焔と渦巻く忍法帖 第十六話

「反論は無いようですね・・・ま、納得してくれたならそれで構いません。それよりもルークにナルト、何故ジェイド達もいるんですか?」
「あぁ、知ってもらいたいことがあってな」
「とっっっても重要な事なんだってば。だから・・・ねぇ?」
サフィールが改めて眼鏡狸達の有無に対しての質問をする。だが返された曖昧な話し口の言い方に、サフィールはピンと何かに気付き眉をあげる。そのルーク達の顔が満面過ぎる程の笑みに、そぐわぬ狂喜に満ちた細められた瞳が後ろに見えないように向けられた物をサフィールは見たのだから。
「そうですか。ならこれからどうするんですか?」
サフィールもあえて何も言わずに先を促すようにルーク達に聞く。後ろにいる面々にとってはろくでもない事には違いないし、先に二人の楽しみを削いで不興をわざわざ買うような事はサフィールはしない。
「とりあえず先にシンクに会いに行こうって思ってんだけど、あいつ自分の部屋にいんのか?」
「上にいるんだってばね?シンク」
何故居場所が分かる。そう言いたげな後ろの面々だが、サフィールはなんとも言いきれない表情になる。
「・・・タイミングがいいのか悪いのか、奇しくもシンクは大詠師の部屋に忍び込んでますよ」
「・・・え?」
その言葉にコウモリ娘の声を始めにして、眼鏡狸達もなんとも言えない驚きの表情になる。しかしサフィールは構わず話をルーク達に続ける。
「どうするんですか?段階としてはあなたたちがやりたいところじゃないんですか?」
手間隙かける事に全力を尽くすルーク達はどう思うのか?サフィールが探り探りながらも質問すると、サフィールの目に他意など見えない擬音でいうならニンマリと言った笑みがゆっくりジンワリ二人から見えてきた。
「かわいい所があんなぁ、ナルトォ」
「いじらしいってばよ。何も頼んでないのに、自分から俺達の為に行動してくれるなんて」
「・・・やべぇ、シンクすっげえ構い倒してぇ」
「もみくちゃにするほどいい子いい子するってば」
迷惑とは思っていない、むしろ自立心の芽生えた子供を可愛がりたがる親兄弟のような喜色満面な表情になっている。サフィールは二人の様子にふぅと安堵の息を吐くが、逆に後ろは信じられないと言った瞳でルーク達に集中している。
「よっし、サフィール!今すぐ行くぞ!シンクを腕の中に一刻も早く納めてぇ!」
「・・・誤解を招くような言い方は・・・いえ、間違いではないからいいですね」
「そうそう、細かい事は気にしない。事実なんだからいいんだってばよ」
少しというよりかなりの暴走を見せるルークを前に、サフィールは制止を思い止まる。善くも悪くも言葉に裏がない。これは止めなければいけない道理がない。ナルトの言う通り気にしない事にするサフィールはひざ元に置いた本を元の場所に入れ直す。
「さぁ行くぞ!」
目的が何かシンクに会う事にすり替わっているような響きになりつつ、ルークとナルトは浮遊椅子で先導するべく前を飛んで行くサフィールの後をついていきながら揚々とした声をかける。その声にぞろぞろルーク達の後ろを面々がついていくが、コウモリ娘の足どりは重くイオンにすら遅れるように最後尾をよたよた歩いていく。護衛のはずの人間が頭を下げ、対象人物から離れるとは何事なのかと地元ダアトにいると言っても全然問題ない行動だ。だがそれもある意味ではらしいと言えばらしいし、その重い雰囲気も前を向きながらも気付いているルークとナルトは暗くなるその理由は理解している。



だからこそ二人は笑みがこぼれるのを抑える事なく、シンクがいるであろう上に視線と意識を向け続けた。





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