焔と渦巻く忍法帖 第十六話
「・・・こんなもんかな、必要なのは」
こざっぱりした一つの本棚と机が置かれた簡易な部屋の中、シンクは机の引き出しから何やら書類を抜き取ると小脇に抱えている別の紙とともに一まとめにする。
「後はルーク達が来るのを待てばいいか」
やることはやり終えたので、戻ろうかとシンクは一人呟きながら入口の扉へと向かう。
‘バタンッ!’
「「シンク~!!」」
「えっ!?」
その矢先にその扉が勢いよく開かれ、自分の名を呼ぶ二つの影にシンクは驚きを隠せず声をあげる。その影達は扉を開けた勢いのままシンクに抱き着く。
「久しぶりだなぁ、おい!」
「元気だったってば?」
「・・・ルーク・・・ナルト・・・」
右側をナルト、左側にルークが抱き着く。ナルトは腰元に、ルークは首に両手を回し抱き寄せるように二人とも動きの早さとは正反対に優しく柔く。だが動きの早さにその姿を見れていなかったシンクはようやく抱き着かれた落ち着いた状態に、二人だと認識することが出来て呆然とする。
「・・・予想以上に早かったね、二人とも」
「まーな、急いでこっちに来たしな」
「それにシンク達にも早く会いたかったから急いでこっちに来たってばよ」
「・・・だからってなんで僕がこんな状態になってるのさ」
「いいじゃん。こうしてぇんだし」
抱き着いている状態から頭をすりすり肩にルークがつけ、ナルトはシンクの頭をなでなでしている。言葉面は不遜、だが否定する声はシンクからは出ない。
「・・・早めに済ませてよ」
昔のルーク達に会うまでのシンクなら確実に嫌悪感を持って返しただろう。だがシンクはこの状態を悪いとは思っていない。寧ろ上位に立ちたがる子供の精一杯の与えてあげてるという、立場をよく見せたい強がりが早くという言葉にこもっている。
「・・・ホントに抱き着いていたんですね、二人とも」
「うわっ!・・・サ、サフィール!あんたまでなんでここに来てるのさ!?」
するとその虚勢はサフィールが遅れて来た事で、すぐさま剥がれ落ちる。仕方なさげだったルーク達への態度がサフィールが来た途端、ビクッと体を震わせ間を空けると慌ててその存在への指摘をする。仮面がかかっていない頬辺りはうっすら赤い、気位が高いシンクはそういった場面を見られる事は嫌なのだろう。
「私は先にルーク達と会っていたんです。それでシンクに会いに上に上がって来たらルーク達が私より先にこの部屋に直行して、遅れてここに来たんですよ」
だが返って来たサフィールの真っ当過ぎる事実に、シンクは舌打ちすることしか出来ない。前なら「な、なんですか!?私に文句を言われる筋合いはありませんよ!?」「うるさいよ死神」「キィィィ!」というやり取りで、サフィールを見下す事で多少はシンクの気持ちも持ち直していた。だが今のサフィールに戦闘ではともかく、理詰めで勝てる気はシンクにはなくなっていた。コーラル城でルーク達と別れてからのサフィールの態度の変化は、それは正に別人だった。理由はルーク達との交流であることはわかるが、正直からかいようが無くなっていた。精神的な優位は落ち着きを身につけたサフィールにその時から軍配が上がっていた。
現にサフィールに口を出せずにシンクはルーク達に話題を向ける。
「離れなよ、あんたら・・・」
「んー、まぁいいか。話する状態になった事だし」
「え?」
居心地の悪いサフィールの視線に言葉を向けるシンクに、自分に向けられていないかのようなルークの言葉と一緒に二人はシンクから離れる。その声にサフィールの方を向いて言ってると思ったシンクは入口の方を見る。するとそこに見えたのはシンクも嫌ってやまない面々が部屋に入って来るものだった。
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こざっぱりした一つの本棚と机が置かれた簡易な部屋の中、シンクは机の引き出しから何やら書類を抜き取ると小脇に抱えている別の紙とともに一まとめにする。
「後はルーク達が来るのを待てばいいか」
やることはやり終えたので、戻ろうかとシンクは一人呟きながら入口の扉へと向かう。
‘バタンッ!’
「「シンク~!!」」
「えっ!?」
その矢先にその扉が勢いよく開かれ、自分の名を呼ぶ二つの影にシンクは驚きを隠せず声をあげる。その影達は扉を開けた勢いのままシンクに抱き着く。
「久しぶりだなぁ、おい!」
「元気だったってば?」
「・・・ルーク・・・ナルト・・・」
右側をナルト、左側にルークが抱き着く。ナルトは腰元に、ルークは首に両手を回し抱き寄せるように二人とも動きの早さとは正反対に優しく柔く。だが動きの早さにその姿を見れていなかったシンクはようやく抱き着かれた落ち着いた状態に、二人だと認識することが出来て呆然とする。
「・・・予想以上に早かったね、二人とも」
「まーな、急いでこっちに来たしな」
「それにシンク達にも早く会いたかったから急いでこっちに来たってばよ」
「・・・だからってなんで僕がこんな状態になってるのさ」
「いいじゃん。こうしてぇんだし」
抱き着いている状態から頭をすりすり肩にルークがつけ、ナルトはシンクの頭をなでなでしている。言葉面は不遜、だが否定する声はシンクからは出ない。
「・・・早めに済ませてよ」
昔のルーク達に会うまでのシンクなら確実に嫌悪感を持って返しただろう。だがシンクはこの状態を悪いとは思っていない。寧ろ上位に立ちたがる子供の精一杯の与えてあげてるという、立場をよく見せたい強がりが早くという言葉にこもっている。
「・・・ホントに抱き着いていたんですね、二人とも」
「うわっ!・・・サ、サフィール!あんたまでなんでここに来てるのさ!?」
するとその虚勢はサフィールが遅れて来た事で、すぐさま剥がれ落ちる。仕方なさげだったルーク達への態度がサフィールが来た途端、ビクッと体を震わせ間を空けると慌ててその存在への指摘をする。仮面がかかっていない頬辺りはうっすら赤い、気位が高いシンクはそういった場面を見られる事は嫌なのだろう。
「私は先にルーク達と会っていたんです。それでシンクに会いに上に上がって来たらルーク達が私より先にこの部屋に直行して、遅れてここに来たんですよ」
だが返って来たサフィールの真っ当過ぎる事実に、シンクは舌打ちすることしか出来ない。前なら「な、なんですか!?私に文句を言われる筋合いはありませんよ!?」「うるさいよ死神」「キィィィ!」というやり取りで、サフィールを見下す事で多少はシンクの気持ちも持ち直していた。だが今のサフィールに戦闘ではともかく、理詰めで勝てる気はシンクにはなくなっていた。コーラル城でルーク達と別れてからのサフィールの態度の変化は、それは正に別人だった。理由はルーク達との交流であることはわかるが、正直からかいようが無くなっていた。精神的な優位は落ち着きを身につけたサフィールにその時から軍配が上がっていた。
現にサフィールに口を出せずにシンクはルーク達に話題を向ける。
「離れなよ、あんたら・・・」
「んー、まぁいいか。話する状態になった事だし」
「え?」
居心地の悪いサフィールの視線に言葉を向けるシンクに、自分に向けられていないかのようなルークの言葉と一緒に二人はシンクから離れる。その声にサフィールの方を向いて言ってると思ったシンクは入口の方を見る。するとそこに見えたのはシンクも嫌ってやまない面々が部屋に入って来るものだった。
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