焔と渦巻く忍法帖 第十四話

・・・老け髭と神託の盾達をルーク達が捕らえて数日程が経った・・・






「・・・あの眼鏡狸本国に連絡入れてなかったようだな・・・」
「おかげで俺らはマルクトの領土の町村に住民の預け入れに苦心したってばよ・・・」



マルクト領を走るタルタロスのブリッジの中、ルークはナルトとともに頭を抱えていた。
「まだセントビナーやエンゲーブに体勢が整ってなかったのはいい・・・けど、カイツールにいるマルクト兵すらアクゼリュス救援の為の受け入れの準備が整ってねぇってどういう事なんだよ・・・」
「急場しのぎで眼鏡狸に変化した影分身使わせなかったら持たなかったってばよ、食料・・・」
「あぁ、くそ・・・和平の為にアクゼリュスに行くって分かってんのに、なんで知らされてねぇかな」
「多分知らされてたら国境を越えてデオ峠を越えるルートを使うように打診してたはずだってば。キムラスカが受け入れるかどうかは別としても、キムラスカが住民を引き連れてカイツールに来るだろうからと用意はするはずだってばよ」
そして二人は同時に溜息を禁じ得ずに、はぁ~と深く顔を手で覆いながら吐き出す。



そもそも、住民を救出するからには障気をどうにか出来ない以上は土地から離れるべきだとすぐに気付く。事前の報告には障気発生とあったのだから。

・・・だが、マルクトには住民移動に対しての対応が全くとられていなかった。影分身をカイツール、セントビナー、エンゲーブに向かわせて住民受け入れの準備が出来ているかと聞きに行かせた。だが返って来たのはいずれも‘連絡を受けていない’という物。

そこでルーク達は眼鏡狸達の影分身を作り、影分身に連絡不足を死ぬ程謝らせて少しづつでもいいから住民を受け入れて欲しいとセントビナーのマクガヴァン親子を説得した。(余談だが地面に頭をこすりつけた眼鏡狸を見て老マクガヴァンは卒倒せんばかりに目を見開き、グレン将軍は思わずそこまでやらなくともと逆にこちらを気遣ってきた)



「・・・あんのクソバカ、連絡の一つくらい入れとけよ・・・」
「キムラスカに全部押し付ける気しか感じられないってばよ・・・住民の対応、処置、そして後はいいとこ取りでそれらが全部終わったらマルクトへの協力ありがとうございます、って結びに来た立場忘れてこっちが結んでやるからって態度で言うのが想像出来るってば」
声真似をするナルトの声はルークはもちろん、キムラスカ兵士にすら考慮無しに言い出しかねない。それくらい軽挙に感じられる。
「その辺りも含めてどういうつもりだって問い質す必要があるな・・・」
「そうだってばね・・・と、お?」
「ん・・・来たか?」
会話の途中、ナルトが何かに気付いたように言葉を詰まらせた事によりルークは目を細く鋭くさせてナルトに問う。その問いにナルトはクシャッと顔のパーツを鼻を中心に集める。
「・・・来た事は来たけど、コウモリ及びイオンまで付いて来てるってばよ」
「・・・はぁ?」
その予想外の答えに、ルークは間を空けて呆れたように声をあげる。
「なんで・・・って聞くのもないな。多分イオンの完璧なわがままだろうな。でないと俺と違ってちゃんと警護の対象と見てるあいつらが素直にイオンを連れてくるはずもねぇし」
「まあちょうどいいんじゃないってば?余罪諸々突き付けてやる分にはまとまってもらった方がやりやすいってばよ」
「だな・・・じゃあ行くとするか。場所は?」
「合流ポイントはデオ峠。今から行けばそれくらいだってば」
「了解」
そして無言で印を組む二人。組み終わるとそこには互いの影分身が姿を表す。その一瞬と同時に、二人はタルタロスのブリッジから姿を消し去って行った・・・






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