焔と渦巻く忍法帖 第十八話

マルクトでの下ごしらえは済んで、テオルの森を抜け再び足になったタルタロスに全員乗り込み今度はキムラスカヘと向かう。






ブリッジにて影分身兵士がタルタロスを動かす中、ナルトは船内の一室で仮面を外したシンクと共にあぐらをかいて顔を見合わせていた。
「・・・成程、チャクラってのは身体エネルギーと精神エネルギーを組み合わせた物でそれを元にルーク達が使ったような忍術を使ってるんだね」
「そうそう、その通り」
真剣にチャクラの仕組みを理解するシンクに、ナルトは笑みを浮かべる。
今ナルトがシンクに行っているのは忍の成り立ちから忍術にいたるまでの講釈である。
「忍術の威力に関して言うなら重要な要素は二つ。長い時間の戦闘にも耐えられるようにスタミナを底上げすること。もう一つはチャクラをどれくらい忍術に込めるかの精密なコントロール。この二つは切っても切れない、重要な要素だってば」
口調こそいつものナルトそのものだが、講釈内容自体に落ち度はない。それも当然の事でナルトはルークの師匠を務めていた前歴がある。人を育てる事にもナルトはそつなく対応出来る。もちろんルークに関しても表の立場で中忍という位置にいるので、人に教える事は全然出来る。







ナルトがシンクに講師をしている中で、ルークはブリッジにて同行者達と対面していた。



「こっからキムラスカまではノンストップだかんな。適当に過ごしてろよ、着いたら呼んでやっから」
一人相対するなかでやる気なく声を出し、シッシッと追い払うように手を二回振る。しかしそんな動作にめげることなく、反感を込めた視線で修頭胸が見てくる。
「あなた・・・大佐の何をどう話したの・・・?何を話したのかわからないけど、あれは異常よ」
前半のやり取りを聞いていなかった修頭胸及びフェミ男スパッツ・猪思考姫が似たような視線を送ってくる。他に関しては思うところがありすぎ、会話についていける余裕がないのか視線を寄越さない。眼鏡狸にいたっても同様で、直にあの場にいた事で口すら出せず視線すら向けていない。
「ん?俺と会ってからの行動を逐一報告しただけだぜ。なぁ、大佐?」
「・・・はい、その通りです」
多少感情論が入ったがサフィールが話したのは今までの行動‘だけ’。本当にそれだけでマルクトには対応の仕方を問いただけ。事実しか話していない事を否定することは皇帝の勅命を受けた眼鏡狸には出来ず、か細くなった声で答える。
「大佐!ホントの事を言ってください!嘘の言葉で出された命令に従う事なんてありません!」
都合の悪い言葉にそれを信じないと眼鏡狸に食ってかかるように、声を張り上げる。しかしルークは看過出来ない発言が出て来た事で、目を細め一段低くなった声を出す。
「お前、国や所属は違っても一応はそこの大佐殿と同じ軍人だよな?」
「そ、そうよ・・・」
不穏な空気に一転したことで、がたっと修頭胸の勢いが削がれる。見かけ倒しとはまさにこのことだ。
「皇帝が判断して、臣下がそれを認めたんだ。同じ国の人間が言うのもはばかられるのに、なんで他国籍の人間のテメェが嘘だなんて言える」
「あ、あまりにも大佐の表情が優れなかったから・・・」
「そんな程度でか?見えたもんだけでよくそこまで言えるな。テメェにはどうあがいたって嘘だなんて覆せねぇよ、国の決定にな」
「え・・・?」
「聞くけど、お前は国の決定、ダアトが決定したことだとしたら自分の意見を言えばその決定は覆ると思うか?あの惑星屑が決定したことを覆すと思うか?」
「それは・・・」
脳裏に浮かんでいるのは間違いなく惑星屑だろう、自らを見捨てる事を迷いなくはっきり決めた上司を考えれば即答出来ないのは当然だろう。
「今の質問は大佐殿と置き換えればわかるだろうが、自分の仕える主から出された言葉は絶対なんだよ。確固たる意識を持って出されたのが謁見の間でのあの命で、それを受けてしまった以上それが真実なんだ。違うってはっきり否定しなかった死体漁り大佐に文句を言うならわかるけど、口を出される言われは俺には全くねぇ」
「・・・っ」
口を閉ざし反論の目が出なくなる修頭胸を見てルークは苛立ちながら頭をかく。身内びいきで身内を攻めねばならないと言われたら即座に戸惑いを見せる。事実として認めた事をルークに矛先を向けられても、理不尽としか言いようがない。そのあくまでもルークが悪いという姿勢を貫こうとする事に、不快感をルークは覚えずにはいられなかった。









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