色、ナルトが制止を呼びかけるその声に全員が身震いをするがそれと同時に惑星屑にあまりにも壮絶な変化が起こった。
‘プシャァァァッ!’
「「「「!?」」」」
突然の場の雰囲気にそぐわぬ音を出す惑星屑の方を見て、全員が一斉に表情を真っ青に変える。
・・・惑星屑から出た異質な音、それは喉元から一文字に裂かれた傷から出る血飛沫だ。
「~~~~~~っ!!」
当然スッパリ裂けた喉元の傷を気に出来る人間など滅多にいるわけもなく、苦悶の表情を浮かべ地面にへたりこみ喉を押さえる。声は絶叫をあげたそうに口を開けているが、喉を裂かれて声などまともに出るはずもない。
ナルトはいつの間にか右手ににぎりしめているクナイとともに、惑星屑の後ろから回り込んで前に歩み出る。
「苦しい?死にそう?助かりたい?」
どんどん血が足りなくなり青くなっていく惑星屑の顔面にクナイを突き付け、無表情無感情のナルトは冷淡に言葉を紡ぐ。だがわらにも縋るように惑星屑はなりふり構わず、首を縦に振る。呼吸の音すらヒューッ、ヒューッと笛が鳴るような音が出ていて痛々しい事この上ない。
「助かるなら預言を信じる事を止めてもいい?」
助ける為の条件の一つにその言葉は聞こえたのだろう、これまたためらいもなくすぐに首が振られた。
既に法衣は血にまみれ、床には水溜まりを思わせる程血溜まりが出来ている。もはや誰の目にも惑星屑の命は風前の灯だ。
「なら助ける理由はもう消えたってばよ」
・・・死刑宣告がはっきりと成された。ナルトの口から出たそれに惑星屑は絶望の色に変わる。
「預言の為に人を殺す事を決めたのに、自分に危険が迫ったらはっきりと預言を捨てる事をあっさり宣言した。そんな軽い気持ちで自分の意見を覆せる奴の言葉って信じられる訳がないってば。預言実現の為なら死ぬ事もいとわぬ!って貫いて言えるような奴だったなら今のように苦しませず殺してやったんだけどな」
どっちみちここで惑星屑を殺すのは決定項であった。もう少し預言にそれこそ身命を賭けて従う気質を見せていたなら、情けとして首をはねてそれで終わりにしていた。しかし我が身我が身と醜くあがく姿は何より見苦しく、ルーク達と兵士達への冒涜そのものであった。
「死ねと命じられた人の気持ち、少しはわかってから逝けばいいってばよ」
自らは死ねなどとは命じられてはいない、だが無知極まりない人間の横暴で笑われながら殺される人間の立場を思えば怒りを感じずにナルトはいられない。
ゆっくりクナイを苦しみの時間を長引かせるように上げるナルト、片手で喉を押さえながら迫り来る結末を予想し服を掴み助けてくれと惑星屑は必死に目で訴える。もはや傲慢な姿など微塵もない、そこには最低な人間の等身大の姿があった。全てを剥ぎ取った上で追い詰められ追い詰められ追い詰められ・・・最後の一つ、命すら奪われる。因果の末にそうなったのかを理解しているかどうかはもはやどうでもいい、ただ有りのままの恐怖を叩き込み骨の髄まで死を味わってくれればルークとナルトは満足であった。
・・・そしてゆっくり上げられていったクナイが高々と振り上げられ、頂点へと達する。
「後でおまえ達に向けて花を添えてやるよ、預言崩壊っていう花を世界にな」
ナルトの無表情から一転した楽しそうな声は惑星屑、そしてルークの耳に確かに響く。
・・・その声から一瞬の間を経る。
‘ボトッ’
いきなり、インゴベルトの足元に重い何かが現れた音が響く。それは何か?緊迫した雰囲気の中足元に注目すると、インゴベルトは途端に顔をこれ以上ないほどに引き攣らせた。
「ヒィッ!」
顔に負けない程怯えた声を上げるインゴベルト、しかし似たような表情を出すファブレ公爵と同行者達はインゴベルトの方へと向く事が出来なかった。
・・・何故なら、首の無くなった惑星屑の死体を同行者達は凝視していたからだ。もっとも首のみの姿を見せられているインゴベルトの驚きは比較にならないほど、凄まじかった。惑星屑の表情は全てを諦めきれず、まるで生きているかのように絶望の表情のまま止まっているのだから。
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底知れぬ程暗い声色、ナルトが制止を呼びかけるその声に全員が身震いをするがそれと同時に惑星屑にあまりにも壮絶な変化が起こった。
‘プシャァァァッ!’
