焔と渦巻く忍法帖 第十四話

「わ、私が厄介者・・・っ!?」
「そうだろうが。現に事実を知った今、お前はキムラスカの事を考えずに父親である陛下に非難に等しい声をあげた。ちなみに例えの話で聞くが、お前は最初から事実を知っていたらどう対応していたと思う?預言の内容を聞かされた時に、お前はその預言に従おうとしていたと自分自身で思うか?」
「そんなはずありませんわ!このようなルークをむざむざと失い、戦争へと向かう為の言葉など従う必要・・・!」
「だから邪魔者って言ってんだよ、お姫様って地位にいる人間を見捨ててもいいと認識するほどな」
「・・・!?」
「国を栄えさせるというのは最高責任者が背負わなければいけない、必要不可欠な義務だ。それこそ時には希少な存在すら消し去る事も必要になる」
脇で聞いていたナルトもその理論にサスケを思い出す。あいつは自らの手で殺す、木の葉を裏切った不忠者を許せるはずがないと。
「王家の蒼き血?次期王様候補?そんなもんが俺を助けようなんて預言を盾にしたあの惑星屑、もといモース(読み方はプラネットデブリ、直訳文字通り。豚は例えられた立場の豚が可哀相だから新たなあだ名を作ってやったぜ。師匠なんてやめだやめ! byルーク)の話から聞こえて来たか?むしろ陛下は嬉しそうに話す惑星屑の話を聞いて、俺を簡単に殺していいって告げてアクゼリュスに派遣しただろうが。それはすなわち、これからのキムラスカの為にいけにえを送り出したんだ。けどお前は言ったよな?賛成できないって?」
「はい・・・でもルークは・・・!」
「全て、全てキムラスカの為だと陛下は判断した。そしてルークはそのために死ぬ必要があると言った。これは陛下が判断した事だ・・・そしてそのキムラスカの総意を伝えるに相応しくないと陛下、いや惑星屑辺りが進言した言葉から陛下はお前にキムラスカの総意を知るに値しないと値踏みして真意を伝えなかったんだ。俺がそのまま死ぬ気がないのは別に置いておくが、俺がそれを知っていた場合だったらその判断自体はキムラスカの繁栄の為には間違ってはいないと思っている」
「そんな・・・!」
「恐らくじゃあるが、本来なら預言は俺にも詳細を明かしてその内容を国が承諾させた俺がアクゼリュスを消滅させた後すぐさまマルクトに攻め込もうとしたんだろう。その時にはキムラスカの上層部は全員今の預言を知っていてな。だがそれは叶わなかった・・・その理由が猪、昔から一ミリメートルたりとも成長してねぇテメェがキムラスカにいたからだ」
「!?」
「お前、言われなかったか?ルークの記憶にこだわるのはよせ、記憶がなかろうが構わないだろうと。どうだ?」
「それは・・・ルークの記憶が戻ればキムラスカの為にもなるからと・・・」
「だから俺に記憶が戻ったか何度も確認しに来た、と。違うな、テメェが俺の所に来ていたのは約束を思い出してくれたルーク以外ルークと認めなかったからだ」
「なっ、何を・・・!」
「事あるごとに屋敷を訪れ用件は色々あっても俺を見れば確実に口に出されるのは記憶と約束、そんな様子が七年も続けば言える訳がないだろう。預言により死ななければいけません、だからルーク様は諦めてくださいと」
「思い出に縋る王女はそのルークが死ぬと知れば何をしようとするかわからないから、預言の事を伝えられなかったってば」
「キムラスカは記憶がなくても俺がルークだからアクゼリュスに行けと言った。けどお前はいつか記憶を取り戻すであろうルークに一人では不安だから、自分が行かなくてどうすると言った。その意見の食い違いからお前は俺らの所に来た。だからキムラスカは厄介者だと判断した。だから」



「それが厄介者を思い出とともに始末しようっていうキムラスカの真意に繋がるんだよ。預言って言葉で王女を止めに来ようとした奴が一人もいない、つまりは王女のお前には知る価値すらないって言ってるも同然なんだよ」



その瞬間ルークの手に重量が重くのしかかり、猪思考姫の腰が砕けた姿がナルトの目に入る。

過去に縋り、過去に意味を見出だす。組織としては私情を大いに挟み、意見を私情で押し通そうとする人物など好まれるはずがない。だがそれが許される範囲を越えていた場合、罰を与えるべき。この場合はアクゼリュスに行く事を黙認したことで、キムラスカは死を猪思考姫に望んだ。

キムラスカに見放された、何よりの事実に過去へ旅だったように猪思考姫はルークが手を離した事で膝を立てる体勢で目を開けたまま意識を手放していった。






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