焔と渦巻く忍法帖 第十四話

「どうあがいた所でテメェらじゃ、戦争は止められない。このまま和平は上手く行くなんてあるはずがない、俺らが住民全てを救ってキムラスカに戻ったとしても適当な言い訳をつけられてアクゼリュスを消滅させるまで俺らはあそこに縛られる。そしてアクゼリュスが消えたら色々証拠を捏造した抗議文をマルクトにたたき付け、戦争に無理矢理持って行かれる。最悪アクゼリュス再出発を拒否したら障気のせいでルークが死んだ、マルクトに責任問題を押し付ける形を取るだろうな、秘密裏にアクゼリュスに派遣した俺らを殺すって対応を取ってな。それはイオンも下手をすれば例外じゃない、預言を達成するのに邪魔だと見られりゃな。イオンですらそうなるんだ、俺以下の親善大使一行は猪含めキムラスカに戻れば確実に始末されるな」
「・・・そんな・・・」
イオンの絶望に満ちた声が室内に響く。だが表情を暗くしているのはイオンだけではなくフェミ男スパッツも同様だ。ダメージは基本的に少ないこの男、他に比べてまだショックがない分ようやく自らへの罰の形が来たと理解したようだ。
「キムラスカに戻ればあの世への片道切符を手渡される。ならマルクトに行くか?それも猪と俺がマルクトにそそのかされて亡命したって言われて戦争のきっかけになる。つまり・・・八方塞がりってやつだ。普通にやったところで俺らの行動はせいぜい戦争が始まる時間を遅らせる程度だ」
「「「「・・・っ・・・」」」」
希望など持てるはずがない、ここまで戦争への道筋が明確な論理を述べられて。全ての行動のベクトルが戦争、ルークが事前の痛言を上げていなければまだ甘い見識で説得すれば何とかなると言いそうな面々が今は何も言葉を出せずに飲み込んでいる。



飲み込まれていく愚者達、ルークとナルトは少しづつ満たされていく。



「さぁどうする?住民はマルクトに大方届けた。その後の対応次第じゃ」
「即座に戦争、一つ誤りゃマルクトもそうだしお前らの命も預言の口封じの為にキムラスカかダアトの人間に殺されるってばよ?」
二人の隠しもしない愉快さと余裕と対照的な自称正義論者達は揃って目を背けて口をつぐむ。
後がない、自分達には。気付かされた真実は残酷でもう打開しようがない。自分はもう終わりなのか?そういった考えが顔に滲み出ている。
それが尚二人の心に嬉々とした想いを生み出していく。そして二人の顔に心底一同を見下した笑みを隠しもせずに表した。



「助けてやろうか?俺らが」
「・・・え?」
誰かの戸惑いの声と共に全員がルークを信じられないといった、というより何を言っているといった嫌疑の目で見ている。
「言っとくけど、これに乗らなかったら俺達はお前らを弁護する気は全くない。というよりここで全員死体に変えるぞ?」
「俺らはちゃーんと協力っつーか、都合のいい証言をしてくれるなら全員の命は保証するってばよ。ただ乗ってくれなかったら身代わりを立てるだけだから」
二人ともにその笑みは一寸たりとも変わらない。だが言葉の端々に殺気を込めて本気であると印象つけさせる。そして手元にはルークは抜き身の剣、ナルトの手にはクナイがいつの間にやら握られている。






「選べよ。命を大事にするか、俺ごときに命運を託せないと今死ぬか」






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