焔と渦巻く忍法帖 第十六話

「アリエッタ、覚悟を決めたのなら俺とコイツの関係を説明する。後片付けはナルトに任せるから一緒に来るんだ」
煙デコを指差し、アリエッタの背を優しくさするルーク。
「はい、わかりました・・・」
首を縦に振り、ルークの言葉に返答するとアリエッタはルークとともに部屋を後にしていく。怒りを燈した瞳が変わらないままに。



「・・・さ、二人が出て行った事だしイオン以外のお前らに聞く事があるってばよ」
扉も閉まり気配が遠ざかったところで、ナルトは口を開く。それと同時に修頭胸は苦痛に歪んでいた顔色をハッとさせ、何もなかったように立ち上がる。
「お前らはイオンがレプリカだって知った。それでそれを知って尚、イオンを導師として祭り上げ続ける気はあるかってば?」
「・・・それは、どういう意味なのでしょうか?」
質問の意図が全く見えない事に眼鏡狸が浅知恵を利かせ、逆鱗に触れないようにと慎重に質問してくる。
「質問に質問で返すな。テメェの考えを聞かせりゃいいだけの事なんだってばよ・・・」
だが逆鱗はその浅知恵にある、意図を先に手繰り寄せ意に沿った答えを出そうとする声などナルトからすれば大層な侮辱行為だ。
「・・・・・・私としてはイオン様さえよろしければ導師を続けられてもよろしいかと思います」
冷や汗、いや脂汗か。頬を伝う一筋の汗は確かにはっきりと見える。それだけ今の言葉に脅威を覚え、自分の考えを出す事を優先したのだろう。
「成程、それじゃその他大勢も一緒の意見かってば?」
ナルトが視線を一同にやる。答えだけを求めているいらつきに満ちた視線に、慌てて頭を振るのが女達。煙デコとフェミ男スパッツは戸惑いながらも、首をコクコクッと二度縦に振る。
「・・・それでいいんだってばよ。イオン、お前も導師の位置から離れる気はないんだってばよね?」
「は、はい・・・でも、シンクはどうするんですか・・・?」
導師の役割を自分が担っている事を負い目に思っているのか、イオンはシンクに話を振る。
「別に。僕は導師イオンなんかに今更なりたくないよ」
即答で興味がないと、シンクは一蹴。あっさりとしすぎたその答えに、イオンは痛ましい顔が全く別のキョトンとした顔になる。
「それにさ・・・今からゴタゴタするダアトの尻拭いなんて面倒な事、やりたくないのさ」
「・・・え?それってどういう事ですか・・・?」
だが面倒な事と聞き、イオンの顔が眉間にシワを寄せた疑問顔に変わる。
「分かんないかってば。イオンって立場はこれからのダアトに必要なんだってばよ?なにしろ預言を実現させようとしてる、言わばダアトの基本行動観念を元にした惑星屑を止めるんだから、その後の指導者に導師が必要なんだってば。だからお前は混乱したダアトを牽引するんだよ。導師を続けるなら預言を歪ませた責任、取らないといけないって知っとくべきだってばよ」
「そんな・・・!僕は預言を歪める気なんて・・・!」
「戦争を止めたいなんて預言に外れた事を口にしてる時点で預言を歪めようとしてるんだってのが事実だ。そしてそれが無事なった場合、責任が発生するんだってば。ダアトを導かなきゃいけないってな。それに預言歪めるだけ歪めて、戦争止めるだけ止めてはい終わり、なんて出来ないのは分かるだろ?」
「それは・・・そうですけど・・・」
「それに今更止めたいとか言っておいて、預言がどうとかいう綺麗言は無しだってばよ。だって俺達は預言覆そうとしてるんだから、責任から逃れようなんていうなら」



「手っ取り早くダアト揺るがす為にお前のレプリカの事実、そこのコウモリの惑星屑にやってたスパイ行動全部世界中に暴露するってば」








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