焔と渦巻く忍法帖 第十六話

「何を勘違いしてるのさ、あんたら。感情論で身内が救える訳なんてないんだよ?実際僕らがナルトとルークに協力してるのも、互いの利害が一致してるからなのにさ」
「・・・利害だと?シンク、テメェどういう事だ・・・?」
煙デコがシンクの言葉に食ってかかりそうにうっすら一歩前進する。じりと迫った無駄な脅迫にシンクはさして気にするでもなく、平然と続ける。
「言葉の通りさ、僕らは二人に取引を持ち掛けられた。僕らは二人に協力するかわりに、二人は身の保証を確約したんだ・・・けどそれ以上に、僕は二人に惹かれた。どう見たってお前らなんかにない考え方にね。まぁサフィールはちょっと僕とは違うけどね」
「私の場合は恩義、といったところでしょうね。二人には過ちを認識させていただけるきっかけをいただきましたから、是非それをお返ししたい。それに神託の盾に居続ける気持ちも消え去っていますから、後を綺麗に片付ける意味でも彼らには協力しています」
「分かるかい?僕らは互いの分を知って、自らの行動を振り返った。それは外ならない二人への協力の為だ。それなのにあんたらはなんだい?迂闊極まりない発言を繰り返して、下手すりゃ味方になるはずの人物の逆鱗に触れるような事を言う・・・ありえないね、それ。今からやろうとしてる事は薄氷の上を歩くような慎重さが必要になるんだよ?自分の一挙一動が即死の状況招くかもしれないのに、なんで自分の行動振り返れないの?」
「しゅっ、朱炎達は俺達の言う事に従えば命は保証するって言ったぞ!?なぁ、ナルト!?」
今までのルーク達を見て勝手に守り切ってくれると勘違いしてるのか、フェミ男スパッツがナルトの顔を鬼気迫る表情で勢いよく振り返る。だがその声に答えたのはナルトではなく、心底呆れた溜息を吐いたシンクだ。
「・・・はぁ、それはあんたらが二人の意に沿った行動と思考をすればの話だ。実際ナルト達がこうやってあんたらに説教紛いの話をしてんのは、釘を刺すためだよ。これ言ってその後でまだ戯れ事言うようなら、即刻見捨てるっていう言葉ない宣告さ」
「「「「!?」」」」
予想だにしていなかったのか驚きにくれる一同、シンクはナルトに視線を向ければ満足げな笑みがそこにある。
「だよね、ナルト?」
「そうだってばよ。いいね、シンク。よく理解してくれてるってば、俺らの事を」
まさか、そんな表情で呆然としたものが一同にナルトの言葉で変わる。だが裏切りを思ってるのか怒りまで混ざっていて、シンクはその表情を怯えに変えさせるべくナルトから視線を中央に移す。
「もし誰か重要人物を説き伏せる時にあんたらの中の誰かが失言、さっきのような事を言ったらまず許される事はない。そんな中で捕縛だって大勢から囲まれるって状況になったら、二人は遠慮なくキムラスカ・ダアトの預言支持者と一緒にあんたらを殺してしまうよ」
「「「「!?」」」」
「あんたらは思い違いしてる。ルークとナルトはあくまで正攻法に近い表向きの罪を元に惑星屑達を蹴散らそうとしている、だがそれはあくまでも二人からすれば老け髭へのルークからの当て付けであってそれを絶対としているわけじゃない。あんたらは当て付けの材料に選ばれ、同時に奴隷以下の隷属者として二人は見ている・・・そんな手段に対して頓着していない二人が天地が崩壊しても好意を持てない人物からの謀反に等しい計画の瓦解を招く言葉が出て来たら、二人が取る行動は一瞬で滅殺」
「だってばよ。言ったよね、言う事聞けば命は助けてやるって。けどそこから外れるような行動を取ったら、俺はその時点でお前ら全員まとめて殺すってば。ルークは俺の行動を止めるはずもないから、生きたいなら意を汲む事だってばよ~?あぁ、シンクとサフィールは別だってばよ、俺らから見ても分を弁えてるしね」
明かされた本心にナルトの声が更に真実味を加速させる。抑揚のついた楽しげな声は悪い意味で真面目に捉えれる。そのシンクから受け取ったバトンが確実に怯えに変えられた事に、ナルト自身は喜んではいない。ナルトは何故なら別の事に意識を傾けていたのだから・・・






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