焔と渦巻く忍法帖 第十三話

「手応えはないけど・・・」
「かるーく・・・」
「「行くか(ってばよ)」」



各々タルタロスの中に入り、船の中の通路にいる兵士を視界に入れると二人はタイミングを揃えたかのように同じ台詞を口にする。その瞬間、姿を消す二人。そこからタルタロスの中にいた兵士は次々とバタバタ倒れていった・・・



そして10分もすると、ルークとナルトの二人はブリッジの前の扉に姿を表す。
「ご苦労さーん」
「苦労は別にしてないってば。それよりこの中にいるってばよ、あれ」
「ああ、あれね・・・どうする?起こすか?」
「起こしてやらないと面白くないってばよ」
「ま、やっぱそう思うよな」
弄り倒す事を楽しみでしかたないと言わんばかりのナルトの声に、クックッと満更ではないと表情でルークは語っている。そしてその顔のままルークはナルトと共に扉を開け、ブリッジの中へ入る。するとその中には倒れている神託の盾と煙デコのみ。ただ普通に倒れている兵士と、いびつな円の形に強制させられている煙デコ。端から見ればシュールに見える部分もあるこの光景、それを生み出したナルトはやたら引きずられた傷のついた煙デコを起こすべく膝を屈め遠慮無しにビンタを繰り出す。



‘パァンッ!’
「・・・っつぅ・・・」
渇いた音が室内に反響して響き、煙デコは痛みを感じて小さく声をあげる。
「あれ?まだ起きないってば?ならもっとやるってばよ」
だが、明らかに起きたと分かる様子を見せているのにナルトはビンタを尚威力を強めてパンパンパンパンと子供さながらの純粋な笑みで続ける。
「ふっ・・・ぐっ・・・バベッ!・・・あぶっ・・・!」
あっ、途中で舌噛んだ。何かを主張しようと口を出そうとしていたようだがビンタの際に口を塞がれたらしく変な声をあげ、ビンタの痛みとは別の苦しみに浸っている顔の煙デコ。しかも止めさせようとやたらぴょんぴょん跳ねて何かの自己主張をしている。その光景にルークは止めようとしていた手を口元に持っていく。
「・・・プッ・・・くくっ・・・アハハッ!もう止めてやれ!じゃねぇと・・・俺・・・腹よじれる・・・」
そう言いながらも腹を抱え、涙目でヒィヒィと近くにあった壁を叩きながらルークは爆笑をしている。
「え~?楽しくなってきたからもうちょっとだけやりたいってばよ。せめて歯が一本飛ぶまで笑ってろってばよ」
「・・・ちょい勘弁!じゃねぇと俺が笑い死んでコイツに話す体勢整わねぇから」
いまだビンタを続けているナルトは顔をブスッとさせルークに振り向き、ルークは涙を手で拭きながらなんだかんだでナルトの手を抑えて止める。
「・・・まぁ、しかたないってばね」
流石にそこまでされてはとナルトも体を起こして煙デコを見下ろす。
「・・・テメェ、一体何のつもりだ!?」
ようやく手が止まった事で、煙デコは声を低くして脅しをかけてくる。
「迫力ねぇぞー。んな恰好で頬腫らして声出してもよー」
その様子に愉快さを隠しもせず、ルークは腫れている頬をつんつん指でつっつく。だが一層ルークの態度にやたらまた動きも激しさを増す。
「んなこと聞いてんじゃねぇ!いいから早く縄を解きやがれ!」
「やーだよ。解いたらお前絶対襲い掛かってくるだろ」
「ハッ!ザオ遺跡の時もそうだったが、怖じけづきやがったか!」
何を勘違いしているのか、自分の方が立場は上だと信じて疑わない強気な言葉に二人は笑みを消す。
「とりあえずコイツやっぱ殺していいってば?」
「意識失わない程度に一発食らわせるくらいで我慢してくれ。コイツには生き地獄味わわせるんだから」
言うが早いか、ルークの言葉に瞬時にナルトは露になって無防備な腹に蹴りを勢いよく繰り出す。ドムッという音が辺りに響く、その事実に煙デコは悶絶といった感じで声も出せず表情を苦悶の様子に変える。
「はい、これが五体満足でいられる最後の警告。次からは指を一本ずつ落としていくからな」
煙デコの表情に、ルークはけだるげに顔を近づけ殺気をぶつける。



「レプリカに殺されてぇか?糞オリジナル」




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