焔と渦巻く忍法帖 第十七話
「おう、ジェイド!色々事情があるのは聞いたが、アクゼリュス住民の救出ご苦労だったな!」
「・・・いえ」
太陽のような一点の曇りのない笑みに、眼鏡狸は目を伏せつつ遠慮がちに声を出す。その様子にサフィールとパイロープとともに頭を下げたルークはピオニーという人物に対するイメージが一瞬である程度固着した。
(・・・この上司にしてこの部下ありか。けどまだ惑星屑よりはマシっぽいな、腹に一物抱えるタイプとは違うし)
この場に来ているのはもちろん眼鏡狸だけでなく、ルーク達三人も含まれている。それで国の主がざっくばらんに臣下に声をかけるその姿。いい意味で言えば親しみを持てる、だが悪い意味で言えば格式の高い場の雰囲気を自ら壊して自分の格を下げている。近くの臣下に当たる人間が何も言わない所を見ると、これは日常風景なのだろう。このような環境にいれば眼鏡狸のようなタイプは勘違いを起こす事は違いない、何せトップが格調をぶち壊している元凶なのだから。
だがトップとして惑星屑とは別の意味で愚昧な人物で取るに足らないかもしれない、とはそこまではまだルークは思っていない。少なくとも人を見る目がないというのは、眼鏡狸が住民救出を無事行えたと信じてるその笑顔で確信はしているが。
「とりあえずアクゼリュスの住民に関しての話は聞かせてもらった。親善大使であるルーク殿、顔を上げてもらってよろしいか?」
「はっ、御前を失礼します。陛下」
うやうやしく誰よりも謙虚に頭を上げるルーク。そこには先程の笑顔から真摯になった表情のピオニーの顔。
「マルクトを代表して礼を言わせてもらう。我が国の民を救っていただき、誠に感謝している」
そういうとピオニーは深々と腰を折って頭を下げる。瞬間、その姿にルークはピオニーという人物に対してのイメージが完璧に固着した。
(あぁ・・・よくも悪くもこのピオニーって人間は甘いな)
他国の次期王位継承者という地位にいるとはいえ、たかが現一貴族の人間に頭を下げるなど皇帝という立場の人間がやるべき行動ではない。例え謀略により殺されそうになった民を救ったとはいえ、そこまでの感謝を行動には普通表せない。上に立つ人間としては甘いと言われるだろうが、それを躊躇いなく行える事が上に立つ人間の魅力を醸し出す。
(結果、人は集まる。けど甘いだけじゃ人は成長しねーし、付け込まれる隙になんだよ・・・)
感じた印象としてルーク個人はピオニーという人物を嫌いではない、まとめる時にはまとめる事の出来る器量も感じれる。だが甘さは時として致命的な隙になる、そのことを三代目火影が亡くなった時に言葉で表せない程痛烈に思い知ったルークはピオニーの隙を消す事が必要だと考えた。
(・・・ま、マルクト側からすれば話を聞かなかった時点で自殺物確定だかんな。もし話を聞いて隙を消してくれても、その後は知ったこっちゃねーや)
もちろん総毛立つような事をして自らの側に付くようにさせる気ではいるが、甘い戯れ事だけを吐いて自分達を拒絶するようであればルーク達はマルクトを見放すだけ。仮に甘さを消して自分達についても、ダアトを潰した後に関して以降に口を出す気は更々ない。
(んじゃ行くぜ?賢帝)
マルクトの今の、そしてこれからの。手綱を握りきれるかどうかはこの皇帝次第。マルクトへの試金石とも言える、ルークの皇帝への危険な歩み寄りが始まった。
「顔を上げていただけないでしょうか、陛下?私達はアクゼリュスの人達を助ける為にマルクトに来たのも事実です。ですが先程兵士の方に伝えていただいた事、その事実を陛下に認識していただく為に私はカーティス大佐に謁見を願い出たのです」
皇帝が頭を下げている現状に、困惑した表情を作り早く話が出来るよう真剣な口調でピオニーに語りかける。それを受け、ピオニーは頭を上げる。
