焔と渦巻く忍法帖 第十四話

『・・・大詠師、大方の流れはわかりました』
テープレコーダーから流れて来たのは公爵の声。全員がなんだと思う中、言葉が出て来る前にルークの掌が開かれたので全員は沈黙せざるを得ない。



『ヴァンの派遣は保険・・・という事か?モース』
『えぇそうです。ヴァンもこの預言の事を知っているからこそ、アクゼリュスに行ってもらうのです。それに万が一にでも預言が外れてしまえばユリアの意志に反する事になります。どうせ兵士達はアクゼリュスで死ぬと詠まれている身、ヴァンには兵士達を必要があれば始末するよう伝えておきます』
「「「「・・・!?」」」」



驚きの表情が一同を支配する。そして役目を終えたテープレコーダーの停止スイッチを押し、ナルトは新たにテープを入れ替える。
「そんじゃあ次はその預言の内容を聞かせるぞ」
再び押された再生スイッチに沈黙の中、あの預言の内容を明かされた時の声が響きだす。







・・・そして全ての預言の内容を余さず言い切った不敬師匠の声が停止スイッチで途切れた時、耳障りで甲高い女達の声が辺りに響き渡る。
「嘘よ!?モース様がそんな事を言うはずがないわ!」
「そうですわ!お父様がそのような事を認めるなどあるはずがありません!」
「あっそぉ。ならお前ら、さっきの人の証言はどうなるんだ?」
否定だけに集中した声を上げる二人にルークは追い打ちをかけるため、二人の隣に一瞬で移動して肩をポンと叩き下げていた顔を顎を掴み強制的に前を上げさせる。
「てめぇらが信じる信じないなんて言ってるのは事実を前にした俺らからすればあまっちょろいただの戯れ事だ。現にあの人達は襲われた、それは変えようがない。信じたくないで今更気持ちだけで否定すんには証拠が揃いすぎだ。それにお前は言ってただろうが、預言の実現だけをモース様が望んでるって。その大詠師様が望んでる物が・・・消滅って現実、そしてその消滅を確実にするためにテメェの兄が預言実現を手伝うために人を殺そうとした。ご丁寧にも、リグレット達っていうお仲間まで呼んで自分だけ助かろうとしてな。で、キムラスカとしても必要があったからこそ陛下はそれを黙認したんだよ。自らの軍の兵士を預言っていう大義の元に、ダアトの手により殺しても構わないとな」
「う・・・嘘、嘘ですわ。そのような・・・」
「に、兄さん・・・」
目を反らせない、ルークの手は前だけを向くように動かさせないように二人の顎を固定する。淡々と語られるルークの冷たい瞳にまばたきすらも許されず、二人は泣き目になりながら未だ信じたくないと述べる。だがまだルークは話を止める気などない。
「そんな預言に晴れて選ばれたのは聖なる焔の光、つまりルークの名を冠する俺だ」
ホントはそこに転がっている地面とは相性の悪い筈の煙デコが本物のルークだ、とはまだ言わない。少しだけ真実を明らかにするのは早いからだ。
「ルークである俺がアクゼリュスに行くのは当然だ。そこで問題になるのが他について行けと言われた奴らだ。大体消滅って言われてる不吉な土地、普通なら犠牲を抑える為に人数少なくするよな?それなのにお前らは事実すら知らされず、ただ俺に同行を命じられた。それが何を指すのか・・・少しは考えてみろ」
修頭胸、眼鏡狸、フェミ男スパッツと本来アクゼリュス行きを命じられたメンバーをルークは視線を送っていく。だがその青ざめかたは今までにないほどに早く、すぐに結論にたどり着いたのだろう。その顔を見て今度は猪思考姫を見る。






「それで今の事実から繋ぎ合わせればお前にもある事柄が見えてくる。それは結局、お前がキムラスカから厄介者として見られていたって事だ」





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