焔と渦巻く忍法帖 第十四話

「ル・・・ルーク・・・」
狸は片付けた、二人がそう思っていると今度は足元からフェミ男スパッツの必死に訴える声が聞こえて来た。
「男色家か、今度は。なんだ?」
唯一二つのろくでもないあだ名を持つ男の声に、ルークは多少機嫌良く手を握る。
「・・・なぁルーク。お前が住民を救ったのはわかった。だが俺達より先にここに来たヴァン謡将達はどうしたんだ?」
立ち上がり開口一番、フェミ男スパッツが老け髭の事を訝しげに聞いてくる。
「お前の言い方だとヴァン謡将よりも先にアクゼリュスに着いたんだろ?なら俺達より先に謡将がお前達と出会ってるはずだ」
やたら親密な話をする程の仲、それも主に話を聞かれないようやたら気を張って。そんな存在がいないことに疑問を抱いている。



だがその質問は二人が一番待ち構えていた事、その真意など二人にとっては興味が無かった。



「あぁそれならタルタロスを神託の盾兵士から奪い返したからそこにいるぜ?キムラスカの兵士達はそこにいるが・・・ヴァン謡将・・・っつったっけ?あの髭ジジィは神託の盾のやったことの責任を取らせるためにリグレット達と共にタルタロスに捕えてあるぞ」
「「「「・・・え?」」」」
気になる事実を余す事なく全て伝える、ルークはまだ意識を手放してない四人のほうけた反応を楽しむように今度はナルトに目で合図をやる。
「事実、知りたいってば?まぁ選ぶ権利はないけどね。だって今更戻れない位置にいるって知らなきゃいけないから・・・知りたくないっていうなら、漬けるってばよ?」
ニッコリ満面の笑みを向けてはいるが、ナルトは障気が並々と入れられているガラス風呂の隣のルーク近くに一瞬で移動した。その行動に漬ける、という言葉が指すのは障気の中だと理解させるには充分なインパクトだ。一同顔を青ざめさせている。
「・・・否定の言葉は無し。よかったよかった。平和的に俺達の言葉を受け入れてくれて。じゃ、事実を知ってもらう為にタルタロスに行くってばよ」
恐怖を以ての脅しはナルトの最も得意とする所、失言すら出てこない面々の顔に影分身達が一斉にナルトとともにタルタロスへと向かう。ルークは律義にガラス風呂を印を結び、巻物の中に戻してからナルトの後を追いかけて行った。






そして所変わり、数分程度でルーク達はブリッジの扉の前まで来た。
「はい、この中には髭オッサン、リグレット、そしてアッシュといった面々を転がしていま~す。大変凶暴ですので、お手を触れないで下さい。同情、助けといった感情で手を出そうとしたなら手首が宙を舞いますからご注意お願いしますってばよ。尚この注意は主に兄と師を前に戸惑う人物に向けてま~す」
右手を扉に向け、案内役を楽しそうに勤めあげているが毒と制止が盛大に含まれている。今上げた行動を真っ先にやりそうだと、まともに名指しされた修頭胸はナルトに強い視線を向けるが、ナルトはどこ吹く風といった感じでスルーしている。
「は~い、事実と絶望への扉、ご開張~」
案内役をやるナルトは足取りも軽く、ブリッジの扉の先へ行く。その言葉にナルトとは逆に足取りが重い面々であるが、ルークが付いてこいと先に行きながら手を招いた事で同行者達は扉の奥へと消えて行った。








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