焔と渦巻く忍法帖 第十七話
・・・それから一日程も過ぎた頃、ブリッジに自由にしていたメンバーが戻って来た。まず筆頭はルーク。続いて前日の怒りはどこへやら、至って普通の顔をしたナルト。そしてやたら身内意識が強い自称正論者共がイオンとコウモリ娘、それと修頭胸を除いて入室してきた。
しかしナルトの後ろ姿を見た瞬間反射行動で、全員が体をビクッと反応させてしまう。
「あぁ、怯えなくていいってばよ。少しはいらつきも納まったから、変な事しなけりゃなんもしないし」
その反応に後ろを振り向かずナルトは見たように正確に、釘を刺す。釘を刺された一同はより恐怖に陥りそうになるが、代わりにルークの声が届く。
「残りの三人どうした?なんでここに来てねぇんだ?」
「・・・ティアはイオン様とアニスの様子を見ています。まだ相当衝撃が強く、二人が立ち直れていませんのでティアは付き添いです」
「あっそっ」
理由を聞けばそれでいいのか、眼鏡狸の返答を聞いて関心を寄せず一言で終わらせる。
「それよっかこれからテオルの森を抜けたらグランコクマだぞ。そこのルーク様、適当な服くれてやっからその神託の盾の服を脱いでこい。これからは必要ねーんだから、そんな服を着るようなことはな」
「・・・んだと?」
「それがあると、めんどくせーんだよ。ファブレの名前を冠する為の社会復帰の場がマルクトのグランコクマなんだからな」
「・・・?」
ふと向けられた服装を変えてこいというルークの意味深な言葉に、煙デコは意味が分からないとルークに対してのやたらでかい声の反論も出てこない。
「いーから着替えて来い。今はれっきとした『ルーク・フォン・ファブレ様』なんだから、神託の盾の服はいらねーだろうが。なんならここで一糸纏わぬ姿に変えてやってもいいぞ?」
「えっ・・・!?」
何を勘違いしてるのやら、その光景を想像してか手を口に当てて頬を赤く染める猪思考姫。
「・・・チッ!着替えてくりゃいいんだろうが!」
何やら二つの意味で恥をかきかねない様子を想像したのか、猪思考姫を見ると着替えて来てやると言わんばかりに荒く声を上げブリッジから出ようと身を翻す。
「衣装部屋は適当な影分身に案内させてやるよ」
そういうとルークは影分身の兵士を印を組んで出し、煙デコの隣につけさせる。明らかに不満そうな舌打ちが煙デコから届くが、至って気にした様子を影分身は見せずにブリッジから一緒に出て行った。
「・・・貴方は何を考えているのですか?」
「ん?言葉通りだぜ?ルーク・フォン・ファブレ様に戻っていただく為だよ。それとま、有り体に言えば交渉材料の一つだよ」
眼鏡狸の慎重な言葉に何と言う事もなく、平然と返すルークだが交渉材料と言いながらも転がしていた老け髭に近寄っていく。
「その為にもコイツの配下だったなんてばれたら力押ししかなくなるからなぁ・・・」
膝を屈め老け髭の顔を見下す横顔は不敵な笑み。
「仕えてる国を灰にしたくなかったら元々アッシュやってました、なんて言うなよ?」
下から見上げるその視線の先にいる眼鏡狸達は何も言う事が出来ない。いや、言えるはずがない。煙デコが晴れて『ルーク・フォン・ファブレ』に戻れるというのに、反発など誰がしようか。
だが一つ懸念が残るのが交渉材料という点。何を交渉するというのか、それが不安な点であるのが一同が素直に頷く事が出来ない一因だった。
「ルーク、テオルの森が見えたよ」
そんなしこりが残っている一同とルーク達の中に、シンクがブリッジに報告に来る。
「そっか、なら気を引き締めっか」
朗らかな笑みに変わったルークに緊張感など一切ない。だがその笑みこそがいっそ恐ろしいものだと、未だ気付く事に辿り着けない一同はその顔に安心して緊迫感を消し去っていた。
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しかしナルトの後ろ姿を見た瞬間反射行動で、全員が体をビクッと反応させてしまう。
「あぁ、怯えなくていいってばよ。少しはいらつきも納まったから、変な事しなけりゃなんもしないし」
その反応に後ろを振り向かずナルトは見たように正確に、釘を刺す。釘を刺された一同はより恐怖に陥りそうになるが、代わりにルークの声が届く。
「残りの三人どうした?なんでここに来てねぇんだ?」
「・・・ティアはイオン様とアニスの様子を見ています。まだ相当衝撃が強く、二人が立ち直れていませんのでティアは付き添いです」
「あっそっ」
理由を聞けばそれでいいのか、眼鏡狸の返答を聞いて関心を寄せず一言で終わらせる。
「それよっかこれからテオルの森を抜けたらグランコクマだぞ。そこのルーク様、適当な服くれてやっからその神託の盾の服を脱いでこい。これからは必要ねーんだから、そんな服を着るようなことはな」
「・・・んだと?」
「それがあると、めんどくせーんだよ。ファブレの名前を冠する為の社会復帰の場がマルクトのグランコクマなんだからな」
「・・・?」
ふと向けられた服装を変えてこいというルークの意味深な言葉に、煙デコは意味が分からないとルークに対してのやたらでかい声の反論も出てこない。
「いーから着替えて来い。今はれっきとした『ルーク・フォン・ファブレ様』なんだから、神託の盾の服はいらねーだろうが。なんならここで一糸纏わぬ姿に変えてやってもいいぞ?」
「えっ・・・!?」
何を勘違いしてるのやら、その光景を想像してか手を口に当てて頬を赤く染める猪思考姫。
「・・・チッ!着替えてくりゃいいんだろうが!」
何やら二つの意味で恥をかきかねない様子を想像したのか、猪思考姫を見ると着替えて来てやると言わんばかりに荒く声を上げブリッジから出ようと身を翻す。
「衣装部屋は適当な影分身に案内させてやるよ」
そういうとルークは影分身の兵士を印を組んで出し、煙デコの隣につけさせる。明らかに不満そうな舌打ちが煙デコから届くが、至って気にした様子を影分身は見せずにブリッジから一緒に出て行った。
「・・・貴方は何を考えているのですか?」
「ん?言葉通りだぜ?ルーク・フォン・ファブレ様に戻っていただく為だよ。それとま、有り体に言えば交渉材料の一つだよ」
眼鏡狸の慎重な言葉に何と言う事もなく、平然と返すルークだが交渉材料と言いながらも転がしていた老け髭に近寄っていく。
「その為にもコイツの配下だったなんてばれたら力押ししかなくなるからなぁ・・・」
膝を屈め老け髭の顔を見下す横顔は不敵な笑み。
「仕えてる国を灰にしたくなかったら元々アッシュやってました、なんて言うなよ?」
下から見上げるその視線の先にいる眼鏡狸達は何も言う事が出来ない。いや、言えるはずがない。煙デコが晴れて『ルーク・フォン・ファブレ』に戻れるというのに、反発など誰がしようか。
だが一つ懸念が残るのが交渉材料という点。何を交渉するというのか、それが不安な点であるのが一同が素直に頷く事が出来ない一因だった。
「ルーク、テオルの森が見えたよ」
そんなしこりが残っている一同とルーク達の中に、シンクがブリッジに報告に来る。
「そっか、なら気を引き締めっか」
朗らかな笑みに変わったルークに緊張感など一切ない。だがその笑みこそがいっそ恐ろしいものだと、未だ気付く事に辿り着けない一同はその顔に安心して緊迫感を消し去っていた。
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