「「「「!?」」」」
突然の場の雰囲気にそぐわぬ音を出す惑星屑の方を見て、全員が一斉に表情を真っ青に変える。
・・・惑星屑から出た異質な音、それは喉元から一文字に裂かれた傷から出る血飛沫だ。
「~~~~~~っ!!」
当然スッパリ裂けた喉元の傷を気に出来る人間など滅多にいるわけもなく、苦悶の表情を浮かべ地面にへたりこみ喉を押さえる。声は絶叫をあげたそうに口を開けているが、喉を裂かれて声などまともに出るはずもない。
ナルトはいつの間にか右手ににぎりしめているクナイとともに、惑星屑の後ろから回り込んで前に歩み出る。
「苦しい?死にそう?助かりたい?」
どんどん血が足りなくなり青くなっていく惑星屑の顔面にクナイを突き付け、無表情無感情のナルトは冷淡に言葉を紡ぐ。だがわらにも縋るように惑星屑はなりふり構わず、首を縦に振る。呼吸の音すらヒューッ、ヒューッと笛が鳴るような音が出ていて痛々しい事この上ない。
「助かるなら預言を信じる事を止めてもいい?」
助ける為の条件の一つにその言葉は聞こえたのだろう、これまたためらいもなくすぐに首が振られた。
既に法衣は血にまみれ、床には水溜まりを思わせる程血溜まりが出来ている。もはや誰の目にも惑星屑の命は風前の灯だ。
「なら助ける理由はもう消えたってばよ」
・・・死刑宣告がはっきりと成された。ナルトの口から出たそれに惑星屑は絶望の色に変わる。
「預言の為に人を殺す事を決めたのに、自分に危険が迫ったらはっきりと預言を捨てる事をあっさり宣言した。そんな軽い気持ちで自分の意見を覆せる奴の言葉って信じられる訳がないってば。預言実現の為なら死ぬ事もいとわぬ!って貫いて言えるような奴だったなら今のように苦しませず殺してやったんだけどな」
どっちみちここで惑星屑を殺すのは決定項であった。もう少し預言にそれこそ身命を賭けて従う気質を見せていたなら、情けとして首をはねてそれで終わりにしていた。しかし我が身我が身と醜くあがく姿は何より見苦しく、ルーク達と兵士達への冒涜そのものであった。
「死ねと命じられた人の気持ち、少しはわかってから逝けばいいってばよ」
自らは死ねなどとは命じられてはいない、だが無知極まりない人間の横暴で笑われながら殺される人間の立場を思えば怒りを感じずにナルトはいられない。
ゆっくりクナイを苦しみの時間を長引かせるように上げるナルト、片手で喉を押さえながら迫り来る結末を予想し服を掴み助けてくれと惑星屑は必死に目で訴える。もはや傲慢な姿など微塵もない、そこには最低な人間の等身大の姿があった。全てを剥ぎ取った上で追い詰められ追い詰められ追い詰められ・・・最後の一つ、命すら奪われる。因果の末にそうなったのかを理解しているかどうかはもはやどうでもいい、ただ有りのままの恐怖を叩き込み骨の髄まで死を味わってくれればルークとナルトは満足であった。
・・・そしてゆっくり上げられていったクナイが高々と振り上げられ、頂点へと達する。
「後でおまえ達に向けて花を添えてやるよ、預言崩壊っていう花を世界にな」
ナルトの無表情から一転した楽しそうな声は惑星屑、そしてルークの耳に確かに響く。
・・・その声から一瞬の間を経る。
‘ボトッ’
いきなり、インゴベルトの足元に重い何かが現れた音が響く。それは何か?緊迫した雰囲気の中足元に注目すると、インゴベルトは途端に顔をこれ以上ないほどに引き攣らせた。
「ヒィッ!」
顔に負けない程怯えた声を上げるインゴベルト、しかし似たような表情を出すファブレ公爵と同行者達はインゴベルトの方へと向く事が出来なかった。
・・・何故なら、首の無くなった惑星屑の死体を同行者達は凝視していたからだ。もっとも首のみの姿を見せられているインゴベルトの驚きは比較にならないほど、凄まじかった。惑星屑の表情は全てを諦めきれず、まるで生きているかのように絶望の表情のまま止まっているのだから。
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