焔と渦巻く忍法帖 第十五話
「・・・さて、着替えも改めた自己紹介も済んだ事だし行こうか」
やたら絶望感がひしめくブリッジの中、ルークが場の雰囲気を考える気もなく出発を言い渡す。
「そうだってばね。一先ずこっちは影分身に任せてダアトに行こうってばよ」
「・・・ダアト?マルクトではないのですか、行き先は」
ナルトもその出発先にダアトだと同意するが、眼鏡狸が疑問の声をあげる。
「それは後だよ。マルクトにはタルタロスだけ先に向かわせる。中にいる兵士の人やアクゼリュスの住民の人達には俺達が作った影分身に身代わりを勤めてもらって、俺達とマルクトに向かっているって錯覚しておいてもらうけどな」
説明はする気もなく、ルークとナルトは各々印を組み出す。そして白い煙が突然に目の前に現れ、いぶかしむ面々が目にしたのは煙が晴れた後の自らに瓜二つの存在達。それらを前に全員が驚きながらも一歩後ずさる。
「さ、さっさとダアトに行くってばよ」
「ちょっ、ちょっと待ってください。なんでダアトに行くんですか?今までのル・・・朱炎達の言い方からすると、必要が無いように思うんですが・・・」
その強引な流れにイオンが困り顔でルークと呼びそうな所をきちんと朱炎と言い換え、割り込んでくる。だが忍術の事は説明する気はないが流石に必要な事もあって、ルーク達はその顔を歪め笑う。
「必要じゃねー事を俺らがやると思うか?」
「ダアトには迎えに行かなきゃいけない人達がいるんだってばよ。それと・・・証明しなきゃいけない事も取りにね」
意味深な喋り口にイオンも他の面々も顔を聞きたそうに変えようとしたが、途端にナルトの口に舌が現れる。様子を見ればすぐに総毛が立つ物。それはいわゆる舌なめずりだ。
「ビビってんじゃねーよ。殺しゃしねーんだから。なぁ、ナルト?」
「そうだってばよ?何ビビってるんだってば」
口調は殺気も敵意もなくただ普通に喋っているだけ。だが仕草一つ見るだけで警戒心を強める程に、ナルトの目も語っていた。ただで済む訳がない、逃がすつもりもないと舌なめずりの一瞬だけで分からせるくらいに。
「さぁ、行こうぜ?・・・ダアトに」
そのルークの一言と同時に、影分身の兵士達が一斉にその場に現れ否応なしに全員の腰を掴み脇に抱え込む形に持っていく。
「頭から落ちて死にたくなけりゃ暴れんなよ、助ける気は全くないからな命を粗末にする奴を」
この言葉の意味に首を傾げる一同であるが、一瞬でその意味を全員が理解することになる。
ルーク達が目の前から消えた瞬間、自らが見てる景色も今までにないほどに速く流れている景色が進行形で見えている。その事実を理解出来たのはタルタロスから出た景色の変化によるものだった。あまりに速く過ぎていく景色の変化、ふと後ろを振り向くものはまた驚く。ほんの数瞬の時間だというのにタルタロスが背後に見えてしまうのだから。その速さに理屈などいらない、影分身の手元が狂えば見るも無惨な地面衝突死体が簡単に一体出来上がるのが理解出来てしまう。
恐ろしい光景を生み出したくない面々は必死に制止を心掛けて大人しくしている。だがそんな必死さを見て、先頭を走るルーク達はせせら笑う。
「素直にしてれば幸せに、なんてしてやる訳なんてねぇのにな」
「真実は人を不幸にして、自由を殺す鎖になる。手始めの真実の入口には入り込ませた。だからこれからは更なる深淵に入り込んでもらうってばよ」
知れることが幸福であると誰が決めた?
そして知らない事、知られる事が恐怖であると何故に気付かない?
その先は真実の口があらゆる平等を待ち望んでいる
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やたら絶望感がひしめくブリッジの中、ルークが場の雰囲気を考える気もなく出発を言い渡す。
「そうだってばね。一先ずこっちは影分身に任せてダアトに行こうってばよ」
「・・・ダアト?マルクトではないのですか、行き先は」
ナルトもその出発先にダアトだと同意するが、眼鏡狸が疑問の声をあげる。
「それは後だよ。マルクトにはタルタロスだけ先に向かわせる。中にいる兵士の人やアクゼリュスの住民の人達には俺達が作った影分身に身代わりを勤めてもらって、俺達とマルクトに向かっているって錯覚しておいてもらうけどな」
説明はする気もなく、ルークとナルトは各々印を組み出す。そして白い煙が突然に目の前に現れ、いぶかしむ面々が目にしたのは煙が晴れた後の自らに瓜二つの存在達。それらを前に全員が驚きながらも一歩後ずさる。
「さ、さっさとダアトに行くってばよ」
「ちょっ、ちょっと待ってください。なんでダアトに行くんですか?今までのル・・・朱炎達の言い方からすると、必要が無いように思うんですが・・・」
その強引な流れにイオンが困り顔でルークと呼びそうな所をきちんと朱炎と言い換え、割り込んでくる。だが忍術の事は説明する気はないが流石に必要な事もあって、ルーク達はその顔を歪め笑う。
「必要じゃねー事を俺らがやると思うか?」
「ダアトには迎えに行かなきゃいけない人達がいるんだってばよ。それと・・・証明しなきゃいけない事も取りにね」
意味深な喋り口にイオンも他の面々も顔を聞きたそうに変えようとしたが、途端にナルトの口に舌が現れる。様子を見ればすぐに総毛が立つ物。それはいわゆる舌なめずりだ。
「ビビってんじゃねーよ。殺しゃしねーんだから。なぁ、ナルト?」
「そうだってばよ?何ビビってるんだってば」
口調は殺気も敵意もなくただ普通に喋っているだけ。だが仕草一つ見るだけで警戒心を強める程に、ナルトの目も語っていた。ただで済む訳がない、逃がすつもりもないと舌なめずりの一瞬だけで分からせるくらいに。
「さぁ、行こうぜ?・・・ダアトに」
そのルークの一言と同時に、影分身の兵士達が一斉にその場に現れ否応なしに全員の腰を掴み脇に抱え込む形に持っていく。
「頭から落ちて死にたくなけりゃ暴れんなよ、助ける気は全くないからな命を粗末にする奴を」
この言葉の意味に首を傾げる一同であるが、一瞬でその意味を全員が理解することになる。
ルーク達が目の前から消えた瞬間、自らが見てる景色も今までにないほどに速く流れている景色が進行形で見えている。その事実を理解出来たのはタルタロスから出た景色の変化によるものだった。あまりに速く過ぎていく景色の変化、ふと後ろを振り向くものはまた驚く。ほんの数瞬の時間だというのにタルタロスが背後に見えてしまうのだから。その速さに理屈などいらない、影分身の手元が狂えば見るも無惨な地面衝突死体が簡単に一体出来上がるのが理解出来てしまう。
恐ろしい光景を生み出したくない面々は必死に制止を心掛けて大人しくしている。だがそんな必死さを見て、先頭を走るルーク達はせせら笑う。
「素直にしてれば幸せに、なんてしてやる訳なんてねぇのにな」
「真実は人を不幸にして、自由を殺す鎖になる。手始めの真実の入口には入り込ませた。だからこれからは更なる深淵に入り込んでもらうってばよ」
知れることが幸福であると誰が決めた?
そして知らない事、知られる事が恐怖であると何故に気付かない?
その先は真実の口があらゆる平等を待ち望んでいる
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