焔と渦巻く忍法帖 第十七話

紆余曲折、本当に色々問題が起こったダアト。最後はナルトが全てをぶっちぎって行動を起こそうとしたが、一応・・・一応何も起こらず一同はルークとアリエッタを残してタルタロスへとまた一日半程して戻って来た。









「んじゃ俺は寝るから、適当にしてろってばよ」
ブリッジにたどり着き身代わりの影分身とここまでの道程で全員担いで運んで来た影分身が消えると同時にナルトはさっさと後ろを振り返り、ひらひらと肩辺りで手を振りながらブリッジから退室しようとする。
「ナルト・・・あんた、いつから寝てないのさ?」
シンクが足元が全くおぼついていないナルトを見て、興味本位で問う。全然眠そうに見えないのが不思議なくらいノンストップでダアトから駆けて行った体力に、疑問が起きたが故だ。
「四日程ってとこだってば。まだ動けるけど寝ないと流石にいらついてくる度合いが強くなるから、くだらない事で起こすなよ?」
振り返り笑顔なその顔がやたらに血の臭いがないのに漂ってくる、そんな気配をつんと感じ取らされたシンクとサフィール以外が息を呑む。
「じゃあお休み」
興味も失せたのか今度は就寝の挨拶の言葉をシンク達だけに送り、ナルトは扉から姿を消していく。
・・・数秒程だけだが沈黙が室内に蔓延する。その空気を打ち破ったのは、シンクとサフィールの会話。
「すごいもんだね、僕もナルトやルークみたいになれるかな?」
「やってやれない事はないかもしれませんが、あの二人の境地まで行くのは並大抵の事ではないでしょうね。なにしろ最強とまで呼ばれているようですから」
「・・・ま、それくらいがちょうどいいね。そんなんじゃなきゃ目標にならないし」
ふっと軽く口元に笑みを浮かべ、楽しみだと内心でうずうずしているだろうシンク。しかしそんな顔を見て、フェミ男スパッツが不満げに口を出す。
「・・・お前らはナルト達の事をどこまで知っているんだ・・・?」
口調には言えと、強制を含ませた殺気が折り混ざっている。察するにシンク達なら口を割らせる事も出来ると、脅しをかけて来てるのだろう。だが優位はシンク達にあり。
「むやみにいなくなったからって踏ん反り返るのは止めなよ、ナルトなら気配の濃淡も分かるから争いの気配になったら即座にここに来るよ?」
「うっ・・・」
一瞬で弱気になるその姿に、尚更呆れがこもる。
「随分弱いね、あんた。聞きたい事があるなら面と向かって頭を下げたらどうだい?何優位に立とうとしてんのさ、聞かせてもらう立場の人間が」
勘違いも甚だしいと、吐き捨てるシンクの言葉に歯を噛み悔しそうにするフェミ男スパッツ。
「ま、僕は殊勝な態度で聞かれても答える気はないけどね。だって言う必要ないし」
仕方無しに頭を下げ教えてくれ、そういう雰囲気になっていたフェミ男スパッツをまたも切り捨てる。
「聞きたいなら二人のどっちかに直接聞けば?」



「呼んだか?」
「えっ?」
声が聞こえて来た方向に全員が視線を向ける。すると扉の前にはアリエッタを背負ったルークがいた。
「着いたぞ、アリエッタ」
「ん、ううん・・・」
肩に頭をかけていたアリエッタは寝ていたのだろう、声がかかった事で眠たそうに目をこすりながらんしょっとルークの背から下りる。しぱしぱと目を瞬かせるアリエッタは意識が完全に覚醒するまで待ち、ルークはシンクに質問する。
「二人のどっちかに、って何の話してたんだ?」
「あぁ実はね・・・」
流石に今来たばかりのルークに事情は把握出来る筈もないと、シンクは説明を始めた。








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