焔と渦巻く忍法帖 第十七話

テオルの森が見えた。その事実にサフィール・アリエッタの二人、未だ憔悴気味のイオンとコウモリ娘を心配するようになだめようとしている修頭胸の三人、そして黒いズボンに赤いシャツで上に一般のローレライ教団員が着るようなローブを前を開けて着崩した状態で着て来た煙デコもブリッジに現れた。

しかしアリエッタはやはりイオンが来るとどうしても拒否を態度で示し、イオンにけして視線を向けようとはしない。

そして中の着物に関して言うなら煙デコは自分で選んだが、上のローブに関して言えばルーク影分身が煙デコに着させた物だ。意図がわからない煙デコは不満だと露骨に表しはしたが、俺のルーク・フォン・ファブレ時代の服を着るかと言えば着りゃいいんだろうがと半ばキレかけた状態でそのローブを着る事を了承した。



全員多少ぎすぎすしてはいるが、ブリッジに集まった状況でテオルの森近くにタルタロスを停止させる。



「さぁ、テオルの森に着いたぜ。とりあえずここに駐在してるマルクト軍の人間に報告しに行くぞ。アクゼリュスに関してのな。この事に関して言えば行くべきなのはキムラスカ代表の親善大使になってる俺とそこのマルクト代表の皇帝名代眼鏡とアクゼリュスの代表者のパイロープさん、そして神託の盾からの事情説明にサフィールだけでいい。必要以上の人数は報告にはいらないから、しばらくナルト達はここで待っててくれ」
「わかったってばよ」
「んじゃサフィール、眼鏡。パイロープさん呼びに行った後、テオルの森に入るぞ」
「はい」
「・・・分かりました」
有無を言わせず同行者を選出していくルークの言葉に、ナルトも素直に頷く。そして選出されたサフィールは素直に頷き、眼鏡狸は間を空けて頷く。
「少しの間待っててくれ、話つけたら迎えよこすから」
そういうとルークはさっさと入口へと向かう。サフィールも眼鏡狸もその後を追い、三人はほんの数秒程でブリッジを後にする。
「ま、気楽に待てばいいってばよ。すぐに俺らは全員呼び出されるからな」
そう誰よりも気楽な声で全員に告げると同時に、壁に背を預けるように座り込むナルト。実際ナルトも付いていこうと思えばシンク達にちょっかいを出す可能性の高い修頭胸達への牽制で影分身を置けば問題なく忍んで付いていける。だが敢えてそうしないのは本番が残っているから、場を整える前座をルークに任せているだけ。まぁ実際はナルトとルークの二人で出るような幕でもないため、ナルトはゆっくり目をつむる事にしたのだ。










・・・そして場は変わり、テオルの森入口。パイロープを供に加えたルーク達は首都をよからぬ輩に蹂躙させぬようにと、身元確認の為の検問をしているマルクト兵士がいる場所へと到着した。



「止まれ!何者だ!」
「私はマルクト帝国軍第三師団師団長ジェイド・カーティス大佐です。陛下にアクゼリュスの件について、報告しなければならないことがあります。詳しくはこちらにおられるキムラスカの親善大使、ルーク・フォン・ファブレ殿がお話いたしますのでその内容を陛下に伝えていただきたい」
不審な団体の登場にマルクト兵士が声をあげてルーク達に制止を命ずる。その声に眼鏡狸は自らの所属を明らかにすると、ルークに話を振る。これは余計な事を言わないようにするためすぐさま自分へ話題をやれとのルークからの言葉だからだ。
「カ、カーティス大佐!?そしてこちらのお方がキムラスカの・・・!はっ、はい!ルーク様のお言葉、確かに陛下にお届けいたします!どうぞ、お話ください!」
眼鏡狸を見て、ルークを見る視線には驚きと敬意が折混ざっている。更に礼節も弁えている事から重要地位にいる人間に対しての接触経験が少ないのだろう。そんな不慣れな兵士の対応でも、ルークは隣の眼鏡狸よりも好感を持ってしまう。なにしろ敬意という言葉が礼節にこもってない、慇懃無礼という言葉を体言しているのがこの眼鏡なのだから。
「はい、それではお話させていただきます」
とはいえ今は好感を見せる気はない。ルークは忠実に任を果たそうとするこの兵士に、真面目な口調と顔になり脅迫紛いな話を始める事にした。








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