焔と渦巻く忍法帖 第二話

「あそこであんなこと言うなよ、焦ったじゃねーか」
ルークは火影の前を失礼した後自分がこっちで暮らすために借りたアパートの自分の部屋に戻ってきていた。
「そんなこと言わないで欲しいってばよ。面白かったし」
その部屋に堂々と無断で入っているナルト。余談であるがルークの住まいの横はナルトの住まいである。
「お前だけだろ」
「じっちゃんも面白がってたってばよ」
ハァ、と溜め息がルークからこぼれ落ちた。ルークは口でナルトに勝てたことはない。その事からルークは既に反論にでることを諦めて溜め息を漏らしたのだ。



「・・・つーかその『だってばよ』って口調はアカデミーだけじゃなかったっけ?」
さっきの話の流れを断ち切る為に話を切り替えたかったルークは最近疑問に思っていたナルトの口調のことを聞いてみた。
「そのつもりだったけど言ってみると案外癖になったんだってばよ」
ナルトは本来アカデミーに行く意味はなかった。暗部一の腕前を持つものからすればアカデミーでの授業などはっきり言えば時間の無駄である。ならば何故?それは強いということを隠す為のカムフラージュとして火影に行かされたのである。そこでワザと壮絶なドベっぷりを見せつけることで、周りのナルトを『九尾』として見る大人達を騙すという訳である。そこでナルトはドベに磨きをかけるために「だってばよ」という特徴的な口調をつけることを自分の中で役づけたのだ。
(役に飲まれんなよ)
心から思っていたこの言葉を口にすれば恐らくナルトは「じゃあルークも口癖つけるってばよ!!」と、いらん努力を強制で行わされる事が簡単に予想出来た。なので言いたい気持ちを抑え、心の中にしまっておこうとただ呆れるだけだった。



一先ず会話が終わり、ルークは夕食の準備に取り掛かっていた。こちらの世界に来てからルークはご飯を作って食べることが多い。それは自分のためだけではなく、料理をしないナルトの為でもあった。ナルトは料理を作れない訳ではないが、ラーメンが大好きなナルトはインスタントラーメンを好んで食す。それを見かねたルークがナルトの為にと料理を覚え、ナルトにご飯を食べさせているのだ。ちなみにルークは思いの外料理にはまり、もっぱら休日は料理研究で時間を潰している。



「よーし、出来たぞ~」
「じゃあ頂きますってばよ!!」
料理完成で食卓に並ぶと同時にナルトは料理に手を出した。料理が趣味になっている人が作る料理が不味いなんてまずない。ナルトもルークの料理の味を知ってる為、手が止まらない。
「うまいってばよ~」
その言葉を聞き、ルークは満更でもない表情をしている。
(なんだかんだで俺も馴染んだよな、ここに)
しみじみ思うルーク。実際この世界にはナルトを守りたいという衝動から来たのだ。だからといって他の事なんてどうでもいいなんて訳にはいかず、色々と学ばなければいけないことはあった。強さを身につける為にナルトとの修業している間にもこの世界の勉強をしたり、屋敷にいる間にはしなかった家事一般、ちょこちょこと会う人達とのコミュニケーションだったりと今まで経験しなかったことをいっぱい経験してきた。最初はルークもいっぱいいっぱいだったが、落ち着くにつれて里に馴染んでいった。屋敷にいたなら絶対しなかっただろう経験・・・辛いこともあったが今はもう関係ない。それどころか閉鎖された刺激のないあの空間よりこちらがルークは好きなのだ。



ルークは老け髭の計略など本来どうでもよかったのだ。ただナルトと共に歩む道を。そう思ったからナルトに話した老け髭の計略を潰してから正式にということで仕方なく行ったり来たりを繰り返している。

一応の約束とはいえ、破りたくないのだ。



夕食が終わり、ナルトが自分の住まいに戻った所でルークは一人呟いた。
「さっさと終わんないかな、あの茶番」
早くつまらないことは終わらせたい。オールドラントにいる老け髭にさっさとしろよと呪いにも似た念をそっとルークは送りつけた。




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