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「・・・いえ」
太陽のような一点の曇りのない笑みに、眼鏡狸は目を伏せつつ遠慮がちに声を出す。その様子にサフィールとパイロープとともに頭を下げたルークはピオニーという人物に対するイメージが一瞬である程度固着した。
(・・・この上司にしてこの部下ありか。けどまだ惑星屑よりはマシっぽいな、腹に一物抱えるタイプとは違うし)
この場に来ているのはもちろん眼鏡狸だけでなく、ルーク達三人も含まれている。それで国の主がざっくばらんに臣下に声をかけるその姿。いい意味で言えば親しみを持てる、だが悪い意味で言えば格式の高い場の雰囲気を自ら壊して自分の格を下げている。近くの臣下に当たる人間が何も言わない所を見ると、これは日常風景なのだろう。このような環境にいれば眼鏡狸のようなタイプは勘違いを起こす事は違いない、何せトップが格調をぶち壊している元凶なのだから。
だがトップとして惑星屑とは別の意味で愚昧な人物で取るに足らないかもしれない、とはそこまではまだルークは思っていない。少なくとも人を見る目がないというのは、眼鏡狸が住民救出を無事行えたと信じてるその笑顔で確信はしているが。
「とりあえずアクゼリュスの住民に関しての話は聞かせてもらった。親善大使であるルーク殿、顔を上げてもらってよろしいか?」
「はっ、御前を失礼します。陛下」
うやうやしく誰よりも謙虚に頭を上げるルーク。そこには先程の笑顔から真摯になった表情のピオニーの顔。
「マルクトを代表して礼を言わせてもらう。我が国の民を救っていただき、誠に感謝している」
そういうとピオニーは深々と腰を折って頭を下げる。瞬間、その姿にルークはピオニーという人物に対してのイメージが完璧に固着した。
(あぁ・・・よくも悪くもこのピオニーって人間は甘いな)
他国の次期王位継承者という地位にいるとはいえ、たかが現一貴族の人間に頭を下げるなど皇帝という立場の人間がやるべき行動ではない。例え謀略により殺されそうになった民を救ったとはいえ、そこまでの感謝を行動には普通表せない。上に立つ人間としては甘いと言われるだろうが、それを躊躇いなく行える事が上に立つ人間の魅力を醸し出す。
(結果、人は集まる。けど甘いだけじゃ人は成長しねーし、付け込まれる隙になんだよ・・・)
感じた印象としてルーク個人はピオニーという人物を嫌いではない、まとめる時にはまとめる事の出来る器量も感じれる。だが甘さは時として致命的な隙になる、そのことを三代目火影が亡くなった時に言葉で表せない程痛烈に思い知ったルークはピオニーの隙を消す事が必要だと考えた。
(・・・ま、マルクト側からすれば話を聞かなかった時点で自殺物確定だかんな。もし話を聞いて隙を消してくれても、その後は知ったこっちゃねーや)
もちろん総毛立つような事をして自らの側に付くようにさせる気ではいるが、甘い戯れ事だけを吐いて自分達を拒絶するようであればルーク達はマルクトを見放すだけ。仮に甘さを消して自分達についても、ダアトを潰した後に関して以降に口を出す気は更々ない。
(んじゃ行くぜ?賢帝)
マルクトの今の、そしてこれからの。手綱を握りきれるかどうかはこの皇帝次第。マルクトへの試金石とも言える、ルークの皇帝への危険な歩み寄りが始まった。
「顔を上げていただけないでしょうか、陛下?私達はアクゼリュスの人達を助ける為にマルクトに来たのも事実です。ですが先程兵士の方に伝えていただいた事、その事実を陛下に認識していただく為に私はカーティス大佐に謁見を願い出たのです」
皇帝が頭を下げている現状に、困惑した表情を作り早く話が出来るよう真剣な口調でピオニーに語りかける。それを受け、ピオニーは頭を上げる。